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コラム

 

「東京と緑」 (社)東京都造園緑化業協会
投資としての屋上緑化

 地球温暖化問題への関心の高まりを背景に、屋上緑化の取り組みが広がっています。
 植栽による二酸化炭素の吸収、植栽と土層の断熱効果による建物内空調エネルギーの削減、屋上表面における温度上昇の抑制によるヒートアイランド現象の緩和など、屋上緑化には温暖化対策として種々の効果があることから、近年条例等で屋上緑化を義務付ける自治体が増えています。
 ところで、当然のことですが屋上緑化にはお金がかかります。助成金などの優遇策もあるとはいえ、それでも事業者は屋上緑化のために相応の金銭的支出をすることになります。問題はこの支出を事業者としてどのように捉えるかということです。
 屋上緑化が条例で定められたものである以上、それにかかる支出はやむを得ないもの、つまり「コスト」だと捉えるならば、コストを最小化するための対応としては、施工・管理が容易で土層も薄くて済むセダム類や芝生などの草本類を用いた、いわゆる「平面緑化」となるものと思われます。
 しかし、屋上緑化にかかる支出を「コスト」ではなく「投資」だと捉えることはできないでしょうか。例えば屋上に樹木や花々を植え屋上庭園として公開すれば、建物利用者に憩いの場を提供することで建物の付加価値が高まります。また、屋上庭園が多数の人に利用されることで、事業者の環境問題への取り組み姿勢がアピールできるという広告宣伝効果も期待できます。
 もちろん、樹木も含めたいわゆる「立体緑化」となると、土層も厚くなり施工・管理もたいへんになりますし、建物の用途や耐荷重による制約もあるのでどんな建物でも可能というわけではありませんが、建物の付加価値向上や広告宣伝効果という「リターン」が見込めるということになれば、緑化への支出は「コスト」ではなく「投資」として捉えることが可能になります。
 こうした「リターン」に着目した取り組みとして、ビルの屋上で野菜や米を栽培している事例もあります。収穫した野菜を有名シェフがその場で料理して振る舞ったり、収穫した酒米で日本酒を醸造するといった話題性・集客性の高いイベントが実際に行われていますが、こうした取り組みは緑化を「投資」として捉えた好例といえます。
 屋上緑化に限らず、環境対応には相応の支出が伴います。それを「コスト」とみなして消極的に対応するのではなく、逆に「投資」だと前向きに捉え、「リターン」に結びつけるべく知恵を絞ることが求められているように思います。



辻田昌弘
2009年4月30日
(社)東京都造園緑化業協会「東京と緑」


 
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