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被相続人Aは、生前相続税対策のため孫全員と娘婿Bを養子にしました。相続時には相続人が6人となり、駐車場として利用していた駅前の土地約600坪を6人で均一に相続しました。 |
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Bとしては、子供達(被相続人から見た孫)が将来結婚すると、いわゆる他人が入ってくることになる。子供達が持分を勝手に処分したり、最悪の場合サラ金の担保にされたりと色々と不安でした。
ちょうどその時、隣接の土地約200坪を駐車場として利用していたスーパーの経営者Cより共同で大型店舗を建築しないかという誘いがありました。Cより『共有だと権利関係が複雑になるので、Bがオーナーである有限会社Dに地上権を設定し、Dとの共同事業にしたい』という旨の申し出があったのです。つまり6人との契約を有限会社1社に絞った訳です。
この場合、Dには建物の賃料収入が入ってきて、その中から6人に対して地代を支払うことになる訳です。課税関係で見ると、Dに対して法人税(不動産所得税)、6人に対して不動産所得税が課税されることになります。特にBにとってはまるまる二重課税になる感じです。
では、どうしたか?
6人共有の土地及び建築する建物を有限会社Dに信託し(信託銀行を使わない信託、これを「民事信託」と言います。原則無報酬です)、Dとスーパーで共同事業の契約を締結して建物建築工事を共同して発注しました。このときの法律関係は、Bを含む6人が委託者兼受益者、有限会社Dが受託者となります。 |
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土地600坪に見合う完成後の建物の賃料は、有限会社Dに入金されます。入金になった賃料は信託配当として6人へ支払われます。このときの課税関係は、Dに対する法人税(法人住民税の均等割分のみ:年間7万円、不動産所得はなし)、相続人の6人に対しては信託配当が不動産所得(賃料収入)となります(受益者等課税信託)。また、土地は対外的にはDのものですが、実質所有者は委託者兼受益者である6人にあるとみなしますので土地に関する課税関係(6人から有限会社Dに対する譲渡課税)は生じません。
これによって、子供達が勝手に土地を処分し、子供が借金しても土地の持分自体を差し押さえることはできなくなります(ただし、信託受益権を質権に取ることや差押さえることは可能です。いきなり土地や建物の持分に対する差押がないという意味ではテナントや共同事業者その他の関係者に迷惑を掛けることはありません)。
Bさんの場合は、スーパーから建設協力金として16億円(工事代金相当額)が支払われました。 |
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それを分割して返済に充てるのですが、スーパーの担保としては土地と建物の持分に対して抵当権を設定しました。この場合は、信託行為に基づく抵当権なので当然に競売に掛けることが可能です。
相続が発生した場合は、信託受益権を相続することになります。相続人が複数であれば受益権を共有します。土地は路線価格、建物は固定資産評価額で計算します。不動産を相続したのと同じ扱いです。
また、将来この信託受益権を売却して別の不動産を買った場合でも事業用資産の買い換え特例を使うことができます。
金融商品取引法の関係では、民事信託の受益権は「みなし有価証券」とされましたが、受託者が信託受益権を委託者兼受益者へ渡しても有価証券化の発行とはされません。よって、受託者は金融商品取引上のライセンスは不要です。委託者兼受益者が受益権を他へ譲渡したときが発行とみなされますが、6人は商売として受益権を第三者へ売却するわけではないので金融商品取引法上のライセンス(2種免許)も要りません。
建設協力金16億円は無利息ですので、まさにBら6人はAから優良な資産をいただいたのです。うらやましい限りです。 |
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| 2009/11/30 |
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