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Date:2009年12月15日/執筆者:川上由里子

豊かな感性がつくる「いきいき脳」

冷蔵庫の扉を開けてから「何を出すつもりだったっけ!?」は、脳の老化のサイン。誰にでも起こり得る生理的な物忘れです。一方でアルツハイマー型認知症、脳血管性認知症など脳の病気による物忘れがあります。脳の健康は、それまでのライフスタイルに大きく影響を受けることがわかってきました。

認知症は脳の萎縮がもたらす病気ですが、初期の段階では緩やかに進行し、生理的な物忘れと見分けがつきにくいものです。物忘れで不安を感じたらできるだけ早く、もの忘れ外来や精神科・神経内科を受診しましょう。たとえ認知症と診断されても、早期に投薬など適切な治療を受ければ、進行を遅らせることができます。また、周囲の接し方も重要です。なんとか元に戻そうと道理を説いたり、自分の家族に限ってとの思いから、失敗を責めたりすると、本人は混乱し、病状は急カーブを描いて悪化。後々、周囲のサポートが必要となります。

認知症の予防には、脳の血流を促すウォーキングなどの有酸素運動や、血行をよくするビタミンE、Cが豊富な野菜・果物、青魚などを摂ると効果があるといわれています。また、思い出すことも脳を鍛えるには効果的です。数日前の日記をつけるのもおすすめです。ただし義務ではなく、写真やイラストを添えるなど楽しみながら行うことがポイントです。体験は面白がって視、聴、味、触、嗅の五感をフル活用しながらインプットすると、記憶として脳に強く刻まれます。

近年、ジョセフ・アルトマンにより「成人した後でも、学ぶことで脳の神経細胞は新たに生成される」ということが証明されました。興味のあることを一生懸命に学んだり、楽しく遊んだりして脳を使っていれば、年を重ねながらも脳細胞を育てていけるという、嬉しい発見です。そのほか、自分の生き方を自分で選択して生きている人、他者を思いやって生きている人、豊かな感性を持っている人は、脳を健康に保っていることが多いように見受けます。このような方の脳は、簡単にへこたれない「いきいき脳」です。人は高齢になればなるほど、体も脳も個人差が開き、個性が強くなります。前向きに学び続け、気配りや思いやりを増していく人もいれば、過去にこだわり不満や不安ばかりで孤立したり依存する人もいます。大切なことはいかに年齢を重ねるかなのです。

認知症を患う方やその家族に、共通する暮らし方を見ることがあります。あまり心を動かすことなく暮らしてきた方が、同様の暮らしを送る家族とともに、悲劇の渦中に巻き込まれるケースです。

私は皆様の人生の一部に触れながら、心で感じ、コンサルティングやセミナーを行っています。季節の花を見て美しいと思う気持ちを大切にし、そういう時間をつくるよう心がけています。これも脳の健康対策かもしれませんね。

川上由里子
ケアデザインプラザ ケアコンサルタント
川上由里子
ケアマネジャー・看護師・産業カウンセラー。三井不動産(株)ケアデザインプラザで、介護を含めたシニアライフのコンサルティングを行っている。

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