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不動産経済ファンドレビュー グローバルレポート
韓国の不動産神話崩壊とK-REIT市場改革


 韓国の2010年の実質GDP成長率は6.2%と急激に回復し、そのGDPの5割以上を輸出が占めている。好調な輸出産業とは逆に、高インフレ状況が続く国内経済状況の中、住宅市場においては「不動産神話の崩壊」が始まろうとしている。韓国国民銀行の「住宅購入指数」によると、1997年の通貨危機以降ほぼ右肩上がりであったソウル特別市における住宅指数は、2008年のリーマン・ショックを契機に悪化したまま回復が見られず、2010年夏以降弱含みに推移している。

 韓国では新築住宅着工の8割以上がマンションで、その半数は個人レベルの投資用として売却されている。1990年〜2005年の間の新築分譲のうち46.1%が既に住宅を所有している世帯により購入され、複数の住宅を所有する世帯の平均所有戸数は5.3戸にも及んでいるという驚くべきデータもある。

 日本の国勢調査にあたる2010年「人口住宅総調査全数集計結果」によると、韓国の住宅普及率は101.9%となり、2005年時点の98.3%から上昇したが、逆に持ち家率は下落している。住宅の供給が世帯数の増加を上回る勢いでなされているにもかかわらず、多住宅所有者により投資用として吸収され、政府も多住宅所有者に対する重課税負担の軽減を行うなどの促進措置を採ってきた。さらに最近の非婚率の増加などによる世帯数の増加傾向もあって賃料は上昇傾向にあり、個人ベースの住宅投資が活性化されてきた。米サブプライムローン同様、韓国の住宅ローンは短期変動金利型が中心である。今後住宅価格が下落し、インフレ抑制のため利上げが行われると、ローン負担が増加し返済が滞り個人レベルの破産が多発する可能性が出てくると懸念されている。

 新規不動産開発も低迷している。韓国では大手デベロッパーは存在せず、小規模不動産会社が事業主体となり、建設会社が債務保証し借入を行い、許認可取得・建設・分譲までを建設会社自ら行い資金回収をする形が一般的だった。今年から導入されたIFRS(国際会計基準)では、建設会社が債務保証分を自らの債務として計上しなければならない要件が厳格化された。不動産市況の悪化も加えて、韓国の大手建設会社は、プロジェクトファイナンス(PF)に対する債務保証に極めて慎重となり、従来、不動産融資に積極的であった貯蓄銀行が破たんする事態が相次いだこともあり、銀行はPFの新規提供をほぼ中断している。

 不動産融資が厳しくなっている一方で、不動産市場の活性化の一役を担う不動産投資信託市場の状況に目を転じると、日本と同じ2001年に成立した韓国のREIT(上場K-REIT)の時価総額は世界全体の0.02%のシェア(2011年3月末時点)しかない状況である。韓国でのREITは、世界通貨危機以降の企業の構造調整を助ける目的で導入された経緯があり、圧倒的に非上場の割合が高くCR(Corporate Restructuring) REITと呼ばれるものが主流だ。保有不動産のオフバラや売残りマンションの処分が目的とされた。2010年7月の制度改正と規制緩和により自己管理型(Self-Managed)REITの設立が盛んとなった。こちらは開発物件を含めた様々な不動産に積極的に投資することを目的とするREITであり、制度改正以降、新たに8本の設立が認められ、1本が新規上場した。不動産市場に個人投資家を含む様々な資金を呼び込み、市場活性化をはかるため、韓国REIT市場も遅ればせながら動き出した。




大竹 喜久
2011年9月15日 不動産経済ファンドレビュー グローバルレポート

 

 

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