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イノベーションの新潮流・シアトル

 

 

 今、米国では、イノベーションの空間的地勢に目覚ましい変化が起こっている。今までイノベーションと言えば、アップル、グーグルなどのIT系企業のキャンパスオフィスが点在するシリコンバレーのように、車でしか行けない場所で起きるものだった。しかし仕事と居住、そして娯楽の調和というQOLに重点を置くミレニアル世代には、マストラによるアクセスが可能な都心ないしは都市近郊のコンパクトな複合用途のエリアが好まれる。徒歩または自転車でアプローチ容易な範囲に最先端のアンカー組織・企業が集合し、スタートアップ・インキュベーター・アクセラレーターが相互に結ばれる形態をとるようになってきたのである。

 

 

新しいアマゾン本社

 今回紹介するシアトル・サウスレイクユニオンも、そういう需要に合致したものとして急成長を遂げている。
 シアトルの都心とはいえ10年前なら、マストラの駅もなく、観光客も足を踏み入れることのないバイオの研究施設だけが点在する地帯であったが、このエリアに多くの土地を所有するVULKAN社と市役所の連携が功を奏した。大きな転機となったのは、市による地区内へのトラムの延伸と、同社によるアマゾンの本社誘致である。アマゾンに続いて、来年にはグーグル、フェィスブックの移転も決まっており、TECHエリアとして伸展が期待されている。
 では、なぜシアトルとその周辺地域は、TECH系企業にとって魅力的なのだろうか?その最も大きな理由は、優秀な若い人材が豊富で、かつ人件費がサンフランシスコに比べて安く、会社運営コストを大幅に削減できることだと言われている。SFのベイエリアで起業し、軌道に乗った成長企業にとっては、比較的安い生活コストで、高いQOLを実現できる点が魅力である。

歩行者にフレンドリーな舗道

 そして、サウスレイクユニオンについては、大胆に街を作り変えている点が挙げられる。ミレニアル世代の多くは郊外よりも都心で暮らしたいと考えていることから、アマゾンの本社ヴィレッジ開発において、歩行者のための24時間活気に満ちた環境デザインが先導して行われ、街区の路面にはレストランやショップが立ち並ぶ、「歩いて楽しい街並み」が形成されているのは、以前ご紹介した、ポートランドと同様である。ここに、アフォーダブル住宅を含む、多くの住宅が開発される予定である。

 まだ開発途上にもかかわらず、既にサウスレイクユニオンのオフィス賃料は、既存のビジネスCBD(Central Business District)地区を大幅に上回る水準となっている。住宅市場でもこれと同じ現象が起こり始めており、比較的裕福とされるTECH系企業従業員が多く流入することで、新しいハイエンド住宅の開発速度が速まると見られている。

 

 

 日本と比べると、アメリカの都市開発のダイナミズムはあまりにもすごいが、「街はいつからでも思いがあれば作り変えることができる」、ということを見せてくれ、勇気が湧いてくる。

 



  佐々木 誠
2017年10月12日 街のちから(三友新聞)




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