レッツプラザホーム > 資産承継 > 仕事が生き甲斐の夫ですが……
世の中には「持つ者」と「持たざる者」がいます。 「持たざる者」からみれば、不動産の悩みなんて贅沢な悩みに見えるでしょう。 でも、今は「不動産を持っているだけでバラ色」とはいきません。 不動産はうまく活かして初めて、持ち主をハッピーにする資産に「なる」のです。 このコラムでは、そのための頭の整理方法と問題解決のヒントをご紹介します。 さて、今回は、中小企業のオーナー夫人の清香さん(62歳)のお悩み。10歳年上のご主人は仕事が生き甲斐。でも、このところの不況で経営はうまくいっていないようです。
「リーマンショック後の不況を乗り切ったと思ったら、今度は震災の影響で、主人の会社の経営は相当に厳しいようです。この数年間の苦労で威勢の良かった主人がすっかりやつれ、年老いてしまった感じがします。昔から仕事が生き甲斐という人ですから、これまで経営には一切口出しをしませんでしたが、もう限界。健康を害してまで頑張るのは止めて欲しいと思っています。 主人には内緒で、娘たちと一緒に顧問税理士さんとお話しました。この数年、赤字経営が続いていますが、今、会社を清算すれば、今後、私たちが暮らしていくくらいの資産は残るようです。また、特殊な技術があるので、会社ごと売却するという方法も考えられるとおっしゃっていました。 問題は、誰が猫の首に鈴を付けるかです。プライドの高い主人にとって、自分の代で会社を潰したと言われるのが一番辛いことでしょう。これまでも幾度か危機的な状況に陥ったことがありましたが、家族には心配をかけまいとして、いつも明るく振る舞っていました。私たちは薄々気づいていましたが、主人の気持ちを汲んで分からないふりをしていたんです。 でも、それは若くて体力があったからできたこと。もし、このまま主人が倒れたりしたら、会社や従業員はどうなるのでしょう。子どもたちは女の子ばかりで経営のことはわかりませんし、皆、良縁を得て嫁いでいます。後継者がいないわけですから、もう、頑張らなくて良いんですよと言いたいのですが、その一言を言い出す勇気が出ません。」
不動産ジャーナリスト。1978年、青山学院大学卒。「住宅画報」編集、「住宅新報」記者を経て1995年に独立、専門誌や経済誌を中心に住宅・不動産関係の記事を執筆する。