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コラム

 

 
南魚沼市CCRCによる地域再生

 

 

 新潟県南魚沼市では現在、首都圏在住のアクティブシニア層の移住拡大を目指しCCRC構想を進めている。CCRCとは、1970年代に米国で生まれたまちづくりモデルで「リタイアした高齢者が、元気な時から病気になった後まで継続的なケアを受けられ、ずっと住み続けられるコミュニティ」を意味する。

 国は地域再生に向けて「日本版CCRC」の街づくりを推進しており、単なる地方移住に止まらない地域資源を活かした特徴ある先進事例として、南魚沼市の取組みが注目されている。

 

 

 南魚沼市は、スキー場にコシヒカリ、地酒「八海山」などで知られ、首都圏との交通アクセス(上越新幹線で約1時間半、関越自動車道で約2時間)に恵まれた人口6万人弱の街である。基幹病院や教育機関など様々な施設は、半径2km圏内に集約されている。市の担当者から南魚沼版CCRC構想の説明を聞いたところ、大きく3つの特徴があった。

① 国際色豊かな地元教育機関との連携
  市内には、すべての授業が英語で行われ外国人留学生が85%を占める大学院大学「国際大学」がある。国際社会で活躍する卒業生を多く輩出するとともに、様々なイベントやホームステイ受入れを通じて、地域コミュニティと留学生(その家族)との国際交流が深められてきた。
  多彩なビジネス経験や人的ネットワークを持つ移住者が、南魚沼市で新たなビジネスに挑戦できるよう、市は庁舎の一部を改修しシェアオフィス「グローバルITパーク」を設置した(現在インドなどから8企業が入居)。国際大学のビジネススクール卒業生や在学生との協働を呼び込む国際ビジネス環境を整備するとともに、大学・地元金融機関・商工会による市内での創業・起業支援プログラムにも力を入れている。

高度医療を核とした新潟大学地域医療教育センター
「魚沼基幹病院」の外観

② ICTを活用したメディカルタウン構想
 2015年に新潟大学地域医療教育センター魚沼基幹病院が開院した。最新の医療設備と救命救急センターが設置され、約70人の高度医療専門医が常駐する。
  この開院と同時に、かかりつけ医や地域診療所と患者の診療情報を共有化するICTシステムの運営も開始された。他の自治体では、エリア内に高度医療を提供できる病院がなく、万が一の場合の不安が残る中、同市では移住者が最後まで住み続けられる環境が整備されている。

東京で開催された「南魚沼市田舎ライフ塾」に
集まった参加者たち

③ 活発な移住プロモーションの継続
 現地訪問やお試し居住を盛り込んだ、 移住者を募るための研修プログラム「南魚沼市田舎ライフ塾」を開催している。毎回30名ほどの参加者があるが、予想と異なり20〜40歳の都市生活者が多いという。地域の魅力紹介だけでなく、地元企業・団体や移住経験者との交流会など、移住者目線での多面的なエリア情報の発信に力を入れる。
 市の担当は「南魚沼版CCRCのRは、リタイアメントではなくリクリエイティブのRだ」と、もう一度新しい人生をここで生きてもらいたいとの願いを込める。

 

 

 見事な田園風景が広がる南魚沼市は、山々に囲まれた典型的な中山間地だ。その「山」で育った木材という地域資源をエネルギー自給に活用することで、地域の中でお金が循環し豊かになるだろう。
 国で進める地方創生では観光施策ばかりが注目されるが、移住シニア層はもとより若い世代のUターン・Iターンを狙うためにも、農業や林業などの自然資源ビジネスの創出がより重要でなないだろうか。

 



  佐藤 宏毅
2019年1月10日 街のちから(三友新聞)





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