街の中心から離れた線路沿いに、その場所はあった。
広島東洋カープの本拠地、
マツダスタジアムの周辺はひとつの街になっていた。
球場の周辺には
商業施設やマンションだけでなく
結婚式場まであった。
ボールパークタウンというらしい。
ベースボールの国、アメリカのボールパークを
11カ所、徹底的に研究した。
どこも郊外にあった。
そして野球のない日はたいていガランとしていた。
野球のある日はもちろん、そうでない日にも人が集まる場所にしたい。
という広島市からの課題に対して、
住む人、買い物する人で賑わうようにしよう。
そして歴史に愛されたあの球場をこえて
みんなに愛される場所にしよう。
そう決意した。
ランニングしながら野球を見られたらどうだろう。
この街で結婚式を挙げられたら、
そしてこの街で暮らすことができたら、
きっとファンはうれしいはずだ。
このエリアに入るだけで鳥肌がたつようにできないか。
「球場のある街」というコンセプトは
ここにしかないアイデアを磨きあげるヒントをくれた。
アメリカにあるものを移すだけではダメだ。
この土地に必要な形にしなくては
未来に愛されるものにはならない。
それが、ボールパークタウンという新しい構想を生んだ。
都市と広場をコネクトした街づくりだ。
歴史をたくさん刻んで愛が蓄積されて
この街は新しい聖地になっていくのだ。
2017年9月掲載 雑誌広告