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コラム

 

 
世界レベルの医療産業都市・神戸

 

 

 神戸市は1995年の阪神・淡路大震災からの復興事業として「神戸医療産業都市構想」を推進してきた。世界的にもヘルスケア分野は21世紀の成長産業と言われるが、神戸市の構想は産官学が集積し、市民も参加した大規模かつ最先端の街づくりとして現在進行形である。

 

 

スパコン「京」を活用した
個人の健康指標と計測開発サイクル
(理研HPより)

 人工島ポートアイランドには構想実現のためのコアである理化学研究所の拠点を始め、先端医療の研究開発センターや、研究支援ラボ、ビジネス支援センターまでが多数整備されており、他にも実際に先端的臨床をおこなう高度医療施設や350社を超えるヘルスケア関連企業が集積し、日本最大のバイオメディカル・クラスターとなっている。

 クラスターのコアとなる理化学研究所の施設としては、スーパーコンピュータ“京”を運用する計算科学研究センター、最新の生命科学を研究する生命機能科学研究センターがあり、世界レベルの研究がなされているのは神戸市民ならずとも誇りとするところであるが、本稿でご紹介したいのは、個人レベルで最も関心の高い“個人の健康の最大化”を目指し集学的な最先端研究、事業化支援、人材育成、社会システム化を推進する“健康生き活き羅針盤リサーチコンプレックス推進プログラム”である。

 このプログラムは、我々が毎年受ける法定健康診断・人間ドックのように「病気やその兆候」の検出と対応が主目的ではなく、健康と疾病の連続性に着目して①最新のライフサイエンス技術による「健康度可視化に向けた健康関数TM」の開発、②個人を対象にした健康増進メニュー提案と効果検証、 ③新しい健康ライフスタイルの社会システム化が目的である。体液、自律神経など健康関連の計測項目は市民一人当たり100を超え、すでに1,000人を超えるデータベースとスパコン「京」による「健康度」の解析実績を持つが、今後はさらに10,000人の市民が参加し、データベースの拡張によるシステムの精緻化と社会実装を目指しているという。

スパコン「京」のある
理化学研究所計算科学研究センター
(理研HPより)

 プログラムには、兵庫県、神戸市は勿論だが、24の大学や研究機関、103の企業などが参加しており、研究とその成果による産業創出、市民の健康増進まで目指したエコシステムが構築されている。例えば阪急阪神ホールディングスはヘルスケア関連の企業ではないが、「健康寿命の延びる沿線」の街づくり、活性化を目指して、健康イベントの拠点、健康アプリ・健康ポイント提供など様々な支援・協力を行っている。

 

 

 ヘルスケア産業都市としては、アメリカのボストン・ライフサイエンス・クラスター、アラブ首長国連邦のドバイ・ヘルスケア・シティ、スペインのデジタル・ヘルス・バルセロナなどが有名だが、ヘルスケア商品の開発に留まらず、市民の“個人の健康の最大化”まで目指した神戸の街づくりは興味深く、今後も注目していきたい。



  佐藤 教夫
2019年7月11日 街のちから(三友新聞)






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