• オフィスビル

「霞が関ビルディング」「日比谷三井ビルディング」
共用部を中心としたリニューアル工事実施
〜モニター会議等を通じて得られたオフィスワーカーの声を改修内容に反映〜

平成11年5月11日 三井不動産株式会社

 三井不動産では、ビル事業をテナントへの良好なオフィス環境の提供であると位置づけ、テナントサービスの最も重要な要素である管理運営(プロパティマネジメント)力の強化と、最適な保有資産構成を目指すアセット戦略を実践しておりますが、今般当社の基幹ビルである「霞が関ビルディング」と「日比谷三井ビルディング」の2棟において、21世紀にふさわしい機能的かつゆとりある環境を提供するために、エントランスホールやロビー等の共用部を中心としたリニューアル工事にそれぞれ着手しました。

 既に「霞が関ビルディング」では、平成元年から平成6年までの約5年間に渡り、電気・空調を中心とした基幹設備および基準階(オフィスフロア)の全面的大規模改修工事を、また「日比谷三井ビルディング」でも同様に空調などの主要設備を中心とした改修工事を実施済みですが、今回はこれまで大幅な改修を行っていない部分を中心に総額約60億円をかけて実施するものです。

 「霞が関ビルディング」においては、1・2階のエントランスホールや車寄せ・ロビー、商店街共用部などのデザインを変更し、霞が関ビルディングの伝統的イメージを尊重・踏襲しつつ、先進的なデザインを取り入れることで、より明るくグレード感のある空間を創出するとともに、1・2階の広場(庭園部分)を「くつろぎの場所」として位置づけ、植裁計画の見直し、ベンチ・テーブル・イベントステージを設けること等により、より高いアメニティを提供します。

 また、外壁部分については、建設当初のイメージを再生するために、フッ素樹脂塗装を行い、性能の保全と外観の美化をはかります。なお施工にあたっては、工期の短縮と高い安全性・品質管理を実現するために、超高層オフィスビルとしては日本で初めてのゴンドラ型の全周仮設足場(はちまき型のゴンドラ)を採用しました。(1周あたりの長さも世界最大規模のゴンドラです。)

 「日比谷三井ビルディング」では、1階エントランスホールと基準階のエレベーターホールのデザインを、品格と開放感を一層高めるために、圧迫感を感じさせない、明るく・のびやかなデザインに一新。また、エレベーターについては、先進的なデザインへ変更するとともに、学習機能付き群管理システムを採用、また耐震性・防災性能を高めることにより、サービス面・機能面での向上を図ります。

 三井不動産では、これまでもオフィスビルのリニューアルをはじめとする運営管理全般に渡って、各テナントや共同事業者の意見をできるだけ尊重し、反映するように努めてまいりました。今回のリニューアルでは、そうした「顧客オリエンテッド」の考え方をより一歩進めて、霞が関ビルディングではオフィスワーカーが参加するモニター会議を開催し、日比谷三井ビルディングではアンケートを実施するなど、オフィスワーカー1人ひとりの本当の要望や不満を直接聞き、より働く人の目線に近いリニューアルを目指しています。その結果、「共用部を開放的で明るい雰囲気に」「エレベーターの機能の向上」「ベンチ等の設置」といった数多くの意見を頂き、計画の一部に実現しています。

【霞が関ビルディング工事概要】

1、2階エントランスホール・ロビー
  • 既存の壁大理石は残し、床(タイル→大理石・御影石)・天井(アルミパネル→GRG(繊維強化石膏)成形板ペンキ仕上げ、照度アップ)を更新する
  • エレベーターホールは、床・壁・天井を更新する
車寄せ・ロビー 車寄せと、ロビーを一体の空間としてとらえ、床仕上げ更新、部分的に高天井とし、間接照明等により照度アップを図る
商店街共用部
  • 商店街の入り口を拡張する(一部機械室の盛り替え)
  • 一部動線の整備(裏動線の確保)、身障者用トイレを新設
  • 床、天井の更新を行い、明るく賑わいのある演出を図る
外構・アプローチ広場
  • ビルエントランスの視認性の向上を図るため、高木ケヤキを生かした外構動線、床仕上げの更新(御影石模様貼り)、低木植栽の見直しを行う
  • 商店街と連係した、賑わいの演出・くつろぎの場としての広場とするため、ビル風対策としての植栽、ベンチ・テーブル、イベントステージ等の仕掛けを行う
外壁改修工事
  • 外壁部分については、機能劣化しつつあるアルミパネル・サッシュ、柱型部分の性能保全および外装の美化を図る
  • 超高層ビル(100m超)では、日本で初めて、ビル外壁全周の仮設足場を採用し、工期の短縮と(ビル用ゴンドラ採用の場合の約1/2)、安全性・品質管理を図る
  • アルミ(柱型は、ステンレス下地塗装)は下地処理のうえ、長寿命の耐候性が期待できるフッ素樹脂塗料を現場塗装する
スケジュール(予定) 低層部リニューアル工事:平成11年6月〜平成14年2月
外壁改修工事:平成11年3月〜平成12年9月
設計施工 デザイン監修:(株)K・M・G建築事務所
設計監修:(株)日本設計
施工:鹿島建設(株)

【日比谷三井ビルディング工事概要】

1階ビルエントランスホール 1階エントランスホールには品格と落ち着きのあるデザインを考慮し壁には御影石を貼り、折り上げ天井で高さを強調するとともに照明器具も更新するとともに、ビル吹き込み風対応として風除室を設け、かつ自動扉を設置する
基準階エレベーターホールおよびエレベーター 壁には御影石を貼り間接照明を採用した落ち着いた広い空間を確保する。
また、8台のエレベーターについてはデザインを一新するとともに、群管理制御(学習機能付)を付加し、耐震性・防災性能とともにサービス機能を向上させる
その他のリニューアル
  • 受変電室の防災機能向上および受変電設備全面更新
  • 管理センター(防災・設備統合センター)とビルディングオフィスを併設 し管理運営面での一体強化
  • ハンディキャップ者への配慮(エレベーター、トイレ、導線)
  • 店舗階にスプリンクラー設備自主設置
スケジュール(予定) 平成11年5月:着工
平成13年3月:リニューアル完了
設計施工 実施設計:鹿島建設(株)・三井建設(株)共同企業体
施工:鹿島建設(株)・三井建設(株)共同企業体

<参考>〜既実施済み工事分〜

  1. 事務室内天井を岩綿吸音板にし併せて照明器具も更新し900LX以上の照度を確保
  2. 補助空調設備(ビルマルチ熱源システム)を設置し、テナントの空調増強要望に対応
  3. 事務室階、店舗階共用廊下の天井・床改装を実施し明るく清潔な環境を確保するともにサインを一新

【霞が関ビルディング建物概要】

所在 東京都千代田区霞が関三丁目2番5号
構造 鉄骨造、一部鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造
規模 地上36階・地下3階,棟屋2階
延床面積 153,223.69m2
敷地面積 16,319.97m2
竣工 昭和43年4月

【日比谷三井ビルディング建物概要】

所在 東京都千代田区有楽町1丁目1番2号
構造 鉄骨・鉄筋コンクリート造
規模 地上9階・地下5階,棟屋3階
延床面積 90,358.96m2
敷地面積 7,878.57m2
竣工 昭和35年8月
           


霞が関ビルディング外観写真(はちまき状に見えるのがゴンドラ型の全周仮設足場)


霞が関ビルディング・エントランスロビー(リニューアル後完成予想図)


日比谷三井ビルディング外観写真


日比谷三井ビルディング・エレベーターホール(リニューアル後完成予想図)