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結婚しよう。日本初の超高層ビルの屋上で。
もうすぐ50年になる。
日本初の超高層ビル、霞が関ビルが誕生してから。
その建設中に、ひと組の男女が屋上で結婚式を
あげたことをどれだけのひとが覚えているだろうか。

式をあげる経済的余裕のなかった若者は
それでも誰からも見通せる場所で
正々堂々とした式をあげたいと思った。
そして建設中の未来の建物に目をつけた。
その屋上で式をあげさせてもらえないか。
若者は手紙を書いた。
その手紙は社長の心を動かした。
誓いの言葉をよみあげるシンプルな式だったけれど
それはこの超高層ビルの忘れられない歴史になった。
数年後、ふたりのあいだには双子の男の子が生まれた。
社長がその子たちの名付け親になった。

そのせいだろうか。
大きくて強そうなこのビルは
どこか優しい空気に包まれている。

もうすぐ50年になる。
今の私たちにこういう物語をつくる余裕があるだろうか。
50年前の物語は、私たちに
大切な何かを教えてくれている。
そんな気がする。
いい街には、物語がある。
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