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Date:2010年7月21日/執筆者:田村誠邦

土地活用はアパマン投資に勝てるか?(2)

今回も、前回に引き続き、土地所有者による「土地活用」と、個人投資家による「アパマン投資」の比較をしていきます。

前回のコラムでは、次の2点を確認しました。

  1. (1)建物と併せて土地を購入する必要のある「アパマン投資」は、一見、土地の購入を必要としない「土地活用」よりも、利回り的に不利のように見えるが、中古物件を選んで投資すれば、利回り的にも「土地活用」に劣らないこと
  2. (2)「アパマン投資」の最大の利点は投資物件を選べることであり、賃貸経営に適した立地に、自らの投資基準に合った物件だけを選んで投資することができること

このように、個人投資家による「アパマン投資」は、土地所有者による「土地活用」に十分に対抗できるだけのメリットを持っているのですが、こうした投資物件そのものに起因するメリットに加え、「アパマン投資」には、もう一つの大きな優位点があるのです。それは、賃貸経営ビジネスに対する事業主体の取り組み姿勢やマインドに関する優位点です。

「アパマン投資」を行う個人投資家には、サラリーマンもいれば、専業でアパマン経営を行う個人事業主もおり、そのプロフィールはバラエティに富んでいますが、そのいずれの個人投資家にも共通しているのは、「アパマン投資」に対する取り組み姿勢やマインドです。

すなわち、「アパマン投資」を行う個人投資家は、「アパマン投資」による収益により、より良い生活を実現し、さらには、個人資産の増大を図ろうとする積極的な姿勢を持っています。そして、そのために、様々な機会を通して、「アパマン投資」や「アパマン経営」に関する知識やノウハウを習得し、それを実際の投資や経営に当てはめながら、その投資レベルや経営レベルの向上を図っているのです。

「アパマン投資」を行う個人投資家は、誰かに言われたためでもなく、誰かのためでもなく、自分と自分の家族のために、自らの意思とリスクにおいて、「アパマン投資」、「アパマン経営」に日夜努力し取り組んでいるのです。そして、「賃貸住宅経営」を一つのビジネスとして捉え、「経営者」として努力している点に一つの特徴があります。

これに対して、「土地活用」を行う土地所有者は、土地をはじめとする先祖代々の資産を守ること、子孫に承継していくことを目的として「土地活用」に取り組んでいるケースが多いのです。ですから、収益や資産の増大を目的として、賃貸経営に関する知識やノウハウを積極的に習得したり、習得した知識やノウハウを賃貸経営に活かし、収益や資産の増大に日夜努力したりしているといった事例は、ほとんど見られないのが実態です。当然のことながら、「賃貸住宅経営」を一つのビジネスとして捉える視点も、自らを「経営者」として意識する視点も乏しい訳です。

世の中の商売やビジネスを見渡すと、多くの場合、創業者が元気に頑張っている時が一番うまくいっているケースが多いと思います。商売やビジネスの基盤を引き継いだとしても、2代目は創業者ほどの実績を残せないことが多いのです。これは、やはり、商売やビジネスに対する取り組み姿勢やマインドの違いから来るものと考えられます。土地資産を引き継ぐ賃貸住宅ビジネスについても、例外ではないのです。

こうした結果、ほぼ同じような立地に、同じようなアパート、賃貸マンションを経営している場合にも、個人投資家による「アパマン投資」の方が、もともとその地域で土地を所有していた土地オーナーの「土地活用」よりも、経営的にうまくいっているケースが多いのです。

もちろん、すべての「アパマン投資」がうまくいっている訳ではありません。ここ数年の間に、仙台、札幌、福岡などの地方中核都市に、一棟もののアパートや賃貸マンションが大量供給され、首都圏のサラリーマン層などが競ってフルローンで購入するといった傾向がありました。

土地勘のない地方都市で、賃貸経営ビジネスの基礎知識もないまま、業者の勧めるままに目いっぱい借金をして物件を購入し、その後の管理運営も業者任せといった個人投資家も多かった訳です。その後、ミニバブルもはじけ、大量供給の結果として空室率も跳ね上がり、家賃を下げようにも借入金の返済額が大きくて下げられず、破綻寸前の状況に追い込まれている事例も見られるのです。

しかしながら、多くの個人投資家は、こうした人任せのアパマン投資ではなく、しっかりと賃貸経営ビジネスを学び、リスクの所在とその対処法を考えながら、地に足の着いたアパマン投資をしているのです。その結果、その地域の土地オーナーによる「土地活用」よりも、経営的にうまくいっている事例が多いのです。

さて、実は、土地所有者による「土地活用」と、個人投資家による「アパマン投資」には、もう一つ大きな相違点があります。これは、前述の賃貸住宅ビジネスに対する事業主体の取り組み姿勢やマインドとも大いに関連するのですが、両者の年齢層の違いです。

言うまでもなく、「土地活用」を行う土地オーナーは、その土地を相続で取得したケースが大半であり、長寿化に伴い、その土地を相続した時点で、50代半ば以降の年齢であるのが一般的でしょう。また、相続対策としての「土地活用」も多いことから、70歳代以降に、土地活用を始めるケースも多いはずです。その結果、「土地活用」を行っている土地オーナーの平均年齢は、おそらく、70歳を超えているのではないでしょうか。

これに対し、「アパマン投資」を行っている個人投資家の年齢層は、はるかに若いことがお分かりでしょう。サラリーマン投資家を中心として、30代から50代くらいが中心層ではないでしょうか。こうした年齢層の違いが、前述のような、「賃貸住宅ビジネス」に対する取り組み姿勢やマインドの違いを生み出す大きな要因となっているのではないでしょうか。

このように、一見、土地を所有している土地オーナーによる「土地活用」の方が、土地を所有していない個人投資家による「アパマン投資」よりも有利に見えるのですが、実際には、利回りの観点では両者に実質的な差は存在していませんし、立地や物件選別の観点や、事業主の「賃貸住宅ビジネス」に対する取り組み姿勢やマインド、年齢等からの観点からは、むしろ、個人投資家による「アパマン投資」の方が有利な点が多いのです。

さて、それでは、「土地活用」を行う土地オーナーが、「アパマン投資」を行う個人投資家に打ち勝つ方法はないのでしょうか。

もちろん、その方法はあります。詳しくは、次回をお楽しみに。

田村誠邦
(株)アークブレイン 田村誠邦
不動産鑑定士、一級建築士。東京大学卒。三井建設、シグマ開発計画研究所を経て独立。建築再生や建替えといった各種建築プロジェクトのコンサルタントとして活躍中。

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