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損をしないと受けられない特例もあります

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損をしないと受けられない特例もあります

 自宅を売却した場合の税金の特例と言えば、3,000万円の特別控除が有名です。しかしながらこの特例、利益(譲渡益)が生じた場合の話です。では、損失(譲渡損失)が生じた場合にはどうなるのでしょう。土地建物の譲渡損失は、平成16年分より原則他の給与所得・不動産所得等と相殺することはできません。譲渡損失は切り捨てです。ただ、一定の要件を満たす場合の自宅の譲渡損失に限って、給与所得・不動産所得等と相殺することができます。今回は、この自宅を譲渡した場合の譲渡損失の特例についてのお話です。

1.制度の概要

 通常、土地建物の譲渡損失は給与所得・不動産所得等(以下、総合所得と言います)と相殺することはできません。しかしながら、自宅の譲渡損失のうち一定の譲渡損失については、総合所得との相殺が可能です(損益通算と言います)。しかも、相殺しきれなかった譲渡損失については、譲渡損失が生じた年の翌年以後3年間にわたって総合所得との相殺が可能です(繰越控除と言います)。

 なお、この制度、次の2つに大別されます。

(1)特定居住用財産の譲渡損失の特例
(2)居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の特例
  以下、それぞれの特例について内容を説明します。
2.特定居住用財産の譲渡損失の特例
(1)適用要件
  下記の要件を満たす場合に損益通算が可能となります。
(1)平成16年から平成21年の間に譲渡すること
(2)譲渡年の1月1日において所有期間が5年超であること
(3)配偶者、直系血族、生計一親族等以外への譲渡であること
(4)譲渡した自宅につき住宅借入金があること
  なお、繰越控除の適用については、その年の合計所得金額が3,000万円を超える場合には、適用がありません。


(2)一定の譲渡損失
  下記の算式により計算した金額が、損益通算・繰越控除の対象となります。
住宅借入金等の残高-譲渡資産の売却価額
  つまり、自宅を売却した金銭で借入金を返済してもなお、借入金が返済しきれない場合に、その返済しきれない金額に相当する金額がこの特例の対象となります。何とも厳しい条件付の特例です。
3.居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の特例
(1)適用要件
  下記の要件を満たす場合に損益通算が可能となります。
(1)平成16年から平成21年の間に譲渡すること
(2)譲渡年の1月1日において所有期間が5年超であること
(3)配偶者、直系血族、生計一親族等以外への譲渡であること
(4)譲渡年の前年から譲渡年の翌年までの間に一定の要件を満たす自宅を取得すること
(5)取得した年の翌年末までに居住の用に供すること
(6)適用を受けようとする年の末日において一定の住宅借入金等の残高があること
  なお、繰越控除の適用については、その年の合計所得金額が3,000万円を超える場合には、適用がありません。

(2)一定の譲渡損失
  譲渡所得の金額の計算上生じた損失金額(敷地については、500m²までの部分に対応する損失)が、損益通算・繰越控除の対象となります。
4.一粒で二度おいしい?
 繰越控除を適用する年分については、その年の合計所得金額が3,000万円以下であることが要件となりますが、譲渡年の損益通算の適用については、この制限がありません。したがって、不動産の売却部分以外の所得がいくらであっても損益通算の特例の適用を受けることができます。しかも、損益通算の結果、合計所得金額が3,000万円以下となるのであれば、他の要件も満たせば、住宅借入金等特別控除の適用を受けることもできます。

 また、譲渡した自宅に借入金の残高があり、かつ、取得した自宅に借入金の残高がある場合には、上記2、3のいずれか有利な方法により申告することが可能です。
5.申告書に意思表示が必要です
 この特例の適用を受けるためには、確定申告書に一定の事項を記載し、一定の書類を添付することが必要となります。

 この特例に限らず、特例というものは、その適用を受けるためには申告書にその意思表示が必要となります。あくまで特例ですので、適用を受けなくても正しい申告書です。税務署はわざわざ教えてくれません。毎年同じだから申告書は自分で作成している。そういった方もおられると思いますし、立派なことだと思います。しかしながら、時には違う目(者)で物事を検証するということも必要なのではないでしょうか。思わぬ発見(特例)で得をすることがあるかもしれません。
2009/05/21

税理士。早稲田大学卒。国税専門官として税務調査を経験後、アーンスト&ヤング会計事務所、タクトコンサルティングを経て独立。資産税のスペシャリストとして活躍中。

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