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不動産経済ファンドレビュー グローバルレポート
香港REIT市場ヘ初の中国元建てREIT上場


 新たなIPOがない日本のREIT市場とは対照的に、アジア全体では、2010年後半より新規上場(IPO)が活性化しており、7月以降の半年で計8本のREITが上場した(タイ3、マレーシア・シンガポール各2、韓国1)。また、中国のオフショア市場としての役割を果たす香港では、人民元資金の取扱いが拡大し、人民元の国際化が進められている。このアジアにおけるREIT市場の活性化と、人民元の国際化を背景として、4月29日に香港証券取引所で初めて、中国の不動産を投資対象とする人民元建てのREITが上場した。香港市場には計8本のREITがすでに上場済みで、時価総額は約1000億香港ドル(約l兆円)、J-REITの約3分のl弱の規模である。香港ドル建てながら中国本土の不動産を投資対象とするREITも2本存在していた。

 今回上場したREITは「匯賢産業信託J(Hui Xian REIT)という名称で、香港の不動産会社・長江実業が中国本土の法人を通じ北京に所有する大規模複合施設「オリエンタルプラザ」をREIT化したものである。この物件は、北京の繁華街である王府井に位置し、オフィス・ホテル、サービスアパートメント、そしてショッピング・モールを擁する。日本でいえば「東京ミッドタウン」や「六本木ヒルズ」が単体でREIT化されたようなイメージのものである。上場直後の4月末時点のHui Xian REITの時価総額は約3000億円に達し、Link REITに次ぐ香港第2となる大型REITの上場となった。

 同REITの目論見書には、投資リスクとして中国特有の問題でREIT化への課題でもある「土地使用権が失効する2049年にREITが消滅する」ことに加え、香港における人民元建て特有の商品リスクとして、「中国本土外での人民元の限定された入手可能性と外貨を人民元に交換する際の制限などにより、投資口価格がネガティブな影響を受ける可能性がある」こと、また「香港ドル建てで、取引されている他の投資口と比べ、売却したい時に制限を受けないという保証ができない」ことなどが記載されている。

 香港証券取引所は、人民元建てエクイティ商品の上場に当たり、取引システムを含めて相当の準備をしてきたが、株式を含む人民元建て商品の第1号上場にREITを選んだ。世界中のメディアが注目した上場だったが、(1)そもそも中国国内の不動産を保有する中国法人に法人税等の免除規定がなく、このREITが中国法人からの配当を分配の源泉としていることと、(2)価格が相対的に高く設定されたこと―などもあって、想定投資利回りが比較的低めだった(中国本土での2年物の定期預金利息程度)。そのため個人投資家の投資商品としての評判が必ずしも高くなかった(リテールでの倍率は同時期にシンガポールで上場したメイプルツリー・コマーシャルトラストの9.0倍に対し2.5倍)。現時点(6月3日)においても、本REITの投資口価格は4.91元(RMB)であり、IPO価格5.24元に比してディスカウントで推移している。

 中国政府の本当の目的は、今後国内市場の開放と金融改革を一層進め、上海を国際金融センターにすることとも言われている。中国においても不動産証券化に関する法律法規や税制の整備が進められており、今まで私募を中心としてきた不動産投資市場に、公募を促進する動きが見られる。今回の上場は、オフショア市場香港で実験を行い、本格的なC-REIT市場を開設する準備の一環とも言えよう。



大竹 喜久
2011年6月15日 不動産経済ファンドレビュー グローバルレポート

 

 
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