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保有か売却かに悩むA様保有か売却かに悩むA様

レッツプラザ2018年5月号

親から相続した地方の一棟マンションと区分所有マンション2戸、そして都内M区のご自宅近くにも区分所有マンション1戸をご所有するA様。地方の一棟マンションは貴重な収入源ですが、相当古くなってきたことから、管理費や修繕費が増加してきています。「地方の不動産については、将来資産価値が下がるのなら、いっそのこと売却してしまおうか」とお考えでした。一方、ご自宅近くに所有する区分所有マンションについては、「将来娘が住むかもしれないので、とりあえず保有しておくつもり」とのことでした。 今回は、改めてプロのアドバイスをもらいたい、とご相談いただきました。

各不動産の現状と課題

長男は「今までお母さんの面倒を見るのにかかった費用もあるし、今後もお墓を引き継ぐので、俺は一番多くもらわないと!」と言えば、弟は「兄さんはお母さんの家賃収入を生活費にし、もうすでに十分もらっているはず」と主張。それに対して、妹からは「お兄ちゃん(次男)はお母さんから時々援助受けていたでしょ」「援助を受けた分を、今回の相続財産に含めるのが当然じゃないの?」と、誰に知恵をつけられたのか次男に対して辛辣な発言が飛び出す始末です。

三人の話し合いでは罵り合うばかりで話が進展せず、とうとう家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることになりました。

調停成立するも、その後は。

A様がご所有する地方の3つのマンションをはじめ、ご自宅やご自宅近くのマンションを含む全ての不動産を対象に、流通性・収益性・相続税評価額の圧縮効果等を分析できる、三井不動産リアルティ独自の「資産ドック」を作成し、各不動産の状況を把握いたしました。 その結果、以下のような内容がわかってきました。

① 地方駅前の区分所有マンション1戸

賃貸稼働中ですが、管理費や修繕費の上昇で収入額は減少しています。一方で、居住用マンションとしては市場流通性の評価が高く、収益用ではなく居住用として売却した方が高く売れる可能性があることや、相続税評価額の圧縮効果が高く、有効な相続税対策になっていました。

② セカンドハウス利用の地方の区分所有マンション1戸

駅から遠いことや近隣に大規模マンションが増えたこともあり、売却価格が下落傾向でした。また、セカンドハウス利用の為、相続税評価額の圧縮効果もあまりありませんでした。

③ 地方の約30部屋のRC造一棟賃貸マンション

現在の収入の大きな柱である一棟マンションは、敷地面積が広いため資産価値も高く、かつ相続税評価額の圧縮効果も比較的高い優良な資産であることがわかりました。ただし、築30年となり、今後大規模な修繕が必要になることや、お兄様と共有になっていることがわかり、それが大きな不安要素でした。

④ 築5年の分譲マンション[ご自宅]

近年現金購入したばかりで、特にA様に不満もなく、相続税評価額の圧縮効果も大きいことがわかりました。

⑤ 自宅近くの古い区分マンション1戸

賃貸稼働中ではあるものの、賃料は相場より安く、修繕コストも上昇傾向。敷地持分が多い低層マンションであるため、相続税対策への効果はあまり大きくありませんでした。人気エリアである一方で、近年新規供給物件も多く、今後売却・賃貸ともに競合増加とマーケット変動は避けられないと予想されました。

整理することで見えた選択肢

当初A様は、地方の物件についてはご売却するご意向をすでに決めていたようでした。しかしながら今回「資産ドック」によってわかってきた事実や課題をもとに、各不動産の役割と目的をあらためて整理することで、下記の通り(表1参照)一部の不動産についての保有継続や売却時期の見直しをご提案をさせていただきました。


「資産ドック」は、ご所有不動産の概要をはじめ、各不動産の実勢価格と相続税評価額といった価値、収益性、流通性評価、さらには資産全体の相続税評価額の圧縮効果などを分析し、現状の課題を視覚的に把握することができる三井不動産リアルティ独自のツールです。今回は、不動産ごとの役割を再整理する中で、全体資産を複数の視点から検証できる「資産ドック」を作成したことで、ご所有不動産が抱える複数の課題や問題点を一度に解消できる具体的なご提案ができました。

※本記事は2018年5月号に掲載されたもので、その時点の法令等に則って書かれています。

岡本 良保
三井不動産リアルティ株式会社
ソリューション事業本部 コンサルティング営業一部
岡本 良保

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