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「マーケットの動向」を考える「マーケットの動向」を考える

レッツプラザ2017年10月号/執筆者:岡本 良保

「マーケットサイクル」とは

マーケットには一定の循環があります、いわゆる「マーケットサイクル」という考え方です(図表1)。

現在のマーケットがどの局面にあるのかを知ることができれば、今後どのような局面に向かっていくのかという、大きな流れを把握することができます。一般的には、取引価格や賃料水準、新築着工数、稼働率が上昇を続ける「拡大期」、需要と供給のバランスが崩れ、価格や賃料等が頭打ちとなる「供給過剰期」、「供給過剰期」の反動を受けマーケットが落ち込む「後退期」、「後退期」の終了によりマーケットが安定し、マーケットが回復へ向かう「回復期」の4局面を、景気動向などと連動しながら繰り返し循環していると考えられています。

では実際、どれほどの動きがあるのでしょうか。

地価動向を振り返る

最もわかりやすいのは、地価動向です。長期的な動向を振り返ってみると、日本は戦後から4回の地価高騰期がありました(図表2)。スパンや上昇値はそれぞれですが、やはり上昇と下落を繰り返し、循環していることがわかります。

しかしこれらの動きは、後になってわかることで、今どの局面にいるかを把握することは難しいものです。

では、現在の位置をつかむためには何に注目すれば良いか、収益用賃貸マンションを例に考えてみましょう。市場価格に影響を与えるのは「賃料」です。年間賃料を投資家の期待利回りで割り戻すことによって、売却想定価格を算出するのが一般的ですが、募集賃料は公表されていても、成約賃料はあまり公表されてないのが実情です。ではこれらの売却想定価格に影響を及ぼすそもそもの需要と供給を表す指標にはどんなものがあるのでしょうか。

需要と供給を知るための指標

➀ 総住宅数
総務省統計局が発表している「住宅・土地統計調査」で確認できます。平成25年時点では総住宅数は約6,000万戸を超えており、総世帯数を超えている状況になっています。

➁ 新設住宅着工戸数
国土交通省が発表している指標です。利用関係別に調べると賃貸マンションの新規供給量もおおよそ算出できますし、貸家全体の建築増減傾向も確認することができます。

➂ 空き家数・空き家率
空き家数・空き家率も総務省が発表している「住宅・土地統計調査」で確認できます。平成25年の空室率は約13.5%でしたが、この対象には賃貸住宅のほか、売却用住宅、セカンドハウス、その他の空き家が含まれますので、必ずしも収益用賃貸マンションの状況だけを反映しているわけではありませんので注意が必要です。

➃ 新築マンション販売戸数と契約率
民間の調査会社などが発表しています。好不調を表す契約率は70%で、新築物件の供給は基本的には持ち家層が増えることにつながると予想されます。

➄ 人口・世帯
各自治体、総務省などが発表しています。重要なのは世帯数の増減です。核家族化や高齢者・若年層の単身世帯化が進み、世帯構成が変化しており、人口減少エリアでも世帯数が増加しているエリアもあります。

このような指標から、おおまかなマーケットの変化を感じとることができます。私は、実際に具体的な対象エリアのマーケットを調べる時には、そのエリアの世帯数の増減を将来的なマーケットボリュームの参考にすることがあります。重要なことは、増減しているのが単身世帯かファミリー世帯かということです。世帯数が増加傾向でも、対象物件の間取りがマッチングしていなければ今後需要が減っていく可能性が高いからです。

今回は収益用賃貸マンションで考えてみましたが、物件がオフィスビルや商業施設等であれば、参考とする指標は変わります。オフィスビルであれば、オフィスワーカーの数、商業施設であれば、消費者動向などです。

また、国の住宅政策や金融政策などの動きにも留意することが必要です。特に賃貸住宅市場は大きな影響を受けると言えます。例えば景気対策として優遇措置や低金利政策で、住宅取得のへ動きが活発になったり、相続税の増税にかかわる改正がおこなわれた際には、相続税の増税に備える手段として、相続税の評価減を目的とした賃貸住宅の建設が増加する場合など、健全な需給バランスが崩れることもありますので、外部環境の変化にも注意が必要です。

※本記事は2017年10月号に掲載されたもので、その時点の法令等に則って書かれています。

岡本 良保
三井不動産リアルティ株式会社
ソリューション事業本部コンサルティング営業一部 岡本 良保

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