レッツプラザホーム > 資産運用 > 仲良し姉妹だからこそ、共有関係を解消する時は?
土地や建物などを交換した場合には、税務上そのときの時価により譲渡があったものとされ、課税の対象となります。しかし、一定の要件に該当する場合には譲渡の時点での課税はなく、将来に繰り延べることができる特例があります。この特例は個人・法人双方にあります。今回はその交換の特例を利用して共有関係の解消を計画する事例ですが、その交換の時期を間違うと、思わぬ税金がかかるというお話です。
交換の特例は以下の要件を満たすことが必要です。
同じ種類の資産の買換えに限らず、駐車場用地を売却して貸付用マンションに買い換える、新たにアパートを建築する等、組み合わせは自由です。買換資産は、資産を譲渡した年に取得するのが原則ですが、所定の届出書を税務署長に提出して、譲渡した年の前年中、あるいは譲渡した年の翌年中に買換資産を取得することもできます。
例えば、姉妹が10年前の相続によって、大阪の貸地(底地)Aと東京の土地Bを共有で2分の1ずつ承継しました。現在では、東京の土地Bには妹夫婦が住んでいます。今年(平成21年)の春に大阪の貸地について建物所有者に依頼されて、借地権付の建物を取得しました。建物は取得後、事務所として貸付けています。今後姉妹は、それぞれの土地と建物の持分を交換することによって、共有関係を解消するつもりです。東京の土地と建物は自宅として住んでいる妹が所有し、姉は大阪の土地と建物をそれぞれ単独で所有したいと思っています。
金銭の授受(交換差金)がないとした場合には、今年のうちに交換の特例を用いて交換することができるのは、大阪の旧貸地Aの底地部分の400万円のうち共有持分の2分の1である200万円に相当する東京の姉の持分の一部だけとなります。なぜなら大阪の建物を取得してから1年を経過していないので、借地権部分は上記1の②の1年以上所有していたという交換の特例の要件を満たさないからです。
それでは形式上、建物と土地の共有持分を今年の内に解消するために、大阪の底地と東京の土地の200万円は交換、残りの400万円の共有部分については売買と別々の契約にすることができるのでしょうか。この場合、税務上は、別々の契約とみることはできずに400万円が交換差金とみられてしまいます。これでは、交換差金400万円が時価200万円×20%=40万円を超えるために、上記1の(4)の時価のうち多い方の20%以内であることという交換の要件を満たさないことになります。姉妹は二人とも今年の譲渡収入金額が600万円となり、それぞれに思わぬ所得税と住民税が課税されることになります。建物及び土地の共有持分を一度の無税の交換で解消したいのなら、大阪の建物を取得してから1年以上が経過した来年以降に検討することが望ましいでしょう。
今回のように相続において先代の所有する不動産を複数の子が共有することがよくあります。例えば、その不動産が賃貸用であるなら「子」の世代でも既に毎年の所得税の確定申告は煩雑です。それが「孫」の世代まで世代交代が続くと、持分が複雑となり権利関係がわかりにくくなってしまいます。このような共有持分を解消する方法の1つとして、交換の特例があります。交換の特例は条件を満たすのであれば、所得税及び住民税が全くかかりません。ただし、不動産取得税や登録免許税は免れませんので注意が必要です。他に共有持分を解消する方法としては、「不動産管理会社を設立し、その会社に売却する」、共有者同士で相互に「売買」または「贈与」する方法があります。ご自身にあったベストプランを専門家に相談してご検討ください。賃貸不動産を単独で所有できれば、確定申告が簡単になり、自分の意思で不動産を処分することも可能となります。次世代のことを考えても不動産の共有状態は早期に解消することをお勧めします。
税理士。早稲田大学卒。国税専門官として税務調査を経験後、アーンスト&ヤング会計事務所、タクトコンサルティングを経て独立。資産税のスペシャリストとして活躍中。