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不動産経済ファンドレビュー グローバルレポート
タイの証券取引市場改革におけるインフラファンドとプロパティファンド(T-REIT)


 2012年1月、タイ証券取引所(SET)は、今後の金融取引の拡大に適合するため、(1)大企業の新規上場促進、(2)新商品の開発による投資家層拡大、(3)新取引システムの立ち上げなど、アジア地域における競争力を向上させるための具体的なプランを公式に表明した。この中で、不動産に関連する分野として上場インフラファンドとプロパティファンド(T-REIT)についても重要なテーマとして扱われている。


 まず、インフラファンドについてであるが、新興国であるタイにおいては今後もインフラ需要が旺盛であり、タイ政府は財政支出削減をはかる目的で公共事業へPPP(民間資金の活用) の導入を奨励してきた。これまでは私募の形で資金導入が図られてきたが、SETでは今般、「インフラストラクチュア・ファンド」とし、次の規定を設けて上場を促進することを始めた。

(1) 最低10億タイバーツ(約28億円)規模のクローズドエンドファンド。
(2) 総資産の75%は上場から6カ月以内にインフラ事業に投資されること。
(3) 鉄道、有料道路、電力、水供給、空港、海港、通信施設、代替エネルギーに投資されること。
その他LTV制限(2/3以下)や配当制限(90%以上)などの財務制限条項が定められ、これをクリアすると10%の配当課税が免除となるなどの税優遇を得られる。2011年9月に既に立法措置を完了しており、オーストラリアなど先行する上場インフラファンド市場をベンチマークとし新規上場を募っているところである。


 一方T-REITであるが、そもそもタイの上場不動産投資信託はプロパティファンド(PFPO:Property Fund for Public Offering)と呼ばれ、2002年からSETに上場が始まった。イギリスの小売大手テスコがタイで展開する店舗に投資する「テスコ・ロータス・リテール・グロース・フリーホールド・アンド・リースホールド・プロパティファンド(TLGF)」が今年3月19日に上場して、計37銘柄となった。このTLGFは公開価格ベースで総額184億バーツ(約515億円)の規模で、過去最大のIPOとなった。今年に入って早くも2本目の上場であり、昨年から引き続きIPOが活性化している。


 しかしながら、そのプロパティファンドの市場規模は必ずしも大きくなく、2011年末の時価総額は約2,500億円程度に留まり、タイの上場不動産セクターの5%程度の規模に過ぎない。この時点での銘柄数は35本で1本当たり時価総額は約70億円と小さく、資産が1物件というファンドすら存在している。市場が期待されたほど大きくなっていない理由は、(1)借り入れ制限が厳しい(LTV10%以下)、(2)個人投資家に対しては10%の配当課税がある、(3)海外不動産への投資は認められないなどの要件があることである。


 SETでは、プロパティファンド市場の活性化を図るため、この要件を緩和して他国のREITに近い仕組みに変えるための検討を昨年から開始した。これにより海外の投資家を呼び込んでT-REITを拡大し、国内の不動産投資市場を活性化することが目的である。


 アジアのデトロイトといわれるタイであるが、昨年の洪水によりBCPの観点から工場を他の新興国に分散させる動きが出ている。インフラファンド市場の創設とプロパティファンド市場の活性化によって、基盤整備を充実し不動産市場を活性化させることが企業誘致という観点からも重要なファクターであるだろう。




大竹 喜久
2012年4月15日 不動産経済ファンドレビュー グローバルレポート

 
 

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