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このままでは後継者争いや相続争いに

「持てる」女性たちの贅沢な悩み相談室

このままでは後継者争いや相続争いに

世の中には「持つ者」と「持たざる者」がいます。
「持たざる者」からみれば、不動産の悩みなんて贅沢な悩みに見えるでしょう。
でも、今は「不動産を持っているだけでバラ色」とはいきません。
不動産はうまく活かして初めて、持ち主をハッピーにする資産に「なる」のです。
このコラムでは、そのための頭の整理方法と問題解決のヒントをご紹介します。
さて、今回は、ご主人が中堅部品メーカーを経営する加代子さん(60歳)の悩みです。

「この間、友人のご主人が急逝されたんです。夫と同じ67歳で、中堅の会社を経営されていました。突然の社長の死で経営は大混乱、親族も相続争いになり、友人はとうとう心労で倒れてしまいました。業界こそ違え、ウチも同規模の同族会社。とても他人事とは思えません。こんな厳しい経済状況のなかで、もし、主人が倒れたらと思うとぞっとします。


夫は一代で中堅の部品メーカーに育て上げたくらいの人ですから、仕事に対する情熱も能力も人一倍あります。夫にとっては会社が子どものようなもの。ですから、子どもに会社を継がせたいという想いが強く、長男、次男とも大学卒業後、有無をいわずに自分の会社に入れました。今は専務と営業部長兼取締役です。でもね、母親の私だからわかりますが、長男は経営者には向いていないし、長男と次男の仲も決してよくありません。小さい頃からまるで正反対の性格でしたもの。社内でもなにかと意見が対立し、社内にも派閥ができているようです。


私も嫁いだ娘も株主ですが、工場や本社ビルなどの資産も多い反面、借入金も相当額に達しています。私は経営に口出しするつもりはありませんが、長男と次男が対立しているような会社がうまくいくとは思えません。なんとか、主人の目の黒いうちに後継者問題や相続問題に決着をつけてほしい。そう願っているのですが……。」

 加代子さん、男にとって権力欲は本能です。特に、ご主人のような能力も気力もある創業社長はその本能が強いように思います。そのうえ責任感も人一倍強いので、なかなかバトンタッチができないのだと思います。加代子さんが心配されているように、ご兄弟を抑えていたご主人にもしものことがあれば、社員を巻き込んだ後継者争いが起こり、どちらが継いでも兄弟の軋轢が表面化し、経営に悪影響を与える可能性は高いでしょう。


 賢明な経営者であるご主人がそうしたリスクに全く気づいていないとは思えません。ご主人にはご主人なりの計画があるのかもしれません。ただ、経営者はサラリーマンと違って定年退職がないし、健康にも自信があるので、ついつい後継者問題や相続対策を先送りにしてしまうのでしょう。


 折りをみて旅行に誘い、ご友人の例を挙げながら、加代子さんの不安や希望をじっくり話してみてはいかがでしょう。日々の生活のなかでは話せないことも、場を変えると話し合えることがあるものです。これまでのご主人の働きをねぎらいながら、これまでの人生を振り返り、次の人生を考える機会を与えるのです。男親は娘の言葉には弱いものですから、途中で娘さんに合流してもらうのもいいかもしれません。


 世の中には、奥様の言葉をきっかけに人生を考え直して会社をM&Aし、資金繰りの重荷からも解き放たれて生き生きと第二の人生を楽しんでいる方もいます。会社を分割し、兄弟それぞれに経営を任せた方もいます。決断までには時間がかかるでしょうが、奥様の言葉はじわじわと効いてくるものです。まずは加代子さんの率直な気持ちをご主人に伝えること。そこから始めてみてください。年配のご夫婦を観察していると、男って「老いては妻に従う」もののようですよ。

2008/12/04

不動産ジャーナリスト。1978年、青山学院大学卒。「住宅画報」編集、「住宅新報」記者を経て1995年に独立、専門誌や経済誌を中心に住宅・不動産関係の記事を執筆する。

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