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職を失った息子を援助したいけど…

「持てる」女性たちの贅沢な悩み相談室

職を失った息子を援助したいけど……

世の中には「持つ者」と「持たざる者」がいます。
「持たざる者」からみれば、不動産の悩みなんて贅沢な悩みに見えるでしょう。
でも、今は「不動産を持っているだけでバラ色」とはいきません。
不動産はうまく活かして初めて、持ち主をハッピーにする資産に「なる」のです。
このコラムでは、そのための頭の整理方法と問題解決のヒントをご紹介します。
さて、今回は、お子さんの勤めていた会社が倒産し、生活費の援助を考えている由美子さん(65歳)のお話です。

「2番目の息子から『勤めていた会社が倒産した』という電話がありました。最初は、今はやりの振り込め詐欺だと思って電話を切りそうになったんですが、本当でした。息子は35歳、中学生と小学生、幼稚園と3人の子どもがいます。住宅ローンもあるし、これから教育費がかかる年代だし、このご時世では簡単には再就職先が見つかるとは思えないし、私のほうがおろおろしてしまいました。


息子は『預貯金もあるし、妻もパートに出るっていうから、当面は大丈夫。僕も再就職先を探しているしね。だけど、万が一のときは助けてほしい』と言っています。主人とも相談して『援助する準備だけはしておこう』ということになりましたが、ウチの資産といっても、杉並の自宅のほかには駐車場にしている土地くらい。バブルの頃、自宅が2億円とか3億円とかいわれたものですから、私が親から相続した100坪ほどの土地を、相続税の物納用に駐車場にしておいたのです。これを売れば、かなりの額になると思いますが、他の子どもたちがなんというか、ちょっと心配です。


主人は大手メーカーを定年退職してから、子会社の役員を務めていますが、たぶん、来年はその職も辞すことになると思います。年金以外に定期収入がないのはなんとも心細いという気持ちもあって、どうしたらいいか悩んでいます。子どもたちが独立して『ああ、もうあとは自分たちのことだけ考えればいいわ』って思っていた矢先にこんなことが起こるなんて……。人生って何が起こるかわかりません。」

 ほんとに何が起こるかわからないものですね。でも、物事は明るく考えましょう。由美子さんには杉並のご自宅も100坪の土地もありますし、ご主人も健康で働いていらっしゃる。息子さんだって35歳、健康で技術も持っているようですし、お嫁さんもパートに出て家計を助けるというくらい胆が座っているのですから、大丈夫、乗り越えられますよ。


 さて、由美子さんのご心配は、ご次男を援助するために土地を売ることを他のお子さんたちが了解してくれるかということと、ご自身の老後の生活資金でした。


 駐車場の土地は由美子さんが相続したものですから、売ろうと貸そうとお子さんたちには何の権利もありません。しかし、ひとりのお子さんにだけ多額の援助をすれば、他のお子さんから不満は出るでしょうし、将来の相続トラブルに繋がるおそれもあります。また、一定額以上の贈与には贈与税もかかります(相続時精算課税制度を利用すると最大2,500万円まで控除されます。ただし、贈与財産は相続時に相続財産に合算されます)。やはり、他のお子さんにも分配するほうがいいでしょう。


 ただ、駐車場を売却して売却代金をお子さんたちに分けてしまえば、駐車場収入はなくなります。ご主人の退職後、由美子さんご夫婦が20年、30年、楽しく安心して暮らしていくためには、年金以外になんらかの定期収入がほしいところです。そうなると、駐車場だけでなく、ご自宅の活用も併せて考えた方がいいのではないでしょうか。不動産のプロに相談すれば、立地、規模、法規制、市場性などを調べて、お子さんへの贈与や老後資金の確保、相続対策などを勘案した提案をしてくれるはずです。


 たとえば、駐車場にしている土地のほうが収益物件化しやすいのならば、自宅を処分してその売却代金で自宅を組み込んだ賃貸ビルや賃貸マンションにすることも考えられるでしょう。ついでにバリアフリー住宅にしておけば、老後も安心です。その賃貸収入からお子さんを援助するという手もあります(年間110万円までは贈与税の基礎控除があります)。もちろん、立地特性次第で、その逆も考えられます。他にも目からウロコの方法が出てくるかもしれません。


 ご家族が幸せになるために使ってこそ資産です。考えようによっては、これは自宅も含めて資産を組み替えるとてもいい機会かもしれません。何かきっかけがないと人間って動き出せないものですから。

2009/01/15

不動産ジャーナリスト。1978年、青山学院大学卒。「住宅画報」編集、「住宅新報」記者を経て1995年に独立、専門誌や経済誌を中心に住宅・不動産関係の記事を執筆する。

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