
|
 |
 |
 |
|

Xには先妻との間に長男Bと後妻A及び後妻には連れ子C(Xとの親子関係なし)がいます。
Xは遺言の中で賃貸用不動産を信託(信託期間20年)し、信託受益権を収益受益権(不動産賃料等の収益)と元本受益権(信託終了時に受託者から現物の返還を受ける権利)に分け、収益受益権は生活保障のため後妻Aに遺贈し、元本受益権は事業承継者としての長男Bに遺贈した場合、受益者連続型信託と連続型でない場合とで課税評価額が全然違ってきます(受益者連続型信託:信託契約の中でX→A→BというようにAが死亡したら次の受益者はBと指定できる)。
|
(1)受益者連続型ではない場合
|
複利年金現価率を乗じて計算します(財産評価基本通達202)。
|

|
例えば、信託した収益不動産の相続税評価額5億円、収益受益権を後妻Aに、元本受益権を長男Bに遺贈し、年間収益が1,000万円(年利回り2%)の場合、信託財産の評価は次のとおりとなります。
○後妻A(収益受益権価格)
{(1+0.02)20 -1}÷ 0.02×(1+0.02 ) 20=16.351
∴1,000万円×16.351=163,510,000円 ……(ア)
○長男B(元本受益権価格)
5億円 -(ア)=336,490,000円
信託が期間満了になった時点で元本受益権者である長男Bが後妻Aから贈与(後妻Bの死亡に起因して信託が終了した場合は遺贈)として収益受益権を取得します(相続税法9条の2第4項)。
このときの収益受益権の価格は、存続期間の不確定な(信託の終了から長男Bの死亡時を終期とする)受益権を取得したものとして、価格の算定がされるものと考えられています(『逐条解説 新しい信託法』商事法務、261頁)。
|
(2)受益者連続型でかつ受益権が複層化(収益受益権と元本受益権に分離)された信託の場合
|
相続税基本通達9の3-1によって次の価格となっています。
○収益受益権の全部を適正な対価を負担せずに取得した場合
信託財産の全部の価格を負担する。
○元本受益権の全部を適正な対価を負担せずに取得した場合
評価ゼロ円。
よって、元本受益権に対しては相続税、贈与税の課税が生じません。
先程の例でいうと、後妻Aは1億6,351万円しかもらっていないのに5億円もらったことになり、長男Bはゼロで評価されます。
何故そうなったのでしょうか? それは相続税法9条の3第1項で「受益者連続型信託の利益を受ける期間の制限その他の当該受益者連続型信託に関する権利の価値に作用する要因としての制約が附されているものについては、当該制約は附されていないものとみなす」とされているからです。
長男Bは別に得はしていません。後妻Aが死亡したときに、本来Cが相続すべきところ、収益受益権は先妻の子である長男Bが相続しますが、その時に相続税が課税され、その評価は5億円(厳密には後妻A死亡時の相続税評価)です。後妻Aが長男Bと養子縁組していなければ相続税が2割加算されます。
受益者連続型信託でかつ受益権を分割して承継すると税負担が重くなるようです。特に先の例の後妻の場合はかわいそうです。つまり、この方法は使えないということです。
|
 |
 |
 |
一方、非公開株式(譲渡制限付き)を信託して受益権を分けた場合はどうでしょうか。
株式を信託して議決権行使の指図権と配当及び残余財産分配受益権に分離することが可能です。
遺言代用信託を使って、オーナー(A)死亡後の配当及び残余財産分配の受益権者を兄(C)と妹(B)が50%ずつ相続すると定めて、議決権行使の指図権を兄(C)に100%与えることが可能です。
課税評価はどうなるでしょうか?
配当受益権は相続税評価になりますが、「無議決権株式と議決権のある株式の評価については原則議決権の有無は考慮しない(国税庁:平成19年3月9日付種類株式の評価について)」とされ、相続税評価では兄(C)の議決権の価値はないものとされます。事業を承継する兄(C)にとっては非常に有利な事業承継ではないでしょうか。ちなみに信託の受託者は、関係子会社でよろしいと思います(民事信託)。
|

|
| 2010/09/06 |
 |
|
 |
|
|
 |
|
|