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Date:2011年6月29日/執筆者:太田三津子

空き家になった実家をどうしよう

世の中には「持つ者」と「持たざる者」がいます。
「持たざる者」からみれば、不動産の悩みなんて贅沢な悩みに見えるでしょう。
でも、今は「不動産を持っているだけでバラ色」とはいきません。
不動産はうまく活かして初めて、持ち主をハッピーにする資産に「なる」のです。
このコラムでは、そのための頭の整理方法と問題解決のヒントをご紹介します。
さて、今回は、田舎の実家を相続された滋子さん(51歳)。思い出が多すぎて、片付けることも売ることもできずにいました。そんなとき、ご近所から苦情の電話が……。

「それは、実家のある町の町内会長からの電話でした。『あんたのところの家ねえ、お母さんが亡くなってから、もう1年ほどもどなたも住んでいないようだが、どうなっとるのかね。ご近所から物騒だと苦情が来とるんだが。……草もぼうぼうで、まわりじゃ迷惑しとる』。もう、びっくりして平謝りにあやまりました。

気にはしていたんです。母が亡くなったあと、私と妹で話し合って、預貯金は妹、実家は私が相続することで話はまとまっていました。そのとき、妹が『実家も処分して現金で分けようよ』と言ったのですが、私は思い出のある家を簡単には手放す気持ちになれませんでした。むしろ、そんなことを口にする妹を責めたくらいです。田舎といっても、東京から新幹線で2時間ほどの距離。夫が定年退職したら田舎暮らしもいいんじゃないか、という気持ちもありました。

お葬式が終わってから、いったんは母の遺品を片付け始めたのですが、モノが多くていくら片付けても片付きません。私が小学生の頃に描いた絵までとってあったんです。いろいろな思い出が甦ってきて、辛くてそれ以上続けることができなくなってしまい、心ならずも放置していました。

電話を受けてあわてて故郷に帰り、町内会長さんやご近所の方にご挨拶にまわりました。確かに実家の庭は見る影もないほど雑草が生い茂り、玄関を開けるとプーンとカビの臭いが鼻をつきます。人が住んでいないと、家も死んでしまうんだと思いました。

結婚して実家を離れて20年。駅前から数分の便利な場所ですが、昔は活気のあった駅前商店街も寂れているようで、お年寄りの姿ばかりが目につきます。主人にも相談したのですが、私の田舎に戻る気はないようです。処分するか、利用するか、これ以上、先送りはできないと思っているのですが、未だに決心がつきません。」

滋子さん、勇気を出して第一歩を踏み出すときです。前向きに考えましょう。折角、お母様が残してくださった財産です。それがご近所の迷惑になっていると知ったら、お母様が嘆かれると思います。

気持ちを整理するためにも、一週間くらいの期限を決めて片付けに行きましょう。辛かったら、妹さんも一緒に行かれたらいいと思います。現実派の妹さんが背中を押してくれるでしょう。

片付けは、気持ちの整理になります。段ボール箱をたくさん用意して、「書類や遺品など家に持ち帰るもの」「どなたかに差し上げるもの」「捨てる決心がつかないもの」を選び出し、どんどん放り込みます。それだけでも結構な仕事です。あまり考えず、直感でさくさくと進めてください。だんだん早く決断できるようになりますから。第1回目の片付けはここでおしまい。

日をおいて、2回目の片付けです。段ボールに入れたものを再チェックしてください。不思議に「これはいらないな」というモノが出てきます。これは時間のマジック。気持ちが冷静になるのです。段ボールに残したモノ以外は廃棄業者に処分してもらいます。庭の草取りは地元のシルバー人材センターにお願いするのも一手です。役所に聞けばわかります。

3回目は掃除です。家に感謝しながら丁寧に掃除をします。自分だけで無理ならば、業者に手伝ってもらいましょう。家の中も外もさっぱり綺麗になると、自然に「次に進もう」という気持ちが沸いてくるはずです。

さあ、次は不動産会社に家を査定してもらいましょう。買い手がいるか、借り手がいるか、あるいは他の活用方法があるかなども相談してみましょう。固定資産税や都市計画税などを毎年いくら払っているか、地価動向も調べます。保有コストや資産価値の目減りを数字で確認するのです。選択肢は「売る」、「貸す」、「活用する」のいずれかでしょう。専門家にセカンドオピニオンを求めてください。駅から数分なら、上手な活用の方法もあるかもしれません。

実は、私も滋子さんと同じ経験があります。私の実家は、ご縁があって地元のNPO法人が定期借家契約で借りてくださり、ご近所のお年寄りのデイケアセンターとして「第2の人生」を歩んでいます。庭ではお年寄りの方々がガーデニングを楽しんでいます。花が好きだった母も喜んでいるだろうと思うと嬉しくなります。ささやかですが、お家賃も入ってきますしね。

さあ、家の片付けに出掛けましょう。第一歩を踏み出せば、自然と次の展開が見えてくるものです。勇気を出して、グッドラック!

太田三津子
フリーライター 太田三津子
不動産ジャーナリスト。1978年、青山学院大学卒。「住宅画報」編集、「住宅新報」記者を経て1995年に独立、専門誌や経済誌を中心に住宅・不動産関係の記事を執筆する。

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