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コラム

 

 
変貌し続ける港湾都市 台湾・高雄

 

 

 港を背負った工業都市のイメージが強い台湾・高雄の街。国内で初めて埋立が行われた時代から現在に至る街並みが、そこにあった。
 長らく人口第2位だったこの都市は、昨年台中市に抜かれ第3位(約277万人)となった。順位ダウンで高雄市のパワーが衰退しているように誤解しそうだが、新たなコンテンツを街に加味し、活気ある変貌を続けている。開港110年を迎えた今年、高雄を往訪する機会があったので、旧き良き時代と芸術性を結びつけた同市の「新しい魅力」を紹介したい。

 

 

LRT車両はスペインのメーカーが製造。
線路にはすべて芝が敷かれている

  高雄では約100年前から築港がはじまり、入港する外国船の規模や輸送量の増加に合わせて、港湾設備の強化や陸上の輸送手段として鉄道の敷設が行なわれた。日本統治下では横浜との定期航路が開かれ、米や砂糖を輸出するなど、海外輸送の物流拠点として栄えた。港にほど近い埋立地「哈瑪星(ハマセン)」地区は高雄の政治と商業の中心地であるとともに、台湾の経済発展に欠かせないエリアとなった。また、この地区は先進的な都市計画のもと、台湾で初めて環境を意識した近代的な区画整理が行われた街でもある。
  高雄市内には、既に2つの鉄道路線とMRT(地下鉄)があったが、昨年LRT(高雄環状ライトレール)が、ハマセン地区を含むウォーターフロントに開通した。市内には220万台のオートバイがあると言われており、LRTはその代替の低炭素な交通として、環境対策に一役買っている。
  そして現在、ハマセン地区では文化遺産の保存や復元、観光資源の整備の観点から「魅力ある街づくり」が進められている。

駁二芸術特区(ガクニゲイジュツトック)大義倉庫群。
本物とアートの樹木が寄り添う姿は微笑ましい

  そのひとつが、高雄市文化局が港湾倉庫街をアート地区として再生した「駁二芸術特区(バクニゲイジュツトック)」だ。昔の倉庫街をフルリノベーションし、美術展や国際フォーラムの会場として活用するほか、洒落たカフェや書店、雑貨などの店舗としても利用されている。日本でも人気のパイナップルケーキ専門店「サニーヒルズ(微熱山丘)」の斬新なデザインによる店舗もある(東京・青山には隈研吾氏デザインの店舗が営業中)。さらに、街なかの各所にアート作品を配置し、建物外観にもアートを施すなど、散策するだけで街の雰囲気を存分に楽しめる。台湾国内のみならず海外から多くの観光客が訪れる、高雄の人気スポットへと生まれ変わった。
  また、隣接には鉄道車両基地の産業遺産を保存する公園がある。鉄道開通当時からの駅舎や線路、多くの車両等が残され、かつての街の活気を彷彿させるこの場所は、現代的なオブジェアートとともにファミリー憩いの空間に再生された。

 

 

  高雄の港の眺めは、横浜や神戸とも重なった。時代の歴史を積み重ねてきた港湾都市には、芸術をはじめ新しいものを取り入れ変化していこうとするエネルギーがあるように感じる。

 



  鈴木 加代子
2018年9月27日 街のちから(三友新聞)




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