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自宅・実家の相続対策自宅・実家の相続対策

Date:2014年6月号/執筆者:清水朝一

A様(男性:59歳)からのご相談 A様(男性:59歳)からのご相談
都内S区で一人暮らしする母(82歳)が居住する実家(200m²)の相続対策です。
父が亡くなったときは母が全財産を相続することで課税されませんでしたが、
母からの相続時にはどれくらい相続税がかかるのか
これから母の介護費等も必要になってくるので心配しています。
現時点での財産評価は1億円(土地:8,000万円、現金等:2,000万円)で、
私も妹(56歳)も既に実家とは別にマンションを取得しています。
コンサルタントからの回答 コンサルタントからの回答

平成27年からの税制改正で相続税額が大幅にアップ

世帯の小家族化や相続税の課税強化などを背景に、「親から相続した、または相続予定の実家をどうしようか?」というご相談が多く寄せられるようになっています。

特に、一人暮らしする親から別居する子供への相続においては、「配偶者の税額軽減」は使えませんし、最大で8割の評価減が受けられる「小規模宅地等の特例」の適用も受けづらいことから、予期せぬ課税を避けるための相続対策が重要になっています。

さて、A様のお母様に相続が発生した場合、このままでは前述の「小規模宅地等の特例」の適用を受けることができないので、相続税上の財産評価は原則通り1億円のままとなります。また、A様の場合、平成27年1月からの税制改正により、基礎控除額が現行税制の7,000万円から4,200万円へと縮小するため、課税遺産額が拡大して相続税額が大幅にアップすることになります。

相続税負担額を軽減するための3つの選択肢

さて、A様の相続税負担額を軽減するためには、相続財産の8割を占める「土地」の評価額を引き下げることが重要になります。

ひとつ目の方法は、A様か妹様がお母様と同居して「小規模宅地等の特例」の適用を受けられるようにすることです。A様兄妹のように親と別居する子供が相続人としてこの特例を受けるためには、二世帯住宅に建て替えるなどにより「同居」の要件を満たすことが必要になりますが、これにより8,000万円の土地評価を1,600万円(▲80%)まで大幅に引き下げることができます。

ふたつ目の方法は、土地や建物を「第三者への賃貸」することです。例えば、借地権割合60%の地域において自宅を賃貸マンションに建て替えた場合、8,000万円の土地評価を6,560万円(▲18%)まで引き下げられます。

3つ目の方法は、自宅土地を売却して相対的に評価の低いマンションなどに「資産の組み換え」をすることです。例えば、自宅土地を8,000万円で売却して同額のタワーマンションに住み替えた場合、その評価は購入価格の3~5割程度(2,400万円~4,000万円)といわれています。厳密には土地評価の引き下げではありませんが、老朽化した戸建住宅から新築マンションに住み替えることで、生活利便性やセキュリティが向上するなど、相続対策以外のメリットがあるといわれています。

メリット・デメリットを比較し、慎重に対策を決めることが大切

3つの方法のうち、もっとも評価額の引き下げ効果が大きいのはひとつ目の「二世帯同居」ですが、「誰が母と同居するか?」や「リフォームか?建替えか?」などを巡って親族間でのトラブルも発生しやすいため、不要な〝争族〟を避けるためには事前の話し合いが重要になります。

また、ふたつ目の「第三者への賃貸」をする場合には、周辺賃貸マーケットや事業収支・借入返済などについて綿密なリサーチが必要です。特に、自宅の建替えを伴う有効活用の場合には、お母様の住み替え先や仮住まいについての配慮も重要になってきます。この点、3つ目の「資産の組み換え(住み替え)」ならば仮住まいの問題は発生しませんが、長年住み慣れた住環境を変えることに抵抗感を感じる方も少なくないため注意が必要です。

このように、自宅や実家の相続対策には、「二世帯同居」、「第三者への賃貸」、「資産の組み換え(住み替え)」と大きく3つの方法が考えられます。しかし、どの選択肢が最適かは、財産内容やご家族の居住状況などにより異なりますので、ぜひ一度レッツまでご相談ください。

※本記事は2014年6月号に掲載されたもので、その時点の法令等に則って書かれています。

清水朝一
三井不動産(株) レッツ資産活用部 清水 朝一
1993年入社。ビル管理、マンション分譲、別荘地開発、高齢者住宅・施設の研究等を経て現職。弁理士、AFP、公認不動産コンサルティングマスター、福祉住環境コーディネーター、相続アドバイザー。

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