2013年

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「新宿三井ビルディング」で長周期地震動の揺れを半減
日本初 屋上に超大型制震装置(約1,800t)を設置

平成25年7月29日
三井不動産株式会社、鹿島建設株式会社

三井不動産株式会社は、「新宿三井ビルディング」において、長周期地震動が発生した場合の揺れを大幅に低減させるため、日本で初めて超大型制震装置TMD(約1,800t)を屋上に設置いたします。施工は、鹿島建設株式会社が行い、平成25年8月中旬着工、平成27年4月末竣工の予定です。

「新宿三井ビルディング」は、構造評定を受け大臣認定を取得した高い安全性を有する建物で、現時点でも耐震性能を十分満たしています。この度の取り組みについては、今後の長周期地震動発生に対するテナント就労者の安心感を高め、揺れ幅を最新鋭の超高層ビル並みに抑えるために行うものです。

TMDとは従来超高層ビルの風揺れ対策に使用されてきた振子式の錘(おもり)で、今般、三井不動産株式会社と鹿島建設株式会社が日本で初めてこの技術を発展応用させ、超高層ビルの地震の揺れ対策の制震装置として実用化しました。

制震装置の導入にあたり一般居室階の窓際へオイルダンパーを設置する従来の手法も検討しましたが、TMDを屋上に設置する手法は、眺望が阻害されることや有効床面積が減少することもなく、更に居室内工事がなくなるなど、テナントへの影響を大幅に低減できるため採用することにいたしました。

「新宿三井ビルディング」における制震装置の導入効果は、東日本大震災時における長周期地震動による揺れを半分以下に大幅に低減するとともに、揺れを早期に収束させるものです。なお、三井不動産株式会社と鹿島建設株式会社は、今回あわせて、超大型のTMDを屋上に設置するための架構工法を2社共同で特許申請中です。

  • TMD:建物に減衰器(Damper)を介して錘(Mass)を取り付け、固有振動数を最適に調整(Tuned)することにより振動を抑制する装置

三井不動産株式会社は、当ビルを含め東日本大震災以降の安全・安心、BCP(事業継続計画)に対するテナント企業のニーズの高まりから、既存ビルの防災・BCPに関する機能を新築ビルと同水準に向上させる改修工事(エレベータ耐震補強工事(クラスS、自動復旧装置設置)、非常用発電機の長時間大容量化工事等)や運営管理体制の強化など、ハード・ソフト両面で取り組んでいます。今回の取り組みは、新築ビルにおいて実施する長周期地震動対策を、既存ビルでも実施するものであり、前述の取り組みをさらに強化していくものです。今後も、当社は「WORKERS FIRST~働く人にいちばんの場所であること~」をオフィスビル事業の基本理念に掲げ、すべての働く人に高いレベルの安全・安心を提供し、快適で便利に働けるオフィスづくりを行ってまいります。

鹿島建設株式会社は、超高層ビル建設のパイオニアとして、特に制震構造においては1980年代より技術開発を進め、業界をリードしてまいりました。今回、開発した大地震対応の超高層ビル用超大型TMD「D3SKY(Dual-direction Dynamic Damper of Simple Kajima stYle)」は、多くの既存超高層ビルが抱える長周期地震動に対する不安を解消する有効なソリューションです。今後多くの既存補強案件に対して、また新築の超高層ビルに対しても、当社が保有する制震技術メニューの1つとして提案を実施し、安全で快適な、そして安心な暮らしの実現に努めてまいります。

以上

【制震装置の概要】

開発の背景・経緯

三井不動産は、東日本大震災以降の安全・安心、BCPに対するテナント企業ニーズの高まりから、既存ビルの防災・BCPに関する機能を新築ビルと同水準に向上させる改修工事や運営管理体制の強化等、ハード・ソフト両面で取り組んでいます。 新宿三井ビルディングは、構造評定を受け、耐震性能を十分に満たす高い安全性を有する建物でありますが、三井不動産株式会社と鹿島建設株式会社は、東日本大震災を機に「更なる安心感の醸成」の実現に向けて検討してきました。

従来、風揺れ対策で利用されていたTMDの技術を応用し、今般、以下の3つの技術を新たに導入することで、超高層ビルの制震対応を可能としたTMD(D3SKY)を実用化しました。これらの技術導入により、直下型地震から長周期地震まで地震の規模や特性に関わらず十分な制震効果を発揮し、既存躯体の損傷を低減して従来の制震ブレースを設置する方式に比べ、建物の揺れ幅、揺れ時間を大幅に軽減します。

  1. 錘支持方式:(1)巨大な錘を支えつつあらゆる方向へ大きな変位を許容できること、(2)多数回の繰返しに対する耐久性が十分高いこと、という条件を満足するために、ケーブル懸垂式支持機構を採用しました。
  2. 変形抑制オイルダンパー:(1)2m近い振幅で3次元に動く錘にスムーズに追随できること、(2)設計時の想定を超える大地震時にも錘をスムーズに減速させ、錘に過大な変位が生じてTMDが損傷することを回避すること、という条件を満足するために、変形制御機能を内蔵したオイルダンパーを導入しました。
  3. 架構工法:既存建物の屋上に重量構造物を設置する場合、最上階の既存梁には直接大きな荷重が掛かるため、大幅な補強が必要でした。本建物では、既存梁上の既存柱に近い位置に柱を新設し、その間に十分な耐力と剛性を持つ梁を新設することで、重量構造物の荷重を柱へ直接伝えることが可能となり、既存建物の屋上にTMDの設置が可能となりました。


TMD姿図


TMDのしくみ


架構工法

装置概要

  1. 超大型制震装置TMD(D3SKY)×6基(錘1,800t)
    屋上に振り子式の錘(300t)を6基設置し、錘が揺れることで建物の振動エネルギーを吸収して地震の揺れを大幅に抑制します。
    • D3SKY:Dual-direction Dynamic Damper of Simple Kajima stYle(鹿島2方向制御ダイナミックダンパー)
  2. 高性能オイルダンパー(HiDAX-e)×48台
    低層階コア部に高性能オイルダンパーを48台設置し、建物の揺れに応じてダンパーのオイル流量を制御することにより地震の揺れを抑制します。
    • HiDAX-e:High Damping system in the neXt generation eco(鹿島次世代型制震システム)


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制震工事による効果と特徴

超大型制震装置TMD(D3SKY)と高性能オイルダンパー(HiDAX-e)の相乗効果によって以下の性能を発揮します。

  1. 直下型から長周期まで様々な地震の揺れ幅を低減します。特に長周期地震動に対する制震効果が大きく、揺れを半分以下に大幅に低減します。大型台風などの暴風時の揺れに対しても大きな低減効果を発揮します。
  2. TMD(D3SKY)は1台で2方向の揺れを制御でき、錘重量と設置ユニット数の増減により、様々な高さや形状の建物に適用が可能なフレキシブルなシステムです。
  3. 電気を使用しないので、停電の影響を受けません。

【工事概要、物件概要】

工事概要

概要 屋上にTMD(D3SKY)×6基(錘1,800t)を設置
低層部コア内に高性能オイルダンパー(HiDAX-e)×48台を設置
工期 平成25年8月中旬~平成27年4月末日(予定)
設計監修 株式会社日本設計
設計 鹿島建設株式会社一級建築士事務所
施工 鹿島建設株式会社
(本制震構法は、一般財団法人日本建築センターの性能評価審査を受け、国土交通大臣の認定を受ける予定です。)

物件概要

建物 新宿三井ビルディング
所在 東京都新宿区西新宿2丁目1番1号
構造 S造 地下RC/SRC造
階数 地上55階    地下3階    高さ210m
用途 事務所・店舗
竣工 昭和49年9月
設計 株式会社日本設計事務所(現 株式会社日本設計)
株式会社武藤構造力学研究所
施工者 鹿島建設株式会社・三井建設株式会社(現 三井住友建設株式会社) JV

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