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地方の貸地や貸家、遺されても困ります

「持てる」女性たちの贅沢な悩み相談室

地方の貸地や貸家、遺されても困ります

世の中には「持つ者」と「持たざる者」がいます。
「持たざる者」からみれば、不動産の悩みなんて贅沢な悩みに見えるでしょう。
でも、今は「不動産を持っているだけでバラ色」とはいきません。
不動産はうまく活かして初めて、持ち主をハッピーにする資産に「なる」のです。
このコラムでは、そのための頭の整理方法と問題解決のヒントをご紹介します。
さて、今回は、お母様が亡くなり、地方都市の貸地や貸家を遺されて戸惑う、ひとり娘の雪絵さん(47歳)のお話です。

「母の初七日の法要を終えて実家に戻ったら、次々に見知らぬ人たちがやってきて『地代や家賃はどこに届ければいいのか』って聞くのよ。これまでは、毎月、母に届けていたんですって。江戸時代じゃあるまいし、ネットバンキングの時代に家賃手渡しだなんて信じられる?


実家は戦前はこの一帯の地主だったの。でも、相続のたびに土地を切り売りしたり、兄弟に分けたりして、母の手元に残ったのは実家の屋敷と戦前からの貸地や貸家くらい。そんなわけだから、私にも「地主の娘」という感覚なんてなかったし、東京で暮らしていたから、実家の資産なんて母に確かめたこともなかったわ。18年前に父が亡くなったときは、葬儀から相続手続きまで母に任せっきりだったし……。


母の机や仏壇から手書きの家賃台帳や確定申告書の控えが出てきたから、一晩かけてつけ合わせてみたの。わかっただけでも、戦前から貸している土地が5カ所、貸家が3軒、駐車場が2カ所、借地して建てた古いアパートが1棟。それなのに、家賃や地代から固定資産税や修繕費を引いたら、ほんとにわずかなお金しか残らない。こんなバカバカしい話ってある? 貸地や古い貸家なんて売れないっていうし、これからどうしようって考えたら、ストレスで胃がきりきりしてきたわ。」

 ほんとに胃が痛くなりそうな状況ですね。私も一人っ子で、二次相続を経験したので他人事とは思えません。一人っ子は相続争いこそありませんが、良不良を問わず、親の遺したものをすべて受け継ぎます。少なくとも、お母様のご存命中に資産の確認と貸地の整理を進めておくべきでしたが、この手の話はついつい先送りにされがちです。


 さて、雪絵さん、少なくとも半年間はご実家の資産整理に集中する覚悟を決めてください。こうした問題は長引けば長引くほど心身ともに疲れます。集中して一気呵成に進めることです。まず、資料探しと実態把握です。関係しそうな資料は分類してファイリングするか、段ボール箱に分けていきましょう。資料整理の次は、気持ちの整理。郷里に戻る可能性があるのか、東京で暮らし続けるのか、将来のことも考えて不動産の処分と管理の大方針を決めましょう。


 次は専門家の出番です。相続手続きや貸地や貸家の処分など、次から次へ判断し処理していかなければなりません。不動産と税務に長けた専門家の知恵と力が必要です。特に借地人や借家人との交渉は、プロに相談して方針を決めるのが得策です。一般的に言って、地主と借地人との間にはさまざまなしがらみや軋轢があり、最初のボタンを掛け違えると話がこじれやすいからです。


 いざ処分となれば、借家人の立退料や借家権の買取り料、古屋の撤去費、専門家への報酬や税金など、どんどんお金が出て行きます。出て行く費用を考えると決心が鈍りそうですが、「すっきりさっぱり、ストレスなしの人生を買う対価」と割り切ったほうが、私は正解だと思います。第一、こんなやっかいなお荷物をお子さんたちに遺したくはないでしょう?

2008/10/16

不動産ジャーナリスト。1978年、青山学院大学卒。「住宅画報」編集、「住宅新報」記者を経て1995年に独立、専門誌や経済誌を中心に住宅・不動産関係の記事を執筆する。

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