かつて「東洋一の大運河」と呼ばれた中川運河。「みなとアクルス」は、JR名古屋駅と名古屋港を結ぶこの運河沿いに生まれた新しい街です。この街の「顔」として、<第1期開発>の目玉となったのが、2018年9月にグランドオープンした三井不動産の「ららぽーと名古屋みなとアクルス」。東海3県初進出の「ららぽーと」である本物件の担当者のうちの3名、「事業」「営業」「運営」それぞれの視点からプロジェクトをひも解きます。


地上4階建て、総敷地面積約8万㎡、全217店舗の商業施設「ららぽーと名古屋みなとアクルス」のキャッチフレーズは「ヒトを繋ぎ、トキを紡ぐ“コネクトモール”」。そのメッセージ通り、物件の周囲には集合住宅、イベントスペース、区役所、エネルギーセンター、スポーツ施設、ゴルフ場など、人々の交流を促す都市機能が集積している。約33万㎡という広大な新しい街「みなとアクルス」が、この物件によって元気な産声をあげた。

かつて「東洋一の大運河」と呼ばれた中川運河。「みなとアクルス」は、JR名古屋駅と名古屋港を結ぶこの運河沿いに生まれた新しい街です。この街の「顔」として、<第1期開発>の目玉となったのが、2018年9月にグランドオープンした三井不動産の「ららぽーと名古屋みなとアクルス」。東海3県初進出の「ららぽーと」である本物件の担当者のうちの3名、「事業」「営業」「運営」それぞれの視点からプロジェクトをひも解きます。

地上4階建て、総敷地面積約8万㎡、全217店舗の商業施設「ららぽーと名古屋みなとアクルス」のキャッチフレーズは「ヒトを繋ぎ、トキを紡ぐ“コネクトモール”」。そのメッセージ通り、物件の周囲には集合住宅、イベントスペース、区役所、エネルギーセンター、スポーツ施設、ゴルフ場など、人々の交流を促す都市機能が集積している。約33万㎡という広大な新しい街「みなとアクルス」が、この物件によって元気な産声をあげた。

事業
木村 亮平
2014年入社
商業施設本部 リージョナル事業部 事業推進グループ

「三井ショッピングパーク ららぽーと」の第1号店のオープンは1981年になるのですが、今回の「ららぽーと名古屋みなとアクルス」は、14施設目。37年の歴史の中で初めて東海3県(愛知、岐阜、三重)に誕生するとあって、社内はもちろんのこと、業界からの注目も高いプロジェクトでした。その名前にある通り、海にほど近い名古屋市港区に位置し、敷地のすぐそばには運河が流れ、豊富な緑地も整備された場所です。この、ナゴヤドーム6個分、約33万㎡にもおよぶ広大な新しい街「みなとアクルス」の、<第Ⅰ期開発>として「ららぽーと名古屋みなとアクルス」は生まれました。隣接地には「パークホームズ LaLa名古屋みなとアクルス」の竣工も控えており、まさに三井不動産グループだからこそ実現できる、商業と住宅が融合した開発になっています。話は遡りますが、このエリアの開発事業者の選定は、2012年にコンペティションを通じて行われました。その際、私たち三井不動産には、川崎や豊洲といった湾岸エリアの再開発において「ららぽーと」や「パークホームズ」「パークシティ」というブランド名のマンションなどが地域を活性化してきた実績があったことは、大きなアドバンテージだったようです。私が入社した2014年当時は、工業地域だった土地を商業や住宅にも使える土地に変更するための行政手続きが終わった直後で、いよいよ物件の基本設計がスタートする時期でした。敷地の中にどのような形の建物をつくるか、広場や駐車場などの共用スペースをどういったものにするか等、有識者へのヒアリングや地域住民へのアンケートを実施しながら、設計会社とともに具体的な「配棟計画」を仕上げていきました。



基本設計を進めるために何よりも重要になるのがコンセプトです。「ららぽーと」が東海エリアに初出店することは大きなニュースにはなりますが、エリア内にはすでに競合他社のショッピングセンターが数多くあり、ありきたりの施設をつくっても集客は見込めません。また、当時はちょうど、ECというネットショッピングが盛んになり始めた頃で、魅力ある施設でなければお客様に実店舗に足を運んでいただき売上を伸ばすことは難しいのではないかという危機感もありました。その中で、営業部や広告代理店、コンサルタント企業などの知恵も借りながら、100を超えるコンセプト案を出し合い、最終的に絞り込んだキーワードは「メイク・コミューン・ポート」でした。交流が生まれる場所という意味に、「みなと」「ららぽーと」から取った「ポート」を入れたフレーズです。オープン時にはこのキーワードを「ヒトを繋ぎ、トキを紡ぐ“コネクトモール”」というキャッチコピーへと進化させました。そこに込めているのは、お客様の遊びやくつろぎを求める想いと、買い物を楽しみたいという想い、そのそれぞれがリンクできる場所にしたい、というものです。その考えを軸にして基本設計を練った結果、商業施設である「ららぽーとみなと名古屋アクルス」の建物を中核にして、敷地内にはピクニックが楽しめる「みどりの大広場」や、屋根付きイベントスペース「デカゴン」といった、遊びやくつろぎのための空間を想定した、従来のショッピングセンターとは一線を画す計画になったと自負しています。もちろん、それを実現させていくことは簡単ではありませんでした。プロジェクトの推進にあたっては、建築業界が直面している資材費・人件費の高騰にかなり頭を悩ませました。ゼネコンとタフな交渉を続け、当初の計画を変更するという苦い経験もしました。大きなビジョンを描くと同時に、それを実行に移すところまで責任を負う。それが事業部の仕事なのだと痛感させられる日々でした。

名古屋の現地には頻繁に足を運びましたが、特に2017年3月の着工以降は、その頻度はどんどん増えていきました。営業部の尽力で徐々にテナントが決まっていけば、当然、テナントごとの要望も出てきます。その都度、設計が変わるため、工事が進む現場に行って、変更が間に合うか確認する必要もあります。竣工直前の検査は真夏だったため、全員で汗びっしょりになって敷地内を回りましたね。「ららぽーと名古屋みなとアクルス」の開業は「みなとアクルス」の街開きという意味もあり、県知事や市長といった方々にもご出席いただく盛大なセレモニーを実施し、地域の方々からの期待の大きさを改めて実感しました。また、「ららぽーと名古屋みなとアクルス」のグランドオープン当日には、約3000人ものお客様が長蛇の列をつくっており、私や仲間たちは、その列が途切れるまでその様子をずっと眺めていました。何より印象的だったのは、多くのお客様の顔に、高揚感に満ちた表情が浮かんでいたこと。三井不動産ではさまざまなアセットを開発していますが、こんな瞬間に立ち会えるのは商業施設ならではのことだと思います。図面だったものが形になり、思い描いていたことが目の前で実現するのは大変感慨深いことでした。思い返してみると、私は入社以来4年半に渡って、この「ららぽーと名古屋みなとアクルス」に携わってきたことになります。開発の序盤戦からオープンまで関われたことも、社内外に信頼できる人々との良好な関係が築けたことも、かけがえのない財産です。そんな経験を何色にも染まっていない新人時代に味わえたことは、三井不動産パーソンとしての私の礎になることでしょう。


営業
大澤 里帆
2015年入社
商業施設本部 商業施設営業二部 営業グループ

入社してこの部署に配属されるまで、私は商業施設の営業が一体何をする仕事なのか、まったくイメージが湧いていませんでした。実際には、商業施設の営業の仕事は、「物件担当」と「法人担当」の大きく二つに分類されるのですが、私が初めて「物件担当」をすることになったのが「ららぽーと名古屋みなとアクルス」でした。営業部の物件担当が担うミッションのなかで重要なことは、事業部と一緒に物件コンセプトを策定し、それに基づいて各フロアのコンセプトや区画ごとのテナントを決めていくことです。「ららぽーと名古屋みなとアクルス」は地上4階建て、全217店舗が集積する大型商業施設ですが、フロアのコンセプトがなければテナントを誘致できません。そしてもちろん、コンセプトを策定するにしても、その地域のニーズや市況を知らなければただの「ひとりよがり」になってしまいます。そこで私たちは、地元出版社の力を借りて、地域住民の皆さんにグループインタビューをお願いすることにしました。それまで未経験だったファシリテーションをすることになり、不器用ながらインタビューをした記憶が蘇ってきますね。そこで聞こえてきた地元の皆さんの生の声で興味深かったのは、湾岸エリアには「オシャレな場所がない」「ゆっくりくつろげるカフェがない」という意見でした。もともと本物件の立地は、かつて工場だった場所でもあり、年配層の中には買い物スポットとして見ていない方が一定割合いたことも事実です。しかし、人気の水族館が周辺にあったり、近年は花火大会なども開催されていたりと、20〜40代は「遊びに行く場所」として認識していることも分かりました。そして名古屋駅周辺には商業施設はありますが、ゆっくりくつろげる場所がない。こういった背景もあり、私たちは「ららぽーと名古屋みなとアクルス」を、「時間消費・体験型」の施設にしようと決めたのです。



営業担当は前述のとおり、「物件担当」だけでなく「法人担当」という役割も担っています。担当した物件のコンセプトをつくり込んだ後は、実際にテナントとして出店してくれそうな企業を回るわけです。私はレディースアパレル、レディースインナーなどのブランドを任されており、当物件への正式な誘致がスタートする前から、少しずつテナント候補の企業に「ららぽーと名古屋みなとアクルス」の紹介も始めていました。というのも、「ららぽーと」は東海3県初進出で、地元企業への接点もなかったため、まずは「ららぽーと」という商業施設を知ってもらうことから始める必要があったのです。じつは各フロアのコンセプトは、当社のみで策定するわけではなく、行き詰まった際、名古屋で人気を集めていた親子カフェを頼り、ともにフロアのコンセプトを考えていきました。この親子カフェは、住宅リノベーション事業を皮切りに、飲食事業も展開している企業でした。もともと、当施設の3階をフードコート、ベビー用品、ファミリー・キッズアパレル、ホビー系で構成した「3世代で楽しめるフロア」にしようと決めてはいたものの、新鮮さに欠けるありきたりなゾーニングにはしたくなく、その中にシンボリックな「編集ゾーン」を作りたかった。そこで、その企業に親子カフェとしての一区画だけでなく、編集ゾーン全体の内装デザインプロデュースを依頼し、その結果、編集ゾーンのテーマを「サーカス」に設定しました。各所にはフォトスポットを配置し、中心にあるプレイエリアでお子様が遊んでいる間に、ママやパパがショッピングやカフェを楽しめる空間になりました。地域住民の皆さんへのグループインタビューを通して、ママの「あったらいいな」を実現することを課題の一つとして捉えていたため、このコラボレーションは大きなブレイクスルーになった気がします。

とは言っても、オープンまでの道のりは決して平坦ではありませんでした。その原因のひとつは、小売業界全体がとても冷え込んだタイミングと重なっていたためです。数年前に東海エリアでの大型商業施設の出店ラッシュが続いたことに加え、ネットショッピングが台頭し、「しばらく実店舗は出さない」という企業がとても多かったのです。フロアマップに理想のテナントを書き込んで、修正して、また書き込んで、修正して。本物件の「顔」となるテナントが決定するまでには紆余曲折もありました。オープンまでのカウントダウンが始まりつつある中で、焦らないわけがありません。その中で、そのテナントのためだけの特別チームが営業部・事業部をまたがり編成されるなど、商業施設本部内が一致団結した時には胸が熱くなりました。
このプロジェクトを通じて私が身をもって知ったのは、商業施設の主役はデベロッパーであってはならないということです。主役となるのはテナントであり、消費者であるお客様。だからこそ、私たちはもっともっと地域に「Join」しなければならないということ。そこで今思うのは、2015年よりも前に入社できていたらなあ、ということです。ハード面に対してもソフト面に対しても、早くから携わっていればもっとテナント目線、お客様目線で自分なりのアイデアが出せたのではないかと思います。その意味では、いま営業部で培っている知識や経験を、いつかは開発のコアとなる事業部で活かしたいという想いも胸に秘めています。


運営
柴﨑 翔平
2010年入社
商業施設本部 商業施設運用部 アセットマネジメントグループ

商業施設に限った話ではありませんが、不動産は施設をつくって終わりではありません。どのアセットも開発した「その後」がある。むしろ、「その後」によって開発物件の成否が分かれると言っても過言ではありません。不動産開発の業務を「さがす、つくる、まもる」と表現する方がいます。その中で言えば、運営は「まもる」を司る部門のようですが、私は「せめる」の誤りではないかと常々思います。三井不動産には、「経年優化」という考え方があります。年を経るごとにどんどん街を良化させていく、ということですが、それを担うのは運営です。特に商業施設の場合は、方針・施策次第で結果が変わりやすいもので、1年ごとの計画は当然のこと、5年後や10年後も視野に入れた計画を立てていく必要があります。実際の仕事としては、年単位の予算を立て、業種やテナント構成、商圏やターゲット、イベント等を決定していきます。そのための広告や販促の企画を取りまとめる。安定的な賃料収入を維持するために、テナントの入替や再契約について検討する。建築・設備の細やかな修繕を通じて物件を長持ちさせる。さらに中長期的な視点に立てば、物件の売却という選択肢も出てきますし、借地権の期限が迫っていれば、その後の方針を検討することも業務のひとつです。
マーケットやテクノロジーの変化が著しい現在においては、10年後でさえ見通すことは困難になっています。「ショッピングセンター」はどのように変わっていくべきか、またはそれ自体が存続し続けるのか、そうした問題意識を持ちながら「ららぽーと名古屋みなとアクルス」を攻めの姿勢で運営しています。



「ららぽーと名古屋みなとアクルス」は開業してわずか数ヶ月ですが、そのスタートは好調で、想定よりも多くの方々にご来館いただいています。最大の要因は、やはり東海3県初進出ということでしょう。「ららぽーと」という看板に加えて、出店テナントの中にも、東海エリアあるいは愛知県「初進出」のブランドが多数揃い、新しいものに敏感な名古屋の方々から好評をいただいているのだと感じます。一般的にショッピングセンターの商圏は半径5〜10km程度と言われていますが、POSデータ(売上データ)やカード会員データの情報の分析からも、比較的広域からご来館いただけているのがわかります。一年を通じてどのような稼働状況になるのかじっくり見守りたいと思っているところです。年間計画や各施策を検討するために、さまざまな数値を参照していますが、私たちが重視しているのは売上だけではありません。それと同じぐらいに重要なのが来客数です。キャッチフレーズで「コネクトモール」と謳っているように、まずは現地に来ていただきたいという想いがあります。「ららぽーと名古屋みなとアクルス」は、広大な屋外イベントスペース「みどりの大広場」や「デカゴン」も併設しています。BBQをはじめ、音楽ライブやトークショー、大型のフェスも実施できます。現在、お客様に楽しんでいただけるイベントを複数企画しているところです。

これまでに約10物件の運営に携わってきましたが、同じ「ららぽーと」でも課題や状況はどれも違います。先行物件の実績は大きな参考になるものの、それに甘んじていては状況を見誤る可能性があります。半径5km圏内の人口がとある他物件と同程度だとしても、その構成要素は全く異なります。「ららぽーと」は20〜30代の女性やファミリーをコアターゲットとしていますが、各物件のエリアごとに嗜好もライフスタイルも何もかもが違います。商圏に入り込み、お客様を見つめ、関わり、交わり、その場所に合った最適なものを見極めることが重要です。他の成功事例がそこでも通用するかは大いに疑った方がいい。また、マーケットは激しく変化するため、常に鮮度のある、新しいコンテンツを提案し続ける必要性もあるでしょう。現在、東海エリアにおける次なる「ららぽーと」計画も着々と進んでいます。先兵隊である「ららぽーと名古屋みなとアクルス」がどこまで東海エリアに「ららぽーと」ブランドを浸透できるか、期待とともに責任の大きさをひしひしと感じています。
私は商業施設運用部に異動する前には、リージョナル事業部で商業施設の開発に従事していました。異動後、開発の「その後」に携わるようになって、正直、目が覚めたような思いもしています。「何のためにつくったんだっけ?」を見つめ直すことができた現部署。そして、そこを追求したいからこそ私は三井不動産に入社したのだと思い出しました。私はウワモノ(建物)をつくるだけでなく、価値観を生み出し続ける「まちづくり」にコミットしたい。人々の暮らしが豊かになり、新しいライフスタイルが生まれる。その最前線にいるのが運営であり、その挑戦を再認識させられたのが「ららぽーと名古屋みなとアクルス」だった、と感じています。


事業
木村 亮平
2014年入社
商業施設本部 リージョナル事業部 事業推進グループ

「三井ショッピングパーク ららぽーと」の第1号店のオープンは1981年になるのですが、今回の「ららぽーと名古屋みなとアクルス」は、14施設目。37年の歴史の中で初めて東海3県(愛知、岐阜、三重)に誕生するとあって、社内はもちろんのこと、業界からの注目も高いプロジェクトでした。その名前にある通り、海にほど近い名古屋市港区に位置し、敷地のすぐそばには運河が流れ、豊富な緑地も整備された場所です。この、ナゴヤドーム6個分、約33万㎡にもおよぶ広大な新しい街「みなとアクルス」の、<第Ⅰ期開発>として「ららぽーと名古屋みなとアクルス」は生まれました。隣接地には「パークホームズ LaLa名古屋みなとアクルス」の竣工も控えており、まさに三井不動産グループだからこそ実現できる、商業と住宅が融合した開発になっています。話は遡りますが、このエリアの開発事業者の選定は、2012年にコンペティションを通じて行われました。その際、私たち三井不動産には、川崎や豊洲といった湾岸エリアの再開発において「ららぽーと」や「パークホームズ」「パークシティ」というブランド名のマンションなどが地域を活性化してきた実績があったことは、大きなアドバンテージだったようです。私が入社した2014年当時は、工業地域だった土地を商業や住宅にも使える土地に変更するための行政手続きが終わった直後で、いよいよ物件の基本設計がスタートする時期でした。敷地の中にどのような形の建物をつくるか、広場や駐車場などの共用スペースをどういったものにするか等、有識者へのヒアリングや地域住民へのアンケートを実施しながら、設計会社とともに具体的な「配棟計画」を仕上げていきました。

基本設計を進めるために何よりも重要になるのがコンセプトです。「ららぽーと」が東海エリアに初出店することは大きなニュースにはなりますが、エリア内にはすでに競合他社のショッピングセンターが数多くあり、ありきたりの施設をつくっても集客は見込めません。また、当時はちょうど、ECというネットショッピングが盛んになり始めた頃で、魅力ある施設でなければお客様に実店舗に足を運んでいただき売上を伸ばすことは難しいのではないかという危機感もありました。その中で、営業部や広告代理店、コンサルタント企業などの知恵も借りながら、100を超えるコンセプト案を出し合い、最終的に絞り込んだキーワードは「メイク・コミューン・ポート」でした。交流が生まれる場所という意味に、「みなと」「ららぽーと」から取った「ポート」を入れたフレーズです。オープン時にはこのキーワードを「ヒトを繋ぎ、トキを紡ぐ“コネクトモール”」というキャッチコピーへと進化させました。そこに込めているのは、お客様の遊びやくつろぎを求める想いと、買い物を楽しみたいという想い、そのそれぞれがリンクできる場所にしたい、というものです。その考えを軸にして基本設計を練った結果、商業施設である「ららぽーとみなと名古屋アクルス」の建物を中核にして、敷地内にはピクニックが楽しめる「みどりの大広場」や、屋根付きイベントスペース「デカゴン」といった、遊びやくつろぎのための空間を想定した、従来のショッピングセンターとは一線を画す計画になったと自負しています。もちろん、それを実現させていくことは簡単ではありませんでした。プロジェクトの推進にあたっては、建築業界が直面している資材費・人件費の高騰にかなり頭を悩ませました。ゼネコンとタフな交渉を続け、当初の計画を変更するという苦い経験もしました。大きなビジョンを描くと同時に、それを実行に移すところまで責任を負う。それが事業部の仕事なのだと痛感させられる日々でした。

名古屋の現地には頻繁に足を運びましたが、特に2017年3月の着工以降は、その頻度はどんどん増えていきました。営業部の尽力で徐々にテナントが決まっていけば、当然、テナントごとの要望も出てきます。その都度、設計が変わるため、工事が進む現場に行って、変更が間に合うか確認する必要もあります。竣工直前の検査は真夏だったため、全員で汗びっしょりになって敷地内を回りましたね。「ららぽーと名古屋みなとアクルス」の開業は「みなとアクルス」の街開きという意味もあり、県知事や市長といった方々にもご出席いただく盛大なセレモニーを実施し、地域の方々からの期待の大きさを改めて実感しました。また、「ららぽーと名古屋みなとアクルス」のグランドオープン当日には、約3000人ものお客様が長蛇の列をつくっており、私や仲間たちは、その列が途切れるまでその様子をずっと眺めていました。何より印象的だったのは、多くのお客様の顔に、高揚感に満ちた表情が浮かんでいたこと。三井不動産ではさまざまなアセットを開発していますが、こんな瞬間に立ち会えるのは商業施設ならではのことだと思います。図面だったものが形になり、思い描いていたことが目の前で実現するのは大変感慨深いことでした。思い返してみると、私は入社以来4年半に渡って、この「ららぽーと名古屋みなとアクルス」に携わってきたことになります。開発の序盤戦からオープンまで関われたことも、社内外に信頼できる人々との良好な関係が築けたことも、かけがえのない財産です。そんな経験を何色にも染まっていない新人時代に味わえたことは、三井不動産パーソンとしての私の礎になることでしょう

営業
大澤 里帆
2015年入社
商業施設本部 商業施設営業二部 営業グループ

入社してこの部署に配属されるまで、私は商業施設の営業が一体何をする仕事なのか、まったくイメージが湧いていませんでした。実際には、商業施設の営業の仕事は、「物件担当」と「法人担当」の大きく二つに分類されるのですが、私が初めて「物件担当」をすることになったのが「ららぽーと名古屋みなとアクルス」でした。営業部の物件担当が担うミッションのなかで重要なことは、事業部と一緒に物件コンセプトを策定し、それに基づいて各フロアのコンセプトや区画ごとのテナントを決めていくことです。「ららぽーと名古屋みなとアクルス」は地上4階建て、全217店舗が集積する大型商業施設ですが、フロアのコンセプトがなければテナントを誘致できません。そしてもちろん、コンセプトを策定するにしても、その地域のニーズや市況を知らなければただの「ひとりよがり」になってしまいます。そこで私たちは、地元出版社の力を借りて、地域住民の皆さんにグループインタビューをお願いすることにしました。それまで未経験だったファシリテーションをすることになり、不器用ながらインタビューをした記憶が蘇ってきますね。そこで聞こえてきた地元の皆さんの生の声で興味深かったのは、湾岸エリアには「オシャレな場所がない」「ゆっくりくつろげるカフェがない」という意見でした。もともと本物件の立地は、かつて工場だった場所でもあり、年配層の中には買い物スポットとして見ていない方が一定割合いたことも事実です。しかし、人気の水族館が周辺にあったり、近年は花火大会なども開催されていたりと、20〜40代は「遊びに行く場所」として認識していることも分かりました。そして名古屋駅周辺には商業施設はありますが、ゆっくりくつろげる場所がない。こういった背景もあり、私たちは「ららぽーと名古屋みなとアクルス」を、「時間消費・体験型」の施設にしようと決めたのです。

営業担当は前述のとおり、「物件担当」だけでなく「法人担当」という役割も担っています。担当した物件のコンセプトをつくり込んだ後は、実際にテナントとして出店してくれそうな企業を回るわけです。私はレディースアパレル、レディースインナーなどのブランドを任されており、当物件への正式な誘致がスタートする前から、少しずつテナント候補の企業に「ららぽーと名古屋みなとアクルス」の紹介も始めていました。というのも、「ららぽーと」は東海3県初進出で、地元企業への接点もなかったため、まずは「ららぽーと」という商業施設を知ってもらうことから始める必要があったのです。じつは各フロアのコンセプトは、当社のみで策定するわけではなく、行き詰まった際、名古屋で人気を集めていた親子カフェを頼り、ともにフロアのコンセプトを考えていきました。この親子カフェは、住宅リノベーション事業を皮切りに、飲食事業も展開している企業でした。もともと、当施設の3階をフードコート、ベビー用品、ファミリー・キッズアパレル、ホビー系で構成した「3世代で楽しめるフロア」にしようと決めてはいたものの、新鮮さに欠けるありきたりなゾーニングにはしたくなく、その中にシンボリックな「編集ゾーン」を作りたかった。そこで、その企業に親子カフェとしての一区画だけでなく、編集ゾーン全体の内装デザインプロデュースを依頼し、その結果、編集ゾーンのテーマを「サーカス」に設定しました。各所にはフォトスポットを配置し、中心にあるプレイエリアでお子様が遊んでいる間に、ママやパパがショッピングやカフェを楽しめる空間になりました。地域住民の皆さんへのグループインタビューを通して、ママの「あったらいいな」を実現することを課題の一つとして捉えていたため、このコラボレーションは大きなブレイクスルーになった気がします。

とは言っても、オープンまでの道のりは決して平坦ではありませんでした。その原因のひとつは、小売業界全体がとても冷え込んだタイミングと重なっていたためです。数年前に東海エリアでの大型商業施設の出店ラッシュが続いたことに加え、ネットショッピングが台頭し、「しばらく実店舗は出さない」という企業がとても多かったのです。フロアマップに理想のテナントを書き込んで、修正して、また書き込んで、修正して。本物件の「顔」となるテナントが決定するまでには紆余曲折もありました。オープンまでのカウントダウンが始まりつつある中で、焦らないわけがありません。その中で、そのテナントのためだけの特別チームが営業部・事業部をまたがり編成されるなど、商業施設本部内が一致団結した時には胸が熱くなりました。
このプロジェクトを通じて私が身をもって知ったのは、商業施設の主役はデベロッパーであってはならないということです。主役となるのはテナントであり、消費者であるお客様。だからこそ、私たちはもっともっと地域に「Join」しなければならないということ。そこで今思うのは、2015年よりも前に入社できていたらなあ、ということです。ハード面に対してもソフト面に対しても、早くから携わっていればもっとテナント目線、お客様目線で自分なりのアイデアが出せたのではないかと思います。その意味では、いま営業部で培っている知識や経験を、いつかは開発のコアとなる事業部で活かしたいという想いも胸に秘めています。

運営
柴﨑 翔平
2010年入社
商業施設本部 商業施設運用部 アセットマネジメントグループ

商業施設に限った話ではありませんが、不動産は施設をつくって終わりではありません。どのアセットも開発した「その後」がある。むしろ、「その後」によって開発物件の成否が分かれると言っても過言ではありません。不動産開発の業務を「さがす、つくる、まもる」と表現する方がいます。その中で言えば、運営は「まもる」を司る部門のようですが、私は「せめる」の誤りではないかと常々思います。三井不動産には、「経年優化」という考え方があります。年を経るごとにどんどん街を良化させていく、ということですが、それを担うのは運営です。特に商業施設の場合は、方針・施策次第で結果が変わりやすいもので、1年ごとの計画は当然のこと、5年後や10年後も視野に入れた計画を立てていく必要があります。実際の仕事としては、年単位の予算を立て、業種やテナント構成、商圏やターゲット、イベント等を決定していきます。そのための広告や販促の企画を取りまとめる。安定的な賃料収入を維持するために、テナントの入替や再契約について検討する。建築・設備の細やかな修繕を通じて物件を長持ちさせる。さらに中長期的な視点に立てば、物件の売却という選択肢も出てきますし、借地権の期限が迫っていれば、その後の方針を検討することも業務のひとつです。
マーケットやテクノロジーの変化が著しい現在においては、10年後でさえ見通すことは困難になっています。「ショッピングセンター」はどのように変わっていくべきか、またはそれ自体が存続し続けるのか、そうした問題意識を持ちながら「ららぽーと名古屋みなとアクルス」を攻めの姿勢で運営しています。

「ららぽーと名古屋みなとアクルス」は開業してわずか数ヶ月ですが、そのスタートは好調で、想定よりも多くの方々にご来館いただいています。最大の要因は、やはり東海3県初進出ということでしょう。「ららぽーと」という看板に加えて、出店テナントの中にも、東海エリアあるいは愛知県「初進出」のブランドが多数揃い、新しいものに敏感な名古屋の方々から好評をいただいているのだと感じます。一般的にショッピングセンターの商圏は半径5〜10km程度と言われていますが、POSデータ(売上データ)やカード会員データの情報の分析からも、比較的広域からご来館いただけているのがわかります。一年を通じてどのような稼働状況になるのかじっくり見守りたいと思っているところです。年間計画や各施策を検討するために、さまざまな数値を参照していますが、私たちが重視しているのは売上だけではありません。それと同じぐらいに重要なのが来客数です。キャッチフレーズで「コネクトモール」と謳っているように、まずは現地に来ていただきたいという想いがあります。「ららぽーと名古屋みなとアクルス」は、広大な屋外イベントスペース「みどりの大広場」や「デカゴン」も併設しています。BBQをはじめ、音楽ライブやトークショー、大型のフェスも実施できます。現在、お客様に楽しんでいただけるイベントを複数企画しているところです。

これまでに約10物件の運営に携わってきましたが、同じ「ららぽーと」でも課題や状況はどれも違います。先行物件の実績は大きな参考になるものの、それに甘んじていては状況を見誤る可能性があります。半径5km圏内の人口がとある他物件と同程度だとしても、その構成要素は全く異なります。「ららぽーと」は20〜30代の女性やファミリーをコアターゲットとしていますが、各物件のエリアごとに嗜好もライフスタイルも何もかもが違います。商圏に入り込み、お客様を見つめ、関わり、交わり、その場所に合った最適なものを見極めることが重要です。他の成功事例がそこでも通用するかは大いに疑った方がいい。また、マーケットは激しく変化するため、常に鮮度のある、新しいコンテンツを提案し続ける必要性もあるでしょう。現在、東海エリアにおける次なる「ららぽーと」計画も着々と進んでいます。先兵隊である「ららぽーと名古屋みなとアクルス」がどこまで東海エリアに「ららぽーと」ブランドを浸透できるか、期待とともに責任の大きさをひしひしと感じています。
私は商業施設運用部に異動する前には、リージョナル事業部で商業施設の開発に従事していました。異動後、開発の「その後」に携わるようになって、正直、目が覚めたような思いもしています。「何のためにつくったんだっけ?」を見つめ直すことができた現部署。そして、そこを追求したいからこそ私は三井不動産に入社したのだと思い出しました。私はウワモノ(建物)をつくるだけでなく、価値観を生み出し続ける「まちづくり」にコミットしたい。人々の暮らしが豊かになり、新しいライフスタイルが生まれる。その最前線にいるのが運営であり、その挑戦を再認識させられたのが「ららぽーと名古屋みなとアクルス」だった、と感じています。