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定期借地権を見直そう

ちょっとお得な資産経営の新常識

定期借地権を見直そう
なかなか普及しない定借住宅

 定期借地権という必ず土地が戻ってくる借地権の制度が作られたのは平成4年8月ですから、もう16年も前のことです。従来の借地権(「旧法借地権」といいます)が、一度土地を貸すと二度と土地が戻ってこないという制度だったのに比べ、定期借地権は、地主にとっても利用しやすい制度になると期待され、一方、借りる側のユーザーにとっても、一時金の負担が少ない定期借地権を利用した住宅(これを、「定借住宅」といいます)は、土地所有権よりもはるかに安く取得しやすい住宅になるものと期待されました。
 しかし、現実には、平成19年までの15年間に、定期借地権で供給された住宅は、わずかに6万戸程度に過ぎず、全住宅ストックの約0.1%に過ぎません。その理由はいろいろ考えられますが、地主から見た場合、定期借地権住宅のメリットが分かりにくいことが、大きな要因の一つとして指摘されています。

定期借地権付住宅の供給戸数の推移(国土交通省)
定期借地権の一時金に「前払賃料方式」が登場

 まず、定期借地権を設定したときの一時金ですが、通常は、「保証金」という形で受け取ります。相場は、土地代金の20%程度ですが、この保証金を受け取ったときの税金はかからない代わりに、契約期間満了時(通常は50年後)に、この保証金を借地人に返還する必要があります。つまり、保証金は、地主にとって、収入ではなく、単なる預かり金なのです。この場合、地主にとって、将来の保証金の返還が心理的に大きな負担になります。子孫に借金を残すからです。


 しかし、この問題は、「前払賃料」という仕組みが登場し、ほぼ解消されました。「前払賃料」とは、契約時の一時金を賃料(地代のことです)の前払いと捉えたものです。たとえば、毎年100万円の地代を50年間受け取る代わりに、5千万円を「前払賃料」として受け取ったとします。この場合、受け取り時には、課税されず、その代わりに、毎年、5千万円÷50年=100万円の収入があったものとして課税申告すればいいのです。個人の所得は累進課税ですので、5千万円を一時所得として課税されることに比べれば、はるかに税金は安くなります。また、保証金とは異なり、前払賃料は、賃料(地代)の前払いですから、契約満了時に、借地人に返す必要のないお金です。


 このようにして、受け取った前払賃料を、たとえば、別の所有地上のアパートの建設資金に充てれば、税引き前で8%程度の利回りは期待でき、定借住宅の敷地に借入金でアパートを立てた場合よりも、はるかにリスクも少なく、手取り額も大きい土地活用が可能になるはずです。

地代収入の利回りは低くても、リスクは少なく、節税効果は大きい

 定借住宅での土地活用の毎年の地代は、前述の保証金とは別に、土地代の1%程度が相場です。この額は月ぎめの駐車場と比べても、ほとんど同じか若干高い程度で、これが、地主にとって、定借住宅事業のメリットを実感しにくい大きな要因になっています。しかし、月ぎめ駐車場と比べると、固定資産税と都市計画税の課税標準が、それぞれ、6分の1、3分の1に軽減されるため、これらの税金控除後の手取り額で比べると、定借住宅事業の方が、はるかにメリットがあります。さらに、相続時には、月ぎめ駐車場の評価額に比べて、定借住宅の敷地は、45%~20%程度、評価額が下がり、相続税の節税効果があります。また、借入金による賃貸住宅経営に比べても、借入金の返済リスクと、空室リスクがないので、はるかに、安定的な事業といえます。特に、最寄り駅から距離があるなど、賃貸住宅経営に不安のある立地では、お勧めの事業といえるでしょう。

もう一度、定借住宅事業を見直してみませんか?

 このように、定借住宅事業は、他の土地活用に比べても、大きなメリットをもった事業です。もちろん、すべての土地に適しているわけではありませんし、前払賃料などを利用するには、専門的なノウハウが必要です。しかし、案ずるよりも生むが易すし。ぜひ一度、専門家に相談されて、定借住宅事業の可能性を調べてみては、いかがでしょうか。

2008/08/07

不動産鑑定士、一級建築士。東京大学卒。三井建設、シグマ開発計画研究所を経て独立。建築再生や建替えといった各種建築プロジェクトのコンサルタントとして活躍中。

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