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Date:2011年1月18日/執筆者:田村誠邦

マンションの価値を見直す(2)新築マンションの原価

マンションの価値を見直す上で、今回は、新築マンションの原価について探ってみることにしましょう。

新築マンションの原価は、大きくは、土地代、建築工事費、そして、マンション開発と分譲を行うデベロッパーの経費の3つの項目から構成されています。具体例をもとに、考えてみましょう。

例えば、面積4,000m2で、容積率200%の土地があったとします。容積率というのは、敷地面積の何倍までの建物が建つのかを決める比率で、都市計画によって決まっています。この土地に、容積率一杯のマンションが建ったとすると、そのマンションの延床面積は、4,000m2×200%=8,000m2となります(正確には、容積率で上限が決まる建物の面積は、容対面積と言われ、建物の延床面積とは異なります。例えば、共同住宅の内部共用廊下や階段の面積、建物の延床面積の5分の1までの駐車場面積などは、建物の延床面積には入りますが、容対面積には含まれません)。

しかしながら、その8,000m2全体が、そのマンションの販売面積になる訳ではありません。マンションで販売対象となる面積は、マンションの住戸部分(専有部分と言います)だけです。この専有面積の合計値の延床面積に対する比率を、有効率と言います。

つまり、延床面積×有効率=専有面積の合計 となる訳です。

今、このマンションの有効率が91%だったとすると、このマンションの専有面積の合計は、8,000m2×91%=7,280m2となります。そして、このマンションの戸数が104戸であれば、このマンションの住戸の専有面積の平均値は、70m2になります。

次に、このマンション1戸当たりの土地価格と、建築工事費を求めることにしましょう。

まず、土地価格から考えます、このマンションの分譲を行うデベロッパーが、この土地を、1m2あたり500千円で取得したとします。そうすると、取得総額は、4,000m2×500千円/m2=2,000,000千円となります。マンション1戸当たりでは、2,000,000千円÷104戸=19,230千円となります。実際には、土地の仕入れには、仲介手数料等の経費がかかりますが、ここでは、上記の土地価格に含まれているものとして計算します。

次に、建築工事費を考えます。このマンションの延床面積1m2あたりの建築工事費を250千円とすると、マンション全体での建築工事費は、8,000m2×250千円/m2=2,000,000千円となり、マンション1戸当たりでは、2,000,000千円÷104戸=19,230千円となります。実際には、建築工事費以外に、設計料や地盤調査費、測量費などの経費もかかりますし、消費税もかかりますが、ここでは、上記の建築工事費に含まれているものとして計算します。

こうして、このマンション1戸当たりの土地代と建築工事費が、それぞれ、19,230千円と19,230千円と求めることができました。

次に、デベロッパーの経費について見てみることにしましょう。デベロッパーが分譲事業を実施するためには、広告宣伝費や販売費などの販売に要する費用、事業期間中の金利、企業としての一般管理費などの経費が掛かります。これらの経費とデベロッパーの利益を併せたものを、デベロッパーの粗利と呼びますが、これは、売上高すなわち分譲総額の20%~25%程度になります。

ずいぶん利益幅が大きいと思われるかもしれませんが、販売に要する経費が分譲総額の6%~8%程度、金利や諸税などの実費が分譲価格の3%~4%程度、さらに、デベロッパーの一般管理費が5%程度はかかりますので、デベロッパーの純利益は、分譲総額の5%~10%程度です。この利益の範囲内で、分譲事業の様々なリスク(売れ残りや建設費の高騰、販売価格の下落等のリスク)を負う必要があり、リスクに見合った利益幅と考えられます。

今、仮に、デベロッパーの粗利率が分譲総額の20%であるとした場合、上記の計算例で、分譲マンション1戸当たりの分譲価格を計算すると、次のように計算できます。

  • ○1戸当たりの原価=土地代+建築工事費=19,230千円+19,230千円=38,460千円
  • ○1戸当たりの分譲価格
  • =1戸当たりの原価÷(1-デベロッパーの粗利率)
  • =38,460千円÷(1-0.2)=48,075千円

つまり、原価38,460千円のマンションの1戸当たりの分譲価格が48,075千円であれば、デベロッパーは、20%の粗利を確保できる訳です。

このように、新築分譲マンションの販売価格は、原価の面から見れば、土地の仕入れ価格、建築工事費、およびデベロッパーの粗利によって決まることが分かります。

田村誠邦
(株)アークブレイン 田村誠邦
不動産鑑定士、一級建築士。東京大学卒。三井建設、シグマ開発計画研究所を経て独立。建築再生や建替えといった各種建築プロジェクトのコンサルタントとして活躍中。

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