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第7回 不動産を高く売るには?〈前編〉第7回 不動産を高く売るには?〈前編〉

レッツプラザ2017年10月号/執筆者:神宮 保彦

所有する不動産を売却する場合、ほとんどの方が高く売りたいと考えるのではないでしょうか?
今回は不動産の価値についての考え方を整理して、どうやったら不動産の価値を高めることができるのかについて考えてみたいと思います。

不動産価格の算出方法

私たちが不動産の価格を提案する際に「価格査定」をおこないます。査定の考え方の基本になるのは、価格について買い手がどのように判断をするのかということです。なぜなら、いくら高く査定価格を出しても買い手がいなければ机上の空論に終わってしまうからに他なりません。

価格査定の方法はいくつかあります。どの方法を採用するかは、その不動産をどんな買い手が、どのように考えて買い値を判断するかによって使い分けます。

取引事例比較法・原価法

例えば住宅地のなかにある普通の住宅の価格を判断する場合、買い手はどう考えるでしょうか? 同じ住宅地の中、あるいは比較的近い条件のほかの物件と比較して、「日当たりはどちらが良いか」とか「建物はどちらが新しいか」などと優劣をつけ、「同じ値段ならこちらが良い」とか「条件は多少落ちるが安いほうが良い」などと考えるはずです。

このような場合の査定方法は、土地を「取引事例比較法」、 建物を「原価法」を採用して査定をおこないます。 「取引事例比較法」とは、実際に近隣で売却された物件を事例にとって、様々な要素について二つの物件にポイントを付けていき、ポイント合計の格差から査定価格を算出する方法です。例えば最近A事例が坪単価100万円で売れたとして、近隣のB物件を査定する場合、 A事例のポンイトが100点、B物件のポイントが110点だったとすると、100万円×110ポイント/100ポイント=110万円となり、B物件の査定坪単価は110万円となります。

なお、ポイントを付ける項目は多数あり、土地の形状、日当たり、騒音の有無等、いずれも買い手が購入を検討する際に決め手になるであろう項目となっています。

また「原価法」とは、建物を建築する際にかかったであろう金額を想定して、経過年数に応じて減価していく方法です。この方法では建物の構造やランクによって減価する条件が変わってきます。

収益還元法

それでは、賃貸アパートや賃貸マンション・オフィスビルなどの価格はどのように算出されるでしょうか?
買い手は、その物件から収益を得ることを期待して購入を検討すると考えられます。

要するに投資の考え方で判断することになります。いくら投資して、年間どれくらいの収益があって、保有コストが年間にいくらかかり、手元にいくら残るか? というように考えるはずです。それを数値化して指標にするのが「利回り」です。例えば5,000万円の賃貸アパートを購入したとして、年間500万円の賃料収入があり、保有コスト(管理や固定資産税など)が年間100万円掛かるときの「ネット利回り」は、(500万円―100万円)÷5,000万円=8.0%となります。

それぞれの物件について、その立地や種別・経過年数等から、買い手が期待するであろう利回りを想定して査定価格を算出する方法が「収益還元法」と言われる方法であり、その場合の利回りを「還元利回り」と言います。利回りには、保有コストを差し引く前の収入をもとに算出される「表面利回り」と、保有コストを差し引いたあとのネット収益から算出される「ネット利回り」の2種類があります。

開発法

比較的広い土地や、マンション等が建築できるような土地の価値を算出する場合には、そこに建物を建築するなどして事業をすることを前提に事業収支をシミュレーションし、その土地の価格を算出します。この方法を「開発法」と言い、事業の内容は、「戸建分譲事業」「オフィスビル賃貸事業」「マンション分譲事業」等の中から、その土地を活かすために最もふさわしい方法が採用されます。

不動産を高く売ることを考えた場合、その不動産の価格がどんな方法で算出されるかを知ることが、まず第一歩となります。次回はどうやって査定価格を高くするかについて考えてみましょう。

※本記事は2017年10月号に掲載されたもので、その時点の法令等に則って書かれています。

神宮 保彦
三井不動産リアルティ株式会社
関西支店 コンサルティング営業グループ 神宮 保彦

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