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古いアパートを活かしたい

「持てる」女性たちの贅沢な悩み相談室

古いアパートを活かしたい

世の中には「持つ者」と「持たざる者」がいます。
「持たざる者」からみれば、不動産の悩みなんて贅沢な悩みに見えるでしょう。
でも、今は「不動産を持っているだけでバラ色」とはいきません。
不動産はうまく活かして初めて、持ち主をハッピーにする資産に「なる」のです。
このコラムでは、そのための頭の整理方法と問題解決のヒントをご紹介します。
さて、今回は相続で2棟のアパートをもらった恵子さん(59歳)のお話です。ご主人が株で大損したのをきっかけに、古いアパートを巧く活用して老後の余裕資金を生み出したいと考えるようになったそうです。

「主人は退職金の過半を株で運用していました。昨年まではすごく儲けたみたいで、『おい、世界旅行に連れてってやるぞ』なんてご機嫌だったのに、最近はため息ばかり。好きなゴルフも控えています。はっきり言いませんが、どうやら今回の株安で大損したみたいです。

お金のことは主人に任せておけばいいと思っていましたが、今回のことで、自分の老後資金は自分で生み出そうと考えるようになりました。たぶん、私のほうが長生きするでしょうからね。これを聞いたら主人が気を悪くしそうなので、内緒ですけれど……。

私個人の資産としては、7年前、親から遺産としてもらったアパート2棟と現金3,000万円、それに私のへそくりが1,000万円くらいあります。アパートは横浜の郊外の最寄り駅から数分。大通り沿いで敷地は約120坪、2棟合わせて2LDKが20部屋です。先日見に行きましたが、周辺にお洒落な店が増えたせいか、とてもみすぼらしく見えて恥ずかしくなりました。親の代からおつきあいのある地元の不動産屋さんに管理を任せていたのですが、入り口に自転車が散乱していたり、空き室のポストが片付いていなかったりで、唖然としました。

4部屋が空いたままになっていますが、この状態では無理もないと思います。ずっと他人任せにしていた私が悪いのですが、このままでは老後の余裕資金を稼ぎ出すどころか、老後のお荷物になってしまいそう。なんとかしなければと思うのですが、どこから手をつけていいかわかりません。この件は主人にも相談したくないし、ひとりで悶々としています。」

 恵子さん、私も同じような経験をしましたが、ひとりで悩んでいてもなかなか良い方策は出てこないものです。自分ひとりの知恵で解決できないことを悩み続けるのは、精神衛生上も良くないです。私は信頼できるコンサルタントに相談して複数の案を出してもらいました。実行に移すのは勇気がいったけれど、いったん始めたら人間って案外なんでもできるもの。今ではすっかり解決し、爽快な毎日です。

 さて、解決策は目的や物件の特性によって異なります。恵子さんの場合は、老後の余裕資金づくりが目的。物件の特性は、立地はいいが老朽化しており、管理状態も悪く空室が発生している、とのこと。具体的な検討はプロとされたほうがいいと思いますが、次のような選択肢が考えられそうです。

1. 管理会社の変更
2. 全面的なリフォーム
3. 物件の売却(売却資金を老後の余裕資金に、あるいは新たな投資で資金運用)
4. アパートの建替え(貸店舗などへの用途変更も含む)
5. 自宅、アパートを含めた総資産の組み替え

 上から順に、費用と手間がかからない順に並べました。実行した際の効果は、下にいくほど大きいと思ってください。1を除くと、実行するにはお金がかかりますが、恵子さんには4,000万円の元手がありますから、大きな借り入れはしなくてすみます。借入金が少なければ、事業リスクはぐんと下がります。4は、アパートの周辺にお洒落な店が増えたというお話から発想しました。

 いずれにせよ、プロに現地を確認してもらい、それぞれの実現可能性を調べ、事業シミュレーションをつくってもらうことです。メリットとデメリットも整理されて判断しやすくなります。すぐに決断はできなくても、どんな選択肢があるのか調べておくことは無駄ではありません。

 また、お話では触れていませんが、この際、相続対策も視野に入れておきましょう。人間って年齢がいけばいくほど、いろいろなことが億劫(おっくう)になるものです。できれば、元気な60代のうちに決断し、実行に移すことをお勧めします。

 女性の平均寿命は90歳近くまで延びています。しかも、80歳くらいまでは、皆さんとてもお元気で旅行や趣味を楽しんでいらっしゃる。それを思えば、ご主人の株の失敗は、恵子さんが老後の人生設計を検討する良いきっかけになったと思います。それにね、今はご主人も株で失敗したという弱みがありますから、恵子さんのペースでことが勧めやすいですよ、内緒ですけれど。
2009/05/28

不動産ジャーナリスト。1978年、青山学院大学卒。「住宅画報」編集、「住宅新報」記者を経て1995年に独立、専門誌や経済誌を中心に住宅・不動産関係の記事を執筆する。

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