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しまなみシリーズ①〜古くて新しい街「尾道」〜

 

 

千光寺公園から見る尾道

 「海が見える 海が見えた 五年振りに見る尾道の海は懐かしい……」と林芙美子が放浪記で書いた尾道。小津安二郎の『東京物語』や大林宣彦の『時をかける少女』などの数々の映画や、アニメの「かみちゅ」、ゲームの「ソラとウミのアイダ」などの舞台にも使われており「尾道」と聞いて思い出す光景は年代によってさまざまだろう。瀬戸内海に面してすぐ背面に山があり、その間に所狭しとひしめく建物。おのずと坂の町となり、細い路地には猫が似合う。
 駅から続くアーケードの商店街は今でも昭和の香りがする。誰もが懐かしく感じられる不思議な魅力を放つ街。しかし、この街は歴史と伝統の上に胡坐をかくだけではなく、新しい挑戦をしている。

 

 

倉庫を改装したホテルU2

 2006年に尾道から四国の今治まで「しまなみ海道」(西瀬戸自動車道)全道が開通した。瀬戸内の温暖な気候と橋の上からみる多島美の素晴らしさから、2013年にはミシュラン1ツ星に、2014年にはCNNの「世界で最も美しい7大サイクリングロード」に選ばれた。 
 ちょうど同じ頃、昭和初期に建てられた海運倉庫をリノベーションしてオープンしたのがU2だ。広々とした空間には、ホテル、レストラン、バー、パン屋のほか、サイクルショップもある。
 ホテルはサイクリストに優しく、自転車に乗ったままチェックインができ、自転車とともに宿泊が可能。まるでペットホテルに愛犬と泊まるように、マイ自転車を部屋の中まで持ち込んで、メンテナンスをしたり一晩中眺めたりもできる。
 倉庫の外観から一歩中に入ると、すべてがおしゃれで、すっきりとしながらも温かみがある。海を眺めながらバーで静かに一杯いただくと、数十キロメートルを走行して疲れきった体も癒される。U2は地元の人はもちろん、今ではサイクリストの聖地として世界中から観光客が集まってきている。
 もうひとつの挑戦がデニム。尾道を含む備後地方はデニムの一大生産であったが、時代の流れに逆らえず衰退していた。そこで、クオリティの高い尾道デニムを世界に発信しようと立ち上がったのが「ONOMICHI DENIM PROJECT」だ。
 尾道で働く人に1年間ジーンズを着用してもらい、その人の職業の札をつけ、それぞれの物語を刻み込んでオンリーワンのジーンズとして売り出すことに。

 第一弾として、市長をはじめ「農家」「住職」「ラーメン屋」「デザイナー」など540本のジーンズを売り出したところ、1本数万円もする中古のジーンズが完売の勢いだったという。このコンセプトが大きな反響を呼び、「ONOMICHI DENIM」というブランドが確立された。

 

 

 豊富なコンテンツでどんなテイストの人も惹き付ける街。奥深い魅力につつまれた尾道の挑戦は今後も続く。
 次回はしまなみ街道サイクリングコースをお送りする。

 



  瀬尾 里枝
2017年12月14日 街のちから(三友新聞)


 

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