レッツプラザホーム > 資産承継 > 子供の実情に合わせた資産の譲り方は?
世の中には「持つ者」と「持たざる者」がいます。 「持たざる者」からみれば、不動産の悩みなんて贅沢な悩みに見えるでしょう。 でも、今は「不動産を持っているだけでバラ色」とはいきません。 不動産はうまく活かして初めて、持ち主をハッピーにする資産に「なる」のです。 このコラムでは、そのための頭の整理方法と問題解決のヒントをご紹介します。 さて、今回は、経済状態に差がある子供達への資産の譲り方に悩む美智子さん(71歳)のお話です。
「2年前に主人が亡くなり、世田谷の自宅(敷地100坪)と月極駐車場(約200坪)を相続しました。このとき、3人の子供達にも1,000万円ずつ分配しました。それでも預貯金と証券で7,000万円くらいありますし、生活費は駐車場収入と年金で賄えるので、『このまま財産を減らさずに相続できれば良い。後は子供達が話し合ってうまくやってくれるだろう』と考えていました。 でも、ある方に『お子さん達が相続争いにならないように、事前に手を打っておくことは親としての最後のつとめですよ』と言われたんです。長男(45歳)は堅実な性格でリーダーシップもあります。経済的にも裕福で、3人の孫も素直に明るく育ち、何の心配もありませんが、次男(35歳)と末娘(32歳)は問題を抱えています。 次男は会社を興して失敗して借金を抱えてしまい、私と長男で後始末をしました。親戚にも借金していたので、それもこちらから返しました。お金にルーズなところがあり、今でも時々小遣いをせびりに来ます。その度に少しずつ援助してきましたが、相続で大金が入れば無計画に使ってしまいそうです。 末娘(32歳)は離婚して、慰謝料と派遣の収入でアパート暮らしをしています。孫はまだ4歳です。良い方と巡り会って再婚してくれればと思っていますが、『再婚なんてまっぴら』と、働きながら資格を取るために懸命に勉強しています。ただ、こんな汲々とした生活では孫はさぞかし寂しかろうとか、良い教育を受けることもできないのではないか、娘が派遣切りにでもあったら……などと心配のタネはつきません。 相続では子供達全員に均等の相続権があるそうですが、親の気持ちとしては、金額の公平さより皆が幸せになるような分け方をしたい。どうすれば良いのでしょう。」
親の悩みは尽きないものですね。お知り合いの方の「相続対策は親のつとめ」というアドバイスは誠に当を得ています。今はあなたの財産ですが、亡くなった後は子供達全員に相続権が発生します。ご長男が人格者であっても、経済状態も性格も異なるご兄弟の意見をまとめるのはなかなか大変です。そんな苦労はかけたくないですよね。 また、財産を均等に分けることより、3人がそれぞれに幸せになるような「結果の公平」を考えるのは親御さんとして当然の気持ちだと思います。実際、厳密に財産を三等分することはとても難しいものです。不動産や証券をすべて現金化すれば別ですが……。 さて、現状の課題を整理してみましょう。美智子さんも薄々感じているように、ご次男は今後もあなたのお金をあてにするでしょう。求めに応じてダラダラとお金を渡すのは本人のためにもなりませんし、相続の時に、もめる原因になります。一方、娘さんもこのままでは仕事と勉強と子育てで疲労困憊し、お孫さんは寂しい思いをしそうです。落ち着いて子育てと資格の勉強ができる環境が必要です。 美智子さんの資産内容を拝見すると、立地条件も良いので、もっと有効活用できるのではないでしょうか。預貯金から場当たり的に援助するより、十分に活用されていない不動産を活用して収益を生み出し、併せて相続対策も打っておく。そうした方向が良いと思います。地価の高い土地を保有しているだけでは多額な固定資産税がかかりますし、このまま二次相続を迎えれば、相続税もかかりそうです。 例えば、立地条件の良い自宅や駐車場を賃貸住宅等に建替え、建物の一部をお子さんに贈与して定期収入が入るようにする方法もあります。娘さんを呼び寄せれば、お孫さんも寂しい思いをしなくて済むでしょう。生命保険や個人年金保険などを利用して、お子さんやお孫さんの将来の生活を安定させる方法もあります。ご長男がしっかりした方のようですから、専門家を交えて一緒に相談してみてはどうでしょう。その道のプロですから、色々な提案をしてもらえる筈です。 専門家に相談する時に一番大切なのは美智子さんの意向です。資産内容が分かる資料と共に、あなたが心配していることや、こんな風にしたいという希望を書き出しておきましょう。まだまだ先は長いのですから、お子さんの心配だけでなく、自分自身も心から楽しめるような人生設計を立ててくださいね。資産は皆を幸せにするためにあるのですから。グッドラック!
不動産ジャーナリスト。1978年、青山学院大学卒。「住宅画報」編集、「住宅新報」記者を経て1995年に独立、専門誌や経済誌を中心に住宅・不動産関係の記事を執筆する。