レッツプラザホーム > 資産活用 > 相続税対策で、アパート建設を勧められています
世の中には「持つ者」と「持たざる者」がいます。 「持たざる者」からみれば、不動産の悩みなんて贅沢な悩みに見えるでしょう。 でも、今は「不動産を持っているだけでバラ色」とはいきません。 不動産はうまく活かして初めて、持ち主をハッピーにする資産に「なる」のです。 このコラムでは、そのための頭の整理方法と問題解決のヒントをご紹介します。 さて、今回は、いろいろな住宅メーカーから、自宅の庭先にアパートを建てないかと勧められて、迷っていらっしゃる清子さん(69歳)です。
「いろいろなハウスメーカーの方から、庭先にアパートを建てませんかと勧められています。夫はあまり乗り気ではありませんが、私が親から相続した家なので、私の判断に任せると言ってくれています。 老後の生活費は夫の退職金と年金、相続した金融資産がありますので、まず大丈夫だと思いますが、200坪近い敷地の大半を庭にしておくのももったいないし、植木の剪定代だって相当かかりますからね。それにこのままでは相続税もかなりかかりそうです。 ハウスメーカーさんの試算では、毎月のお家賃が60万円くらい入るとのこと。これだけあれば、海外旅行にももっと行けますし、孫たちの教育費を援助してあげることもできます。 だんだんその気になっておりましたが、近くにアパートを持っている友人が、「最近は不景気で空き部屋が増えて大変なのよ」と申します。自宅は東京近郊の割合良い住宅地にありますが、最寄り駅から十数分かかります。そういえば、最近、入居者募集中の看板をよく見かけるようになりました。 友人のアパートは築25年なので、新築とは状況が違うと思いますが、ちょっと心配です。ハウスメーカーの方は、家賃保証しますから大丈夫です、と言いますが、景気は簡単には回復しないようですし、人口も減っていきますから、アパート経営も厳しくなるんじゃないかしら、などと迷っております。」
清子さん、庭先にアパートを建てるか建てないか決める前に、老後の生活設計と、自宅も含めた総資産の洗い出しをしてみてはいかがでしょう。ひと昔前は「空いている土地があるから、アパートでも建てようか」というノリでもなんとかなりました。しかし、今は状況が違います。清子さんがおっしゃったとおり、生産人口は減少し、景気低迷が続いていますから、立地が良く、魅力のある企画でないと安定した賃貸住宅経営は難しい時代です。 一方で、ご夫婦だけで200坪近いご自宅に暮らし続けるのも、少しばかりもったいないですね。自宅は収入を生み出さない上に税金や維持費もかなりかかります。「分けにくい資産」なので、相続のとき、トラブルが起こりやすいということもあります。 また、昨年度の税制改正で、「小規模宅地の評価減の特例」の適用要件が厳しくなりました。原則として、相続人が同居していない場合は課税評価額の8割減が使えません。さらに、今年度の税制改正では追い打ちをかけるように、相続税の基礎控除が40%も下がります。 不謹慎なお話ですが、一次相続(ご主人が亡くなられた場合)は配偶者の特別控除などがあるので大丈夫だとしても、二次相続(清子さんが亡くなられた場合)では、お子さんたちに多額な相続税と分けられない自宅が残されてしまいます。 冒頭に申し上げたように、まず、総資産を洗い出し、10年先、20年先の人生設計をした上でトータルに判断されたほうが良いと思います。例えば、将来、お子さんと同居する可能性はありますか? 仮に一人きりになった時、どこにどんなふうに暮らしたいと思いますか。自宅に縛られずに自由に考えてみてください。 まず、そこからスタートし、それをかなえるために、今、何をしたらベストかを考えましょう。清子さんの場合、選択肢はたくさんあると思います。例えば、もっと便利なところに住んで、プラスアルファの収入を得たいなら、自宅を売却して便利な立地の中古マンションを2つ3つ買い、ひとつに住んで他は賃貸で運用する、ということも可能です。アパート経営をする場合も、「土地があるから」ではなく、「需要がある場所で」が、これからの原則です。 お迷いになっているなら、一度、トータルな資産運用の提案をしてくれるところに相談されてみてはいかがですか。目からウロコの提案が出てくるかもしれません。69歳ですもの、「お楽しみはこれから」です。視野を広げて第2の人生にチャレンジしてくださいね。グッドラック!
不動産ジャーナリスト。1978年、青山学院大学卒。「住宅画報」編集、「住宅新報」記者を経て1995年に独立、専門誌や経済誌を中心に住宅・不動産関係の記事を執筆する。