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有効活用策の種類とその選択について有効活用策の種類とその選択について

Date:2015年9月号/執筆者:杉谷 隆

E様(女性:45歳)からのご相談 E様(女性:45歳)からのご相談
75歳の父親が所有する土地に、築50年以上の貸家が3軒あります。
うち2軒については空家になっており、半年後には残る1軒も退居する予定になっています。
古い住宅が建っている土地なので、いろいろな建築業者が、アパートやマンション、
ビルなどの『建物を建てて有効活用しましょう』と毎日のように飛び込んできます。
父も、すべてが空家になったら、その土地全体で有効活用したいと思ってはいるのですが、
何をどうすればいいか、悩んでいます。
コンサルタントからの回答 コンサルタントからの回答

有効活用を考える際の注意点

ある程度のまとまった土地をお持ちの方で、これからその土地をどう活用していこうか、と悩んでいる方はたくさんいらっしゃいます。そういう方には、建築業者や金融機関などから様々な「有効活用」の提案が持ち込まれます。そこで、ご所有の土地を有効活用するうえで注意すべき点をご説明します。

まずは現状把握です。これから立案する計画がどれくらいの効果・意義があるのかを考える前提となるものとして大事ですし、場合によっては、現時点での有効活用を見送らなければならないこともあり得ます。

次に、その土地の特性を理解することです。主に有効活用の対象としてどんな用途に適しているのかを検討します。法的規制や立地環境など、特性に合わないことを無理やりおこなってもうまくいきません。また、所有者が高齢の場合は長期の計画は避けるなど配慮をすることも重要です。

最後に、事業方式の検討です。借入れをして建設するのか、借入れしない方式を選ぶのかなどを、リスクや利回りなどの観点から検討します。

等価交換方式と自己建設方式の比較

今回のご相談者の土地の場合、最後の1戸が予定どおり退去すれば有効活用についての障害はなくなり、収益性も低かったため、何かをやらなければならないことは明白でした。

立地については、山手線の駅から徒歩10分圏内で繁華街からはやや離れたところにあり、法的規制は商業地域で容積率は400%。また、その地域の人口動態や将来予測を調査したところ、今後も世帯数・人口とも増加が見込まれることから、容積率を消化できるマンション建設が最適であると判断しました。

マンション建設には主に2つの有効活用策が考えられます(表1参照)。

ひとつは土地所有者が基本的に建設投資をせずにマンションを取得する方法である等価交換方式です。これは、土地所有者が土地を提供し、デベロッパーがその土地上に建設するマンションの建設費を支出。デベロッパーはできあがったマンションのうち土地価格に見合ったマンションの住戸を土地所有者に渡し、残りは分譲して建設費を回収します。土地所有者は建設投資をしないので、比較的リスクの低い手法です。

2つ目は、土地所有者が自己資金や融資によって、その土地上に賃貸マンションを自分で建設するという方法。この自己建設方式の場合は、建物建設費の全額を土地所有者が投資し、完成したマンションを賃貸します。土地も建物もすべて土地所有者の所有なので、どのようなマンションを建てるのかも土地所有者が自由に決められますが、当該投資に対するリスクは当然土地所有者(=建物所有者)がすべて負うことになります。

経済的問題以外の観点からの検討も重要

投資の有無、収益性の違い、リスクなどの経済的な問題のほかに、土地の権利がどういうものになるのかを考えることは重要な問題です。

今回のご相談者も、投資がなくリスクが低いことで等価交換に魅力を感じていたものの、悩んだ末に「先祖から引き継いだ土地だからやはり共有ではなく単独で守りたい」という理由で自己建設方式を選ばれました。

リスク低減のためのマーケティングを十分におこなったのはもちろん、グループ会社の管理とサブリースを提案し、安心できる建設会社の紹介、金融機関の選定をお手伝いしました。さらにはご家族で資産管理会社を設立し、本人の意思能力が万一低下した場合でもスムーズに事業が遂行できるよう、ご家族への信託の利用も提案して事業の実施にいたりました。

このように、一口に「有効活用」といっても、考えるべきことはたくさんあります。土地の持つポテンシャルを調査・分析し、最もよい結果に導くための検討と見極め、そのためのコンサルティングができるパートナーを持つことが非常に大切です。

※本記事は2015年9月号に掲載されたもので、その時点の法令等に則って書かれています。

杉谷 隆
三井不動産(株) レッツ資産活用部 杉谷 隆
1984年入社。マンションの用地仕入、管理、アフターサービスなど、マンション事業に長く携わった他、フィットネスクラブ、レジャー施設、インターネット事業等の多様な経験を経て現職。マンション管理士、相続アドバイザー。

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