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脱炭素社会実現に向けグループ行動計画を策定
2030年度までに国内全施設ZEB/ZEH化、メガソーラー事業を5倍へ拡大
洋上風力・地熱など創エネ事業を積極的に推進、2022年度よりICP導入

2021年11月24日
三井不動産株式会社

本リリースのポイント

・2050年度までのグループ行動計画(ロードマップ)を策定。
<脱炭素に向けた新たな目標>

2030年度の温室効果ガス排出量削減率を40%へ引き上げ。
(2019年度排出量438万t/年に対し削減量約175万t/年、一般家庭の年間CO2排出量の約100万世帯分に相当※1)

<主な取り組み>

計画実行に向けて「サステナビリティ推進部」を新設、2022年度よりICP(社内炭素価格制度)導入。

  1. 2030年度に向けて
    • 国内全ての新築物件でZEB/ZEH水準の環境性能を実現。既存施設も積極的に環境性能向上。
    • 再エネ活用、電力グリーン化※2を国内全施設へ拡大。
    • メガソーラー事業を約5倍(3.8億kwh/年)へ拡大。首都圏で保有する全施設※3の自用電力に相当する発電量を確保。
    • 建設時CO2排出量削減の取り組みや森林活用など、サプライチェーン全体での脱炭素に向けたパートナーシップを強化。
  2. 2050年度を見据えて
    • 洋上風力や地熱などの創エネ事業、東京大学などのアカデミアや建設会社との研究開発、ベンチャー企業への出資や、実証実験の場の提供など、新技術創造に向けたオープンイノベーションを推進。
    • 上記の取り組みを掛け合わせて、エリア全体で脱炭素化を進める街づくりの仕組みを構築。

<2050年度に向けたロードマップイメージ>


当社のメガソーラー事業(北海道苫小牧市)

洋上風力発電イメージ
  • 1:全国地球温暖化防止活動推進センター「4-6 家庭からの二酸化炭素排出量(2019年度)」より算出
  • 2:当社が使用する持ち分共用部相当電力(一部所有を含み、各施設内自家発電電力相当を除く)
  • 3:現時点の当社首都圏における全施設利用電力量に相当

三井不動産株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長 菰田正信)は、2020年12月に温室効果ガス排出量(GHG)の中長期目標を設定いたしましたが、この度、具体的なアクションを実行するべく、2030年度のGHG削減率目標を40%(2019年度比)に引き上げるとともに、2050年度のネットゼロ達成のため、「脱炭素社会の実現に向けたグループ行動計画(ロードマップ、以下本行動計画)」を策定したことをお知らせいたします。

当社グループは、「 」マークに象徴される「共生・共存」「多様な価値観の連携」「持続可能な社会の実現」の理念のもと、グループビジョンに「 」を掲げ、社会・経済の発展と地球環境の保全に貢献しています。

近年、温暖化防止のための国際的枠組み「パリ協定」や、2021年4月に政府が脱炭素に向けた新たな目標を掲げるなど、気候変動に対するグローバルな関心と対策の重要性が一層高まっています。こうした流れを受け、目標達成に向けた包括的かつ具体的な戦略として、本行動計画を作成することといたしました。

当社グループは本行動計画に基づき、2030年度に向けて、省エネ施策や再生可能エネルギー(再エネ)などの導入施設やメガソーラー事業規模を拡大するとともに、サプライチェーン全体でのCO2削減に向けたパートナーシップを強化いたします。そして、2050年度を見据えて、洋上風力発電や地熱発電など新技術の活用による創エネ事業の検討・推進やオープンイノベーションなどにより、様々なパートナーと力を合わせて脱炭素社会の実現に取り組んでまいります。

当社は、気候変動への適応に関する様々なイニシアチブに参加しています。

■本行動計画に定める目標

上記目標達成により削減される2030年度までの温室効果ガス排出量は175万tであり、一般家庭の電力由来の年間CO2排出量約100万世帯分※にあたります。

※ 全国地球温暖化防止活動推進センター「4-6 家庭からの二酸化炭素排出量(2019年度)」より算出

なお、地球温暖化による世界の平均気温上昇を1.5度以下に抑えるための水準として、グループ排出量のうちSCOPE1+2においては2030年度までに46.2%削減(2019年度比)を目指します。

本行動計画の詳細については、こちらをご覧ください。
https://www.mitsuifudosan.co.jp/esg_csr/carbon_neutral/


<本行動計画の概要>

■2030年度に向けた取り組み
(1)新築・既存物件における環境性能向上

国内全ての新築物件で、ZEB/ZEH水準の環境性能を実現します。また、既存施設においては計画的なリニューアルによる省エネ性能向上や、オンサイトでの再生可能エネルギーの創出を積極的に推進します。

  • 新築物件におけるZEB/ZEH水準の環境性能を実現
    ZEB/ZEH水準…ZEB/ZEH Oriented以上の環境性能を有するBEI※水準
    ※BEI(Building Energy Index) 国土交通省が定める住宅・建築物のエネルギー性能を示す評価指標であり、設計一次エネルギー消費量を基準一次エネルギー消費量で除して算出。「建築物省エネ法」に基づく概念
  • 既存施設における省エネ性能向上の具体例:
    物流施設、商業施設の屋上等敷地内スペースへの太陽光パネル設置によるオンサイトでの発電・供給、オフィスビルでの照明のLED化や照度適正化、ホテル・商業施設での空調負荷低減の取り組みなど

(2)再生可能エネルギーの積極活用、対象施設の全国拡大

1. 電力グリーン化を国内全施設へ拡大

これまで、2030年度までに首都圏の当社保有施設※1で実施予定であった電力グリーン化※2施設を、「国内全施設」へ拡大、再エネ活用を主導します。

  • 1 当社が使用する持ち分共用部相当電力(一部所有を含み、各施設内自家発電電力相当を除く)
  • 2 「グリーン化」とは、非化石証書等を利用して使用電力を実質的に再生可能エネルギーとすること

当社保有施設の一例

2. テナント、投資家、居住者向けの再エネを活用したサービス拡充

2021年4月より、当社施設のテナント企業のESG課題解決やRE100 達成に向けて、再生可能エネルギーを活用した「グリーン電力提供サービス」を開始、現在約100社の方にご利用・ご検討いただいています。
近年の環境配慮に対する関心の高まり、多様なニーズに応えるべく、当社グループが分譲するマンションや投資家向け施設の購入者に対する電力グリーン化の仕組みを提供するなど、全国・全施設へ再エネを活用したサービス範囲を広げます。


「グリーン電力提供サービス」ご利用企業(2021年10月末時点ご利用企業の一部を掲載、五十音順)

<今後の取り組み>

  • 機関投資家に対して、物件売却時に「グリーン電力メニュー」を提案
  • 中高層マンションにおいて、「一括高圧受電×再生可能エネルギー」の仕組みやエネファームを導入


再エネを活用したマンション一括高圧受電の仕組みイメージ


(3)メガソーラー事業の拡大や再エネ容量拡大などによる電力の安定確保

当社は現在、全国5カ所でメガソーラー事業を推進していますが、2030年度までに事業規模を2019年度比約5倍の3.8億kwh/年の発電量※へ拡大することで、首都圏における自用電力相当の発電量を確保します。

また、現在首都圏においては、東京電力エナジーパートナー㈱との包括協定により、6億kwh/年の調達を確保(2020年12月協定締結)していますが、さらに他事業者との連携などにより、2030年度までに合計8億kwh/年以上の非化石証書を確保するほか、首都圏以外の全国においても必要に応じて追加の非化石証書の確保に努めます。

※2019年度の総発電量0.8億kwh/年。総出力約24.7万kw


(4)その他の取り組み

1. 建築時のCO2排出量削減に向けたサプライチェーン全体でのパートナーシップ強化

建築時CO2排出量を正確に把握するツール整備や、建設会社等へ削減計画書提出を義務化するなど、建設会社や部資材メーカーを巻き込んだサプライチェーン全体での CO2削減を推進します。

<具体的な取り組み>
1. 建築時CO2排出量の正確な把握

  • 建築時排出量を正確に把握し、削減効果等を適切に反映するため、「(仮称)資材量積み上げ方式」※による建築時排出量算出の仕組みを導入
  • 学識経験者・設計者と協働し、2022年度中に「建築時排出量算出ツール」として整備
  • 2023年度中には全ての施工者に対し上記ツールを用いた建築時CO2排出量算出を義務化

2. 建築時CO2排出量の削減

  • 設計指針や見積要綱書を改定し、低炭素材・手段の活用、建設現場での排出削減、資材の調達戦略などを含む「建築時CO2削減計画書」の提出を義務付け

※使用する資材固有のCO2原単位を用いて資材毎の排出量を積み上げ、建物全体の建築時CO2排出量を算出する方法。従来は、建築費(設備投資額)に排出量原単位を乗じることによる計算方法を採っていたが、低炭素材の導入や、建設現場における省エネ活動等の削減効果を適切に反映できない課題があった。

2. 当社保有林の活用

当社グループでは北海道の道北地方を中心に約5,000haの森林を保有・管理しており、木造賃貸ビルや木造住宅などの主要部材、各施設の仕上材などに積極的に活用するなど、森林保全活動や木材の利活用を通じて、建築資材の自給自足および森林資源と地域経済の持続可能な好循環を実現します。 三井不動産の森林保全活動については、こちらをご覧ください。
https://www.mitsuifudosan.co.jp/and_forest/

3. 外部認証の積極的な取得

全施設での環境性能向上を実現することに加え、脱炭素を含めたESG推進の観点より、国内外の様々な外部認証を積極的に取得します。

【参考:認証取得済の施設事例】

■2050年度の脱炭素に向けた様々なチャレンジ
(1)新技術創造に向けたオープンイノベーション

脱炭素に関する技術革新の動向等を把握し、洋上風力発電や地熱発電等の再エネ新技術の活用や新たな創エネ事業の展開を積極的に検討します。また、東京大学との共同研究などアカデミアや建設会社との研究開発、ベンチャー企業への出資、実証実験が可能な「場の提供」等のオープンイノベ―ションを通して、社会全体での脱炭素化へ貢献します。


洋上風力発電イメージ

東京大学との共同研究「三井不動産東大ラボ」
(2020年7月の産学協創協定締結時の様子)

(2)街づくりにおける取り組みの促進

脱炭素社会実現に向け、日本橋・豊洲・八重洲における「スマートエネルギープロジェクト」や「柏の葉AEMS※」をはじめ、新技術やオープンイノベーションを交えながら、当社施設だけでなく、エリア全体の脱炭素を進めるまちづくりの実現を目指します。

※AEMS:Area Energy Management system(エリアエネルギー管理システム)


日本橋スマートエネルギープロジェクト

柏の葉スマートシティ

■行動計画推進のための社内制度
(1)新たな組織体制

行動計画の推進主体として、2021年10月1日付で「サステナビリティ推進部」を新設し、全社エネルギーマネジメントを行う事業部門をはじめ、あらゆる全社部門と連携し、脱炭素に向けた取り組みを力強く推進します。

(2)インターナルカーボンプライシング(ICP:社内炭素価格制度)の導入

2022年度より、新規開発物件においてCO2排出量に価格付けを行い、脱炭素への取り組みを促すための社内制度として「インターナルカーボンプライシング」を導入、環境負荷を定量的に可視化し、CO2排出量削減の進捗を管理することでグループ全体の意識を高め、脱炭素への取り組みを加速させます。

■三井不動産グループのSDGsへの貢献について

https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/esg_csr/
三井不動産グループは、「共生・共存」「多様な価値観の連繋」「持続可能な社会の実現」の理念のもと、人と地球がともに豊かになる社会を目指し、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)を意識した事業推進、すなわちESG経営を推進しています。当社グループのESG経営をさらに加速させていくことで、日本政府が提唱する「Society 5.0」の実現や、「SDGs」の達成に大きく貢献できるものと考えています。

*なお、本リリースの取り組みは、SDGs(持続可能な開発目標)における5つの目標に貢献しています。

目標7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに
目標9 産業と技術革新の基盤をつくろう
目標11 住み続けられるまちづくりを
目標13 気候変動に具体的な対策を
目標17 パートナーシップで目標を達成しよう