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三井のマンション「ECO(エコ)仕様」を策定・標準化
〜年当りCO2 負荷で約10%の削減効果〜

平成12年8月31日 三井不動産株式会社

 三井不動産は、当社ロゴである「&」マークに象徴される「共生・共存」の理念のもと、かねてより、社会に貢献しつつ発展していくことを目指しております。また、先に発表したグループ中期経営計画における経営の基本姿勢として「環境との共生」を表明しております。その一環として今般、当社はマンションにおける「ECO(エコ)仕様」を策定し、標準化することといたしました。環境に関する一般的な意識の高まりと、マンションの基本的な商品性能に対する関心の高まりを受け、当社は、これを「環境対応型住宅」としてマンション事業における重要な商品基本戦略の一つと位置付け、今後順次全物件を対象に導入していきます。

 住宅業界でも、ハウスビルダーが省エネ住宅や、建設現場のごみゼロ化等を試行しておりますが、マンション業界においては、シックハウス症候群に対する、室内の空気環境対策としての健康仕様は各社が標準化を進めてきましたが、さらに広く社会への環境負荷そのものに着目した商品や事業モデルはありませんでした。

 当社は、「ECO仕様」を策定するにあたって、商品がつくられ、使われ、廃棄されるすべての過程で、その商品が環境に与える負荷を客観的に評価する「LCA(ライフサイクルアセスメント)」という概念に着目いたしました。マンションが建築工事を経て生活が始まる居住期間、ひいては建物としての使命を終え廃棄されるまでを通じて生じる、環境への負荷要素をCO2に換算する「LC CO2 (ライフサイクルCO2)」の手法を取り入れ、環境との共生・共存を具現化ならびに実行していくこととします。

 マンションの場合、そのライフサイクルのなかで、各サイクル毎の環境負荷が各々占める割合は概ね、建築時22%、居住期間(メンテナンス含む)77%、解体時1%となっており(当社モデルマンションによる試算による)、人が暮らしている居住期間の割合が最も大きくなっております。当社では、居住期間における「省エネルギー」対応を中心に3つの視点から「ECO仕様」を策定いたしました。この「ECO仕様」によって、CO2 換算の環境負荷量を約10%削減する効果があります。(添付資料を参照ください。)

1.「省エネルギー」:断熱性能・気密性能の向上をはかることによりエネルギー消費を抑え CO2排出削減に寄与します。

(1)ペア(複層)ガラスの採用
 外に逃げる熱を約1/2(メーカ比)に低減。

(2)断熱仕様の充実
 高断熱仕様(次世代省エネルギー基準<*1>をベース)により外気や日射の影響を軽減し、より少ない冷暖房エネルギーで快適空間を実現。

2.「ロングライフ」:耐久性能と劣化対策性能を高めることで、建物の長寿命化に努め、これを通じて換算上のCO2排出量削減をはかります。

(1)コンクリート品質
 コンクリートの耐久設計基準強度を24N/mm2以上、水セメント比55%以下を確保。

(2)コンクリート中性化対策
 かぶり厚対応として、建築基準法に定められた数値対比で、

  • 屋内(外気に接しない)部分は10mmプラスの30mm〜40mm
  • 屋外(外気に接する)部分は20mmプラスの40mm〜50mmとする。

とする。

3.「環境対応部資材」:地球環境に優しく、かつ身体にも優しい部資材を採用していきます。

(1)ダイオキシン対策(脱塩ビ仕様)
 リフォーム時等の廃棄焼却に伴いダイオキシンが発生しやすい部材の使用を抑えるため、壁・天井クロスは従来一般的だったビニールクロスから、自然素材系のケナフや紙クロス使用に切り替えていく。また、建具・巾木は塩ビラッピングの使用をとりやめ、オレフィンや突板仕様とする。

(2)ホルムアルデヒド対策
 フローリング材・合板およびパーティクルボード等は、最も放散量の少ないFc0(JAS:日本農林規格)、E0(JIS:日本工業規格)タイプを採用。壁紙や施工時の接着剤は、低ホルムタイプを採用。

 この他に、マンションにおける「エコライフ」のサポートも大切なことと考え、次のような設備を導入しています。

  • コンポスト(家庭用生ゴミ処理機)用電源
  • るすいっち」:家電製品の待機電力を手軽に削減できる配線システム

 なお、本年6月より当社発売の全物件のチラシ広告および毎月20万部配布している会員誌「こんにちは」は再生紙を使用いたしております。当社は今後も「&」マークに象徴される「共生・共存」の理念のもと、社会に貢献しつつ発展していくことを目指し、様々な角度からこれを具現化して参りたいと考えています。

以上

*1:「平成11年3月30日通商産業省・建設省告示第2号住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する建築主の判断の基準」「平成11年3月30日建設省告示第998号住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する設計及び施工の指針」「住宅金融公庫割増融資工事省エネルギー住宅工事(次世代型)」のいずれかの基準を指す。