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不動産鑑定にまつわるエトセトラ不動産鑑定にまつわるエトセトラ

Date:2010年3月8日/執筆者:芳賀則人

土地の面積と価格

土地の値段は昔から(戦前ぐらいから?)「坪いくら」という表現が主流を占めています。

現在は尺貫法がなくなったことにより、公的な文書等では、正式には「1m2いくら」という表示になっています。しかし、不動産業者の間では(というよりも一般的には)依然として「坪いくら」が使われています。生まれが昭和40年以降の人あたりを境にして1坪という面積の概念がかなり薄くなっているのは確かですが、こと不動産に関しては坪表示の方が若い人にも分りやすいのではないでしようか。

1坪というのは、畳で言えば2畳分に該当し、m2表示では3.305785m2です。1÷0.3025で計算されます。ちなみに、m2を坪に換算する方法は1×0.3025=0.3025坪になります。仮に100m2の土地は100m2×0.3025=30.25坪となり、100坪の土地は100坪÷0.3025=330.57m2になります。0.3025という数字がキーワードで、覚えておくと便利です。

ところで、今は1m2とか1坪とか最小単位で話を進めていますが、実際に売買される土地は1m2などという小さい土地は例外を除いてまずありません。

東京周辺に限って言えば、一般的な建売物件の敷地面積は100m2~120m2ぐらいが標準的な面積です。何故これが標準的かというと確固たる根拠はありませんが、あえて根拠を挙げるとすれば、(1)大手不動産業者と言われる建て売り物件の敷地がほぼ横並びで100~110m2であること、(2)旧住宅金融公庫の融資適用面積が100m2以上であったこと、(3)日本人の持つ伝統で30坪程度が一般的という感覚があることなどが考えられます。

もちろん、都心部のような地価水準(相場)が高いところでは、60m2とか70m2といった、とても小さな土地(狭小宅地)に分割して、総額を抑えた、売りやすい(あるいは買いやすい)価格にして販売するのが不動産業者の普通の営業方法です。

さて、『1坪当たり100万円で売買された』という話をよく耳にします。でも1坪の土地では建物は全く建てられないので1坪だけを買う人はいません。では1坪100万円ということはどういうことでしょうか。

30坪(100m2程度)ぐらいが標準的な土地と先ほど書きましたが、1坪あたり100万円になる前提の土地面積があるのです。つまり、坪100万円が成立するのは30坪ぐらいの土地があったら、その値が付くということです。

スーパーで牛肉を買うときに100gで300円の牛肉を1gだけ下さいとは言いません。家族4人で食べるのなら500gで1,500円になります。

坪100万円程度の住宅地は東京都に限って言えば中の中のランクです。牛肉で言えば、そこそこの産地の和牛クラスでしょうか。でも、100gで3,000円もするような松阪牛もあります。土地で言えば田園調布のようなところです(土地は坪300万円としておきましょう)。

ここで注意したいのは、牛肉は単価にグラムを掛けて値段を出しますが、土地はそうではないということです。土地の価格は標準的な(妥当な)面積があったならば、それに対応して坪いくらという値段が付くのです。

  • 牛肉の値段設定は(牛肉の産地による単価)×(単純なg数)=価格
  • 土地の値段設定は(地域による土地単価)×(単純な坪数)≠価格

分かりにくいところですが、これが土地評価の難しさと妙味の部分です(何度も繰り返し出て来ますので、今はなんとなく分かったということでも良いでしょう)。

まとめ

  • 1m2当たり(一坪当たり)いくらと言っても1m2の土地を買う人はいません。
  • 実際に売買される土地は、どんなに小さくても70~80m2ぐらいなければ、(例外もありますが)なかなかまともな家が建ちません。

一般的には100m2(30坪)ぐらいが標準的な面積とされています(本当はもう少し、ゆとりが欲しいところですが)。ということは、1m2当たりいくらという表示は1m2の土地のことではなく、100m2程度の土地ならこのぐらいの単価になるということです。図1の右図のような何の欠点もないきれいな形の場合にのみ通用します(専門的には、整形地とか標準画地と言います)。

小さい土地・普通の土地・大きい土地

実際に取引される土地は100m2に限ったことではなく千差万別です。小さい土地、大きい土地と様々です。

(1)70m2の土地の場合

70m2の土地と100m2の土地を比較すると、それぞれが同一の道路に面して地形も整形であれば総額面(全体の価格)では70m2の土地の方が低くなるのは当然です。しかし、1m2当たりの単価は割高なのか割安なのかが問題です。

実は鑑定評価理論では過少宅地(小さ過ぎて有効利用度が低い)と判定するため100m2の土地より下げることにしています。しかし、現実の市場では、総額で「買いやすい・売りやすい」という力が働きますので、100m2の土地より高くなる傾向があります(このように理論上の理屈が実際の市場では通用しないことがよくあります)。

100m2の土地の単価が300,000円/m2とすると、

○評価額:300,000円/m2×100m2=30,000,000円

70m2の土地の単価が、100m2の土地と比較して10%アップの330,000円/m2になることもあります。この場合は、

○評価額:330,000円/m2×70m2=23,100,000円

総額では2,310万円の方が安く、買い易くなります。したがって、70m2の土地単価が高くても、この価格(総額)で売れる可能性があるのです。

では、90m2の土地はどうなるでしょうか? 例えば、単価は3%アップとして、300,000円×(1+0.03)=309,000円となり、以下のようになります。

○評価額:309,000円×90m2=27,810,000円

(2)150m2以上の土地の場合(やや大きい面積の場合)

100m2の土地が1m2あたり300,000円とすると150m2の土地の場合はどうなるのでしょうか? 小さい土地と同様に地形は整形地、道路付けも同じとします。

これも需要と供給の原理が働き、総額が大きくなればなるほど単価は低くなります。

150m2の土地の評価は、100m2の土地と比べて、例えば単価が5%下がると考えます。

○300,000円×(1-0.05)×150m2=42,750,000円

200m2の土地は、100m2の土地より、例えば単価が10%低くなると考えます。

○300,000円×(1-0.1)×200m2=54,000,000円

200m2ぐらいになると100m2の土地よりも買い手の数(需要者)が総額面から少なくなることと、プロの買い手である建て売り業者の仕入れ用の土地になることもあるからです。その場合、事業上の採算性や地価の下落リスクを考慮するため、エンドユーザー価格より低目に買わなければ採算が取れません。

いままで説明したことを、スーパーマーケットの店頭で「りんご」と「スイカ」を売る場合の方法に例えたものが、次の私が勝手に考えた「りんごとスイカの理論」です。

スーパーで1個100円のりんごが5個入っているとします。この5個入れパックが500円で売られています。普通はこれを買う訳です。

では、りんごが1,000個入っている場合、これを1個100円で買うでしょうか? こんなにたくさん買うのだから1個50~60円にして欲しいと思うでしょう。これを買う人はプロの卸売り業者なので当然の如く50~60円で買おうとする訳です。

りんご5個分が土地で言えば100m2(30坪)の土地で、りんご1,000個分が土地で言えば3,000m2(900坪)の土地ということです。

また、1個2,000円で売られているスイカがあるとします。半分になったら1,000円で売るでしょうか? 私がスーパーの店主だったら1,100円~1,200円の値段で売りに出すでしょう(強欲ジジイと言わないで下さい。これが商売です)。ちょっと割高でも小人数の家族だとこのほうが買い易いし、冷蔵庫にも入れ易い。

これが4分の1になったら、私だったら650円ぐらいで売りに出します。2,000円の単価から見ると20~30%割高になります。でも、きっと売れるでしょう。独身者でも買えますから。

2,000円のスイカ(1個)が土地で言えば200m2(60坪)の土地で、1,100円のスイカ(半分)が土地で言えば100m2(30坪)の土地で、650円のスイカ(4分の1)が土地で言えば70m2(21坪)の土地ということです。

まとめ

  • (1)土地は面積の大小によって単価(価格)が異なる。土地評価において大きなポイントの一つです。
  • (2)今、住んでいる(あるいはこれから買おうとしている)地域の相場観(標準的な土地の価格)を知る。

土地の価格は地域ごとにある一定の相場が形成されています。その相場に最も影響を与える要因が駅からの距離です。例えば徒歩5分の地域、10分の地域、15分の地域それぞれに相場があります。どのようにそれを見極めるかですが、プロは取引事例(実際の売買事例)を分析して、その違いを判定します。かといってその相場の賞味期限(価格の有効期間)は、いつまで保つのかも重要です。半年前の価格が通用しないほど変動幅(下げる方が圧倒的に多いが例外として上がることも)が激しい時代です。

芳賀則人
(株)東京アプレイザル 芳賀則人
不動産鑑定士。神奈川大学卒。士業との連携も活かし、数多くの不動産を鑑定評価。平成12年には相続アドバイザー協議会を設立し、相続の専門家教育にも従事している。

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