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自宅の売却に、夫が大反対

「持てる」女性たちの贅沢な悩み相談室

自宅の売却に、夫が大反対

世の中には「持つ者」と「持たざる者」がいます。
「持たざる者」からみれば、不動産の悩みなんて贅沢な悩みに見えるでしょう。
でも、今は「不動産を持っているだけでバラ色」とはいきません。
不動産はうまく活かして初めて、持ち主をハッピーにする資産に「なる」のです。
このコラムでは、そのための頭の整理方法と問題解決のヒントをご紹介します。

さて、今回は53歳の千香子さん。ドライな千香子さんは自宅や駐車場などの不動産を処分して、都心のマンションに移りたいと考えています。しかし、ご主人は大反対。さて……。

「老後の暮らしを考えたら都心のマンションがなにかと便利だし、自宅やその他の不動産を処分すれば経済的にもゆとりが出るでしょ。相続税だって少なくなるはず。それなのに、主人ったら顔を真っ赤にして反対するの。『これは僕が建てた家だぞ。家族の思い出が染み付いた家じゃないか』って。はいはい、でもね、土地は私が親から貰ったものよ。それに、もうすぐこの家も築30年。思い出より、汚れやシミが染み付いちゃってとれないわ。設備も取り替えが必要だし、子どもたちが独立して2階なんて使ってないのに手間とお金ばかりかかるんだから。

私、主人に言ったの。『あと30年したら築60年よ。人も家もよれよれになってから建替えなんてできる? 駅から遠いし、車が運転できなくなったら買い物や通院はどうするの?』ってね。そうしたら『しかしなあ、家を売るなんて親戚やご近所に体裁が悪いよ。僕の葬式だってマンションじゃ格好がつかないしなあ』ですって。まったく時代錯誤と見栄のかたまりよね。今の時代に自宅でお葬式する人なんかいるものですか。

この際、私が親から受け継いだ不動産も全部処分するつもり。低く見積もっても3億円くらいになるというから、都心のマンションと趣味と不動産投資に充てようと思っているの。まだまだやりたいこと、いっぱいあるんだもの。主人は『不動産市況は最悪だぞ。値上がりするまで待てよ』って言うけれど、値下がりしているときこそ、いいものだって安く買えるのよ。毎朝1時間もかけて新聞を3紙も読んでいるくせに、いざとなると男ってからっきし駄目ねえ。」

 思わず吹き出してしまいました。ご意見ごもっともです。おっしゃるとおり、今は不動産の大バーゲンセール。売り値も確かに下がっているけれど、それ以上に安く買えるし、経済状況を反映して個人法人からの放出物件が増えています。資産の組み替えや不動産投資には好機です。ご主人が言うように値上がりするまで待てば、当然ながら買いたい物件も値上がりしていますし、不動産の買い手も増えますから、なかなかいい物件は手に入らないでしょう。千香子さんは天性の投資家ですね。

 この時期に、自宅も含めて資産を「総入れ替えする」という大胆な発想はなかなかできないものですが、当を得ています。一戸建てより、都心のマンションのほうが固定資産税も相続税評価額も低くなりますし、生活利便性やセキュリティの面でも安心。また、この機に収益力の低い不動産を売って、収益力の高い不動産を手に入れれば、もうひとりご主人(稼ぎ手)ができるようなもの。しかも、こちらは文句ひとつ言わず、稼ぎ続けてくれます。買替え特例も延長されましたから、利用されるといいでしょう。

 最大の難関はご主人の説得です。男のメンツを尊重するなら、専門家から数字を挙げて論理的に説明してもらうことです。女は「本音」と「直感」で決めますが、男には「理屈」が必要ですから。それとも、この際、ご主人も「入れ替えて」しまいます? これは冗談ですけれどね。それにね、不動産の大バーゲンセールとはいえ、素人判断でつまらない物件を掴んだら「ほら、みろ」と言われてしまいますから、ここから先は信頼できるプロの知恵を借りたほうがいいと思います。千香子さんならば、この経済危機も「100年に1度のチャンス」に変えて溌剌とした生活をおくられることでしょう。グッドラック!

2009/04/30

不動産ジャーナリスト。1978年、青山学院大学卒。「住宅画報」編集、「住宅新報」記者を経て1995年に独立、専門誌や経済誌を中心に住宅・不動産関係の記事を執筆する。

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