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資産経営の基礎知識
物納

物納

物納許可の条件
 相続税は、納期限に現金で一括して払えない場合は『延納申請』により最長20年の分割納付が認められます。延納申請によっても納付困難な税額については、『物納申請』によって、相続した財産を国に納めることができます。ただ、申請すれば、どのような財産でも認められるわけではありません。物納申請財産は、以下のいずれかに区分されます。

  (1)物納適格財産
  (2)物納劣後財産
  (3)物納不適格財産

 (2)、(3)については下表にそれらの具体例をまとめましたが、これ以外が(1)と考えて良いでしょう。(2)(3)に該当する物件を物納申請する場合は、『物納劣後財産等を物納に充てる理由書』を提出し、その申請理由が認められなければ審査に進みません。なお、物納申請をした財産が(2)、(3)に該当する場合、他に(1)の物納適格財産があれば物納申請は却下されてしまいます。
物納事務の流れ
(1)物納申請時の準備

 原則として、物納の申請時点で必要書類を総て整えることが必要です。例えば土地を物納する場合、登記簿謄本のほか、実測に基づく境界確認書、貸地であれば土地の賃貸借契約書、借地人との借地境も確定しておく必要があるでしょう。これらの準備にはある程度の時間が必要で、直ぐにできるものではありません。ただ、事前の準備が原則ではありますが、例外的に最長1年までの期間延長が可能です。ただし、できなければ物納申請を取り下げたことにされてしまいます。

(2)税務署の審査

 物納の申請がなされると、前述の適格、不適格等の判定が行われます。劣後財産や不適格財産の申請があった場合は、その理由を審査します。申請理由が認められない場合には、20日以内に何らかの対応を迫られる「補完通知書」が送られ、それを放置していると物納申請を自ら取り下げたと見なされてしまいます。また、劣後財産の申請の場合は、1回限り、他の物件による再申請を認めてくれます。そして、一応は不適格とならなかった財産については、3ケ月以内に許可・却下の結論を下すことに。例外的に物納申請物件が多数となるなどの場合には6ヶ月、積雪などの特別な事情によるものは9ケ月とされていますが、あくまで原則は3ケ月です。この期間に回答がない場合は物納を許可したものとみなすことになっています。つまり、どんなに長くても9ケ月で物納申請の結論が出る仕組みです。
延納から物納への切り替えも可能!
 さて、従来は物納を却下されてしまうと、それまでの間は原則14.6%の延滞税の対象です。そのため、却下されそうな場合には、事前に物納を取り下げて延納に切り替え、2%前後の利子税になる準備をしていたのです。それが今後は却下された場合、それから20日以内なら延納の申請ができ、事前の準備は不用になりました。更に、当初は物納ではなく、延納していた場合であっても、申告期限から10年以内なら物納に変更することも可能です。従来は当初に延納を選択した場合、物納への変更はできなかったのです。また、物納を選択した場合、今までは許可までに何年かかっても金利の負担はなかったのですが、これからは当局の審査事務の期間を除き、延納同様の金利が必要になります。
物納不適格財産、物納劣後財産の具体例
物納不適格財産の具体例 物納劣後財産の具体例
国が完全な所有権を取得できない財産

抵当権付の不動産、所有権の帰属が係争中の財産など
法令の規定に違反して建築した建物及びその敷地
地上権、永小作権その他の用益権の設定されている土地
境界が特定できない財産、借地契約の効力の及ぶ範囲が特定できない財産等

境界線が明確でない土地(ただし、山林は原則として測量不要)、借地権の及ぶ範囲が不明確な貸地など
接道条件を充足していない土地(いわゆる無道路地)
都市計画法に基づく開発許可が得られない道路条件の土地
通常、他の財産と一体で管理処分される財産で、単独で処分することが不適当なもの

共有財産、稼動工場の一部など
法令・条例の規定により、物納申請地の大部分に建築制限が課される土地
維持又は管理に特殊技能を要する劇場、工場、浴場その他大建築物及びその敷地
物納財産に債務が付随することにより負担が国に移転することとなる財産

敷金等の債務を国が負担しなければならなくなる貸地、貸家等
土地区画整理事業の施行地内にある土地で、仮換地が指定されていないもの
生産緑地の指定を受けている農地及び農業振興地区内の農地
争訟事件となる蓋然性が高い財産

越境している建物、契約内容が貸主に著しく不利な貸地など
市街化調整区域内の土地等
市街化調整区域外の山林及び入会慣習のある土地
忌み地
法令等により譲渡に当たり特定の手続が求められる財産で、その手続が行われないもの

証券取引法上の所有の手続が取られていない株式、定款に譲渡制限がある株式など
相続人が居住又は事業の用に供している家屋及び土地
休眠会社の株式

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