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先祖代々の土地は手放せない

「持てる」女性たちの贅沢な悩み相談室

先祖代々の土地は手放せない

世の中には「持つ者」と「持たざる者」がいます。
「持たざる者」からみれば、不動産の悩みなんて贅沢な悩みに見えるでしょう。
でも、今は「不動産を持っているだけでバラ色」とはいきません。
不動産はうまく活かして初めて、持ち主をハッピーにする資産に「なる」のです。
このコラムでは、そのための頭の整理方法と問題解決のヒントをご紹介します。
さて、今回は、地主の家に育った加奈さん(76歳)のお話です。加奈さんは「土地は命の次に大事なもの。手放すことはできない」というお考えです。

「5年前に夫が他界し、息子夫婦と横浜郊外で暮らしております。私の家は昔からの地主です。相続の度に分割したり、相続税を払うために売ったりして少なくなりましたが、貸地や利用していない地所も含めますと、まだかなりの面積になります。

長男からは『こんな土地をたくさん持っていても無駄だよ。早く処分した方が良い』と言われています。少し前にバイパスが出来たので、今なら買い手がつきそうな土地もあるそうです。まわりも住宅地になってきました。でも、私は土地を手放したくありません。幼い頃から祖父や両親から『土地は命の次に大事なもの』と教え込まれてきましたし、土地を手放したりすれば、まわりからどんなことを言われるか……。本家ですので、親戚だって黙ってはいないでしょう。

私はやはり地主として死にたい。祖父も父も夫も地主として地域社会に貢献してきましたし、代々、檀家の総代なども務めてきた家柄です。その誇りもございます。もし、地所を処分するのならば、私が死んでからにして欲しい、というのが正直な気持ちです。

子どもたちは相続税のことを心配しているようです。近々相続税も高くなるとか。土地を手放さず、相続税も少なくて済み、地域にも貢献できるような方法はないでしょうか。そんな方法があれば、息子たちも納得して受け継いでくれると思うのですが……。」

 加奈さんのお考えもお子さんたちの気持ちも良く分かります。加奈さんは大地主の家に育ち、地価が右肩上がりの時代に生きてこられましたが、お子さんたちは土地神話の崩壊を見ていらっしゃる。土地に対する考えが異なるのは当然です。

 私の母も加奈さんとほぼ同世代。土地に強い愛着があり、よく意見が対立したので、そちらのご様子が想像できます。損得で言えば、お子さんのご意見が妥当だと思いますが、地主としての誇りや責任を果たすことが加奈さんの最大の願いであるならば、その線でのベストを考えましょう。現実にこれらの土地はまだお子さんのものではなく、あくまでも加奈さんのものなのですから。

 ところで、命の次に大事に思っている土地を把握していますか? 古くからの地主さんの場合、土地の面積も隣地境界線も曖昧で、貸地の契約書すらないというケースが少なくありません。もし、これがお金だったら、どこの銀行にいくら預けてあるか、わからないままにしておくことはありませんよね。でも、土地は往々にしてそんなことがあります。

 まず、最初にやることは土地の実態把握です。土地を残すためにも、土地を活用するためにも、測量し、隣地境界線を確定するなどの作業は不可欠です。1年間に、どの土地にどのくらいの固定資産税や都市計画税や管理費がかかり、地代などの収益がどのくらいあるかも整理しましょう。「土地を大事にする」ということは、土地に関心を持ち、手入れをし、土地を活かしてあげること。放っておくことではありません。

 お子さんたちにも手伝ってもらいましょう。一族の歴史を伝える良い機会です。全体像を把握したら、専門家に相談です。加奈さんの希望である「土地は手放さず、地域社会に貢献し、相続税などの税金も少なくて済む方法」を提案してもらうのです。

 このサイトを運営している会社のケースですが、同じようなご希望を持っていた地主さんに、『ドクターズレントハウス』という「お医者様のための賃貸医院」を提案したそうです。開業費用が少なくて済むため、内科医、小児科医など複数の診療所が入りました。駐車場もあるので、地域の方々からもとても助かると感謝されているそうです。

 宣伝のようになってしまいましたが、地域社会にも貢献でき、お医者様も喜び、地主さんにとっても収入と節税になる「三方良し」の方法だなあと思いました。プロにはプロの土地を活かす知恵と経験、ネットワークがあるものです。子育てと同様、土地に秘められた可能性を伸ばしてあげてくださいね。

ドクターズレントハウスによる土地活用
 
2010/08/03

不動産ジャーナリスト。1978年、青山学院大学卒。「住宅画報」編集、「住宅新報」記者を経て1995年に独立、専門誌や経済誌を中心に住宅・不動産関係の記事を執筆する。

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