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コラム

 

 
しまなみシリーズ③ 世界に誇る海事クラスター・今治

 

 

 尾道からしまなみ海道を渡った四国の対岸が今治市である。今治と言えば造船とタオルが全国的に有名。ゆるキャラグランプリ2012王者に輝いたバリィさんもいる。イメージとしては人口16万人という規模以上に存在感のある都市だ。写真は有名な波止浜の「造船長屋」の光景である。クレーンが立ち並ぶ様はまさに圧巻と言う他はない。

 

 

波止浜の「造船長屋」

 市内に14の事業所を擁し国内の2割近くを占める船舶建造量や日本の外航船の約4割に達する保有船腹量だけではない。間接サービス部門としてのシップファイナンス、海事専門法律事務所、あるいは海上保安部や海事事務所等の公的機関が集積している。また海技者養成の教育機関「国立波方海上技術短期大学校」や「国立弓削商船高等専門学校」、さらには造船関連企業が共同で設立した「今治地域造船技術センター」の存在など、世界でも例を見ないほどの見事な総合海事クラスターを成している。
 ただ、今日の典型的な産業クラスターは、シリコンバレーやオースチンを見るまでもなくハイテク型だ。21世紀の知識社会における企業立地の主要因は土地や労働力等の移転が難しい古典的な生産要素ではなく、大学・研究機関・高度専門人材等の知識創造インフラである。主たるイノベーションも20世紀型工業社会がプロセスイノベーションによる低コスト化であったのに対し、プロダクトイノベーションによる新商品創造である。

今治タオルのブランドロゴ
(今治タオル公式サイトより)

 時代は変わっている。造船王国今治といえども安閑としてはいられない。産業クラスターの活性化には新しい需要搬入が必要とされている。技術力を活かして、例えば海上風力発電設備のような環境やエネルギー分野への貢献などが期待されようが、それよりも他産業とのコラボや異業種とのケミストリーの方が面白い。となれば今治のもう一方の雄であるタオル産業とのシナジーを考えるのが順当だ。重厚長大の権化のような造船業と軽工業の代表格のような繊維産業とは水と油とまでは言わないにしても、共通項など無さそうだが、考えてみれば決してそんなことはない。今治ではいわゆる豪華客船はメニューに無いのかもしれないが、どんな船にも船室というものがある。造船業には様々な艤装のノウハウがある。

 一方、タオルは取りも直さずリネンである。この組み合わせ、すなわち「部屋づくり+リネン」となれば「=ホテル」ということになる。もともと瀬戸内海は、ドイツ人地理学者リヒトホーフェンが、「広い区域に亙る優美な景色で、これ以上のものは世界のどこにもないであろう」と絶賛した、日本の誇る大観光資源である。観光産業とのコラボも絶対だ。

 

 

 本物のキャビンそのもののインテリアと極上のリネン。陸の建物だけでなく船が海上に浮かぶホテルになってもいいだろう。そんなホテル、個人的には泊まってみたい。是非尾道のU2に負けない魅力的なホテルを創っていただきたい。

 



  池田 磨佐人
2018年2月22日 街のちから(三友新聞)


 


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