S&E総合研究所 三井不動産 サイトマップ 三井不動産
情報発信

コラム

 

 
しまなみシリーズ② サイクリストの聖地・しまなみ海道

 

 

 海辺の街に立ち、沖合に目を向けると青い海には沢山の島が見え、その先には緑に煙る高い山々が連なる….瀬戸内海を挟んだこの美しい風景は、両岸に生活する人々が共有する原風景である。この美しく、温暖で豊かな海には大小727もの島々(周囲が100m以上)が点在し、世界的にも稀有な「多島美」を創り出している。瀬戸内海には、これらの島々を繋ぎ、対岸を結ぶ3つのルートがあるが、「しまなみ海道(西瀬戸自動車道)」を尾道から今治へ自転車に乗って目指す。

 

 

今治側から来島海峡大橋を見る

 瀬戸内海は、日本人にとって古墳、記紀の時代から今日に至る永きにわたり、歴史、文化、経済を育んできた重要な海である。しかしながら、瀬戸内海と太平洋を結ぶ紀伊水道・豊後水道からの干満による潮汐は、この海の流れを激しく複雑なものにし、「うず潮」も発生させる。時の為政者は、この潮の流れを熟知した「水軍」と呼ばれた瀬戸内の船乗りを敵に回すことができなかった歴史がある。
 この複雑で川の流れのような海を飛び越える「しまなみ海道」は、本州と四国の間にある島々を11の橋で結ぶ全長59.4qの自動車専用道路である。この道路は、島と両岸に住む人々の生活を「海と船」への依存から一変させ、島民の通勤・通学、救急搬送や防災対応等の生活面のみならず、産業面でも地域に大きな影響を及ぼした。とりわけ観光は中四国の経済を活性化させた経緯がある。
 この「しまなみ海道」に架かる橋は、他の2つのルートには無い歩道・自転車道が併せて整備されており、各橋の両端はそれぞれ島の一般道路に繋がっていることで徒歩・自転車により瀬戸内海を渡ることができるのである。
 近年、エコツーリズムや健康志向の高まりを受け、サイクリング大会やマラソン大会が各地で開催され、観光・地域活性化の起爆剤として注目を集めているが、「しまなみ海道」は国際的にも知名度の高い日本一のサイクリングコースと言っても過言ではない。
 「しまなみ海道」が世に知れる大きなきっかけとなったのは、2013年のプレ大会を踏まえ、2014年に開催された「瀬戸内しまなみ海道・国際サイクリング大会『サイクリングしまなみ』」の成功である。当日はサイクリストのために自動車専用道路を車輛規制し、初心者からベテランまで楽しめる複数のコース設定がなされ、国内から7,500名、海外からは31の国と地域から500名が参加し、都合8,000名を集めた。また、参加者によるSNS等による世界に向けた情報発信は、瞬く間に「しまなみ海道」のファンを増やし、この素晴らしい体験をしたサイクリストの情報発信により、CNNの「世界7大サイクリングルート」、オーストラリアの旅行サイト(ロンリープラネット)の「世界の魅力的サイクリングルート50選」や楽天トラベルランキングでも1位に選ばれた。今年の秋には第2回の大会が予定されている。

 この成功は、首長をはじめとした自治体に加え4,600名を超える地元企業・団体や住民の方々のボランティア、スタッフの熱意とサポートなくしては成し遂げられなかった。現在では、年間を通して初めてサイクリングを経験する初心者の方から上級者、インバウンドのお客様を含め、すべての「サイクリストの聖地」となっている。

 

 

 短い旅の最後の橋である来島海峡大橋からの絶景の中、空を飛ぶように自転車を走らせるとそこは四国である。
 次回は今治をお送りする。

 



  山本 淳一
2018年1月25日 街のちから(三友新聞)






調査研究報告
寄稿記事
刊行物
ケアデザインネット
あなたを想うことからページの先頭へ
copyright 2015 Mitsui Fudosan Co., Ltd. All Rights Reserved.
三井不動産のプロジェクト