生物多様性

取り組み方針

地球規模で生物多様性への影響への配慮は経営の重要課題の一つであると考え、当社グループ全体で生物多様性に配慮した事業活動を行うとともに、サプライチェーンにおける生物多様性への影響にも配慮します。

当社グループの事業活動においては、グループ環境方針に基づき、都市における貴重な自然環境の保全や、その土地の記憶や歴史を継承する樹木・樹林の保存に努めるとともに、新たな緑の創出に努めます。また、「経年優化®」の思想のもと、周辺環境との調和や生態系保全に配慮した緑地や生物生息環境の創出・復元に努めます。

さらにこうした取り組みについて、今後は、自然資本に関するリスクと機会の開示フレームワークであるTNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)フレームワークを参考にしながら、積極的な情報開示に努めていきます。

三井不動産グループ生物多様性方針
(2023年3月31日制定)

三井不動産グループの事業である街づくりにおいて生態系は守るべき存在であるというだけでなく、多様な生き物が生息する自然との共生は、街に潤いと憩いの場を提供するなど、大きな付加価値を与えてくれます。一方で、当社グループによる不動産の開発や、サプライチェーンにおける建築資材の原材料となる天然資源の採取などにおいては、生態系を改変し生物多様性に影響を与えています。こうしたことから、生物多様性への影響への配慮は経営の重要課題の一つであると考えており、グループ環境方針の中で生物多様性の保全を含めた環境への取り組みを幅広く統合的に推進していくことを掲げています。

こうした認識を踏まえ、「三井不動産グループ生物多様性方針」を定めます。

1. コミットメント
  • 当社グループの事業およびサプライチェーンからの生物多様性への負の影響を回避するよう努めるとともに、回避できない影響をできるだけ低減させるよう取り組みます。
  • 生物多様性への正の影響を増やすため、生物多様性や自然の復元・再生などの取り組みを行い、事業活動全体で新たに生じる正味の負の影響をなくすこと(ノーネットロス)を目指します。
  • 生物多様性の観点で重要な地域に近接する場所で事業を行う場合は、まず負の影響の回避を図り、回避できなかった影響を低減させ、それでも残る影響に対して生物多様性や自然の復元・再生の取り組みを行うという優先順位(mitigation hierarchy)を適用します。
  • 国連生物多様性条約の目的実現に向けた世界目標である「昆明・モントリオール生物多様性枠組」で定められた「自然と共生する社会」というビジョンや、「ネイチャーポジティブ」の考え方を支持します。
2. リスク・機会の評価とモニタリング
  • 当社グループの事業およびサプライチェーンからの生物多様性を含めた自然への影響と依存関係や、それらがもたらすリスク・機会について、評価を行い、適切な対応を行います。
  • また、それらを管理するため、必要に応じて指標や目標を定め、追跡調査(モニタリング)を行います。
3. ステークホルダーとのエンゲージメントおよび情報開示
  • 必要に応じて、サプライヤーや専門家・NGOなどの外部ステークホルダーと協働します。
  • 本方針に基づく取り組みについて、積極的な情報開示を行います。
4. 教育・研修
  • 本方針を効果的に実行するため、役員・従業員が当社グループの事業と生物多様性や自然との関係について理解を深められるよう、適切な教育・研修を行っていきます。

生物多様性のリスク評価の実施状況

当社グループの事業活動は多岐に渡るため、様々な形で生態系と関係しており、生物多様性への影響やそれに伴うリスクを評価することが重要であると認識しています。

これまで当社グループでは、新規開発事業を行うに当たって、開発敷地内に保存・保全すべき樹木や樹林等の自然環境の有無を確認し、必要に応じて樹木や樹林等の保存・移植、保全等を行っています。また、自然地の多い地域の開発については、環境影響評価や自然保護等に係る法令・条例に基づき、動植物や生態系への環境影響評価を実施しています。

また2022年度は、当社グループが直接運営している林業(グループ保有林)における生態系・生物多様性への影響を現地調査を踏まえて特定し、今後に向けた「生物多様性配慮基本計画」を策定するとともに、調査で得た情報に基づきリスクと機会の特定を試行しました。

今後は、当社グループの事業活動全体や、資材調達先(サプライチェーン)での資源採取活動も含めて、生物多様性関連のリスクと機会の評価に取り組んでいきます。

主な取り組み

経団連自然保護協議会への加盟

当社は、経団連自然保護協議会に加盟しています。本協議会は、基金を通じた発展途上国や日本国内の自然保護活動への支援、企業における自然保護活動の促進など、様々な活動を展開しています。

「30by30アライアンス」への参加

2022年4月当社グループは、環境省が事務局を務める「30by30アライアンス」に参加し、2030年までに生物多様性の損失を食い止め回復させる(ネイチャーポジティブ)というゴールに向け、自国の陸域・海域の少なくとも30%を保全・保護することを目指しています。

また、北海道にある当社グループ保有林において、"終わらない森"創りのサイクル(植える・育てる・使う)を通じて健全な森を守り、森の持続可能な利用を実践していきます。

今後は、OECM(Other Effective area-based Conservation Measures)認定取得も視野に入れ、2023年3月に当社グループ保有林における生物多様性の行動計画を策定しました。

Keidanren Initiative for Biodiversity

グループ保有林での取り組み

当社グループは北海道に約5,000haの森林を保有し、毎年一定量の木材を伐採してグループの不動産事業における建築資材の一部などに活用しています。保有林のなかで約4割を占める天然林は基本的に手を入れておらず、事業による生態系への影響は少ないと考えていますが、全体の約6割を占める人工林では天然林に比べて樹種や林齢が偏るなどの変化が見られ、生態系・生物多様性へ影響をおよぼしていると認識しています。

以上を踏まえ、2023年3月に「グループ保有林における生物多様性配慮基本計画」を策定するとともに、グループ保有林と生物多様性との関わりについてTNFDの「LEAPアプローチ」を参考に開示しました。

三井不動産グループの保有林の概要
立地 北海道の31自治体に70の団地が立地しています。標高500m以下が多く元々は夏緑広葉樹林および針広混交林が成立する場所です。
面積 合計面積4,942.47ha。人工林が63%、天然林が36%を占めます。
樹齢 天然林では樹齢70年以上の樹木が最も多い一方で、人工林の多くは樹齢40~55年のトドマツに偏っています。
利用状況 毎年約100~200haで木材を伐採(間伐等を含む)し、グループの不動産事業における建築資材やオフィス家具などに活用しています。
外部認証 全ての保有林で持続可能な森林経営に関する認証制度である「SGEC森林管理認証」を取得しています。SGECは国際森林認証制度PEFCに加盟し相互承認されています。
また二酸化炭素吸収量、生物多様性への取り組みについてフォレストック認証を取得しています。

三井不動産グループ
保有林生物多様性配慮基本計画

「本計画の位置づけ」

本基本計画は保有林における生物多様性の課題を整理し、目指すべき目標の設定及び森林管理で対応すべきポイントを示すことを目的とします。

「基本方針」

森林生態系の多様な生態系サービスを統合的に発揮させるため、以下の視点を重視した持続可能な森林経営を行います。

  • 長期的視点:現在の森林管理が、50年後、100年後の環境基盤をつくることを考慮し、長期的視点に立った森づくりを行います。
  • 統合的視点:木材生産のみならず、炭素固定や土壌保全といった多様な生態系サービスを発揮するためにも森林管理が重要であることを踏まえて森づくりを進めます。
  • 順応的管理:自然は複雑系であるため、生物多様性に配慮した森林管理に関して予測通りの結果が得られない場合であっても、目標とする森の姿に近づけるよう管理方法を調整するなど、順応的な管理を行います。
  • サイエンスベース:順応的管理を進めるにあたり、モニタリングなどを実施して定期的な状態把握に努め、そのデータに基づいた科学的評価を事業活動に反映します。
  • コミュニティベース:保有林の活動は周辺地域の自然や人々の暮らしに関係が深く、また生物多様性は地域固有の課題が多いことを踏まえ、地域のステークホルダーの声を聞きながら事業活動を行います。
「ビジョン」

木材生産の場として使いながら、自然を守り育み、ネイチャーポジティブにも貢献します。

「ビジョン実現に向けた取り組み」

ビジョン実現に向け、①自然へのネガティブな影響を減らす、②自然にポジティブな影響を増やす、の2本柱で、それぞれについての施業における配慮すべきポイントを定め、取り組みます。

①自然へのネガティブな影響を減らす(回避、低減)

  • 天然林、渓畔林の伐採回避
  • 外来種の植栽回避
  • 景観均質化の低減(林齢平準化)
  • 伐採影響の低減(小規模化)
  • 森林構造の単純化抑制(天然木、枯れ木や樹洞木の残存)
  • 森林施業による地表撹乱の低減
  • 管理不足による荒廃の抑制
  • 化学物質汚染の低減

②自然にポジティブな影響を増やす(再生、復元)

  • 天然林の再生
  • 動植物の生息環境整備
  • 絶滅危惧種の保全
「目指す森の姿」
  • 小班単位の人工林の樹種や構造は単純であっても、広域スケールでは伐採直後から成熟林まで多様な齢級(多様な環境)があり、天然林も残る森を目指します。
  • 大規模皆伐での残存エリアや枯死木・樹洞木を残すなど、生物多様性への悪影響を低減した施業が行われている森を目指します。
「推進体制」

三井不動産株式会社のサステナビリティ担当部署が全体の事務統括を行います。

グループ保有林の各団地における具体的取組みは、グループ保有林を管理するグループ会社(港エステート株式会社)より、地元の森林組合に業務委託を行い、実施します。

各団地においては、森の特徴(タイプ)に応じて課題の重みづけを行い、生物多様性に配慮するための行動計画を策定し実施します。

なお、生物多様性への配慮の必要性が特に高い団地を「重点エリア」として設定します。

各団地における生物多様性への配慮の取組状況に関して、専門家・学識経験者などによるモニタリング(監査)を行います。

なお、監査の時期や方法などの詳細は別途定めます。

LEAPアプローチ
1. Locate:グループ保有林の地理的位置の重要性

グループ保有林が立地する場所は、下記の理由により生物多様性に関して重要性が高く、林業の施業に際して生物の生息環境に悪影響を及ぼさないよう注意が必要であると認識しています。全70団地のうち、①天然林の面積比、②人工林の齢級の偏り、③保護区もしくは保安林との位置関係、④林業経営への貢献度、の観点から生物多様性への配慮の必要性が高いと思われる団地を「重点団地」として選定しました。

①自然保護区との位置関係

保有林全70団地の内、敷地内に自然保護区がある団地が1団地、団地から2キロ圏内に自然保護区がある団地が14団地あります。それらの団地では近隣の生態系への影響に特に注意が必要です。

②当該自治体における絶滅危惧種の存在

北海道のレッドリスト等の文献情報によれば、保有林の所在する31自治体全体でみると、森林や施業と関わりがある絶滅危惧種として鳥類13種、両生類ハチュウ類1種、植物44種が確認されています。

2. Evaluate:生態系・生物多様性への影響と依存関係

林業の施業と、それが生態系・生物多様性におよぼす影響、および依存関係は、図表のとおりとなっています。林業による生態系への影響については、マイナスの影響を減らし、プラスの影響を増やすための、施業における配慮が必要です。林業の生態系への依存関係としては、例えば安定的な木材生産や、社会的評価向上への寄与、といった面(生態系サービス)があげられます。

2022年7月に、留萌市ユードロマップ、大和田12線、小平町岐富の3つの団地をモデルとして訪問調査を実施しました。訪問先では、生物相概況調査(森林施業された結果、どのような生物相が見られるかを確認)、ステークホルダー調査(現地の行政及び森の活用団体へのヒアリング)、インパクト調査(生物多様性に影響する要因としての森林施業内容についてのヒアリング)を行いました。

林業(施業)による生態系への影響
林業(施業)による生態系への影響
依存関係 参考データ(2021年度)
供給サービス ・木材生産 (建築資材、家具等)
・地域住民による山菜・キノコ採り
グループ保有林木材生産量
13,985m3
調整サービス ・生物多様性による外来種の侵入の抑止、病虫害の軽減
・森の手入れによる土砂流出防止
・水源涵養機能
・CO2吸収、地球温暖化防止
グループ保有林CO2吸収量
21,315t-CO2/年
注)
・地域住民による山菜・キノコ採りは、レクリエーション(文化的サービス)の側面もあります。
・土砂流出防止は、海に土砂が流出することによる漁業への悪影響の回避につながります。
・グループ保有林のCO2吸収量はフォレストック認証に基づくものです。
3. Assess:生物多様性関連のリスクと機会

現地調査で分かった保有林が生態系に与える影響や依存関係、生物多様性に関する国際的な動向などを踏まえ、生物多様性関連リスク・機会の特定を試行的に行いました。

生物多様性関連のリスク・機会 左記による経済的影響
リスク 畦畔周辺の伐採などにより森林内で土砂流出が生じると、樹木を含む生態系が損なわれる可能性 木材生産量が減少する可能性
人工林で、施業による樹種・階層の単純化や林内環境の攪乱が進むと、生物多様性が損なわれる可能性 生物多様性のバランスが崩れることで一部の害獣・病害虫などが増える場合は木材生産量の減少につながる可能性
機会 ライフサイクルで環境負荷の少ないとされる木造建築の市場拡大 消費者ニーズの変化への対応力・競争力の向上、収益増加
OECMなどの認定を受けた自然保護エリアに対する財政面・金融面などのインセンティブ導入 操業コストの低減につながる可能性
注)
表に記載しているリスク・機会は社有林において想定される内容の例を挙げたものです。
今後はリスク・機会に関する詳細な評価(定量的な分析など)を行います。
4. Prepare:生物多様性配慮の取組状況

2022年2月、管理委託先の全25の森林組合に、生物多様性に配慮した施業状況のアンケートを実施しました。生物多様性配慮基本計画に挙げる「配慮すべきポイント」への取組状況を見ると、各林班などの小面積の範囲内で実施可能な取組みは比較的多くの組合が実施しています。

一方、広域的な取組みや、施業の効率性・安全性などとの兼ね合いが求められる取組を実施している組合が比較的少ないため「グループ保有林生物多様性配慮基本計画」の推進を通じて改善に取り組みます。

<動植物の生息環境整備>

伐採時に生じた枝や梢端などの枝条を、部分的に積み上げ残します。

動植物の生息環境整備
<景観均質化の低減(林齢平準化)>

隣接する伐区で伐採年をずらし、林齢が異なる森林がモザイク状に配置するようにしている。

景観均質化の低減(林齢平準化)

都市空間での緑の保全・創出

「東京ミッドタウン日比谷」(東京都千代田区)では、道路を挟んで隣接する日比谷公園の豊かな緑との調和に配慮し、在来種をベースとした公園と同種の樹木などを植栽に積極的に取り入れるとともに、「パークビューガーデン」(6階)、「スカイガーデン」(9階)などを設置し、約2,000m2(緑化率40%)の緑地を創出しています。

※緑化率:東京都条例の緑化計画における緑化面積の算出方法に基づき緑化面積を算出し、以下の式により緑化率を算出しています。
緑化率(%)=(屋上部緑化面積+地上部緑化面積)/(敷地面積-建築面積+屋上利用可能面積)×100
「東京ミッドタウン日比谷」の緑地配置図
「東京ミッドタウン日比谷」の緑地配置図
「パークビューガーデン」
「パークビューガーデン」
「スカイガーデン」
「スカイガーデン」

「Otemachi One Garden」では緑地空間6,000m2の大規模な緑地空間が、地表面の温度上昇を抑制しています。CO2固定量は年間11トンと試算しています。皇居の植生や地域の潜在植生に配慮しながら、シラカシやイロハモミジなどを用いた緑と水辺の空間を創出するなど生物多様性への配慮を行っています。大手町において整備される緑地を拠点に行われる「エコ体験ツアー」の環境教育イベント等を年間通して開催予定であり、大手町・丸の内・有楽町エリアにおける環境意識の向上に寄与します。

「Otemachi One Garden」は、三井物産と三井不動産が会員である「大手町・丸の内・有楽町地区 まちづくり協議会」にて策定された「大手町・丸の内・有楽町地区グリーンインフラ推進基本方針」の中で、グリーンインフラとして位置づけられています。

■大手町・丸の内・有楽町地区グリーンインフラ推進基本方針
https://www.tokyo-omy-council.jp/wp/wp-content/uploads/2022/05/omy-greeninfra.pdf

「Otemachi One Garden」コンセプト
多階層な森づくり

生物生息環境の保全・創出

「東京ミッドタウン」(東京都港区)は、六本木の旧防衛庁跡地を再開発した街で、旧防衛庁敷地内に残されていた約140本の樹木を保存・移植するとともに、隣接する港区立檜町公園と合わせて、開発面積の約40%(約4ha)が緑あふれるオープンスペースとなっており、緑化面積は旧防衛庁時代の約2.7倍となっています。「東京ミッドタウン」では、東京都の保護上重要な野生生物種を示したレッドリストに掲載されているオオタカ、ダイサギ、トビ、モズを含め、計6目18科25種の鳥類を確認しています。また、館内において調査で確認した野鳥を紹介するハンドブックの配布も行っています。

「東京ミッドタウン」の野鳥ハンドブック
「東京ミッドタウン」の野鳥ハンドブック
「東京ミッドタウン」の緑地(ミッドタウン・ガーデン)
「東京ミッドタウン」の緑地
(ミッドタウン・ガーデン)
ハクセキレイ(芝主)
ハクセキレイ(芝主)
コゲラ(樹林)
コゲラ(樹林)
ツバメ(空)
ツバメ(空)
カルガモ(水辺)
カルガモ(水辺)
「東京ミッドタウン」に生息する野鳥

生物生息環境の再生

当社グループが事業活動を行っている地域のうち、リゾートホテルの「はいむるぶし」(沖縄県八重山郡)は西表石垣国立公園の普通地域内に、「鳥羽国際ホテル」(三重県鳥羽市)は伊勢志摩国立公園の普通地域内に、「NEMU RESORT」と「AMANEMU」(ともに三重県志摩市)は伊勢志摩国立公園の普通地域および特別地域内に位置しています。これらリゾートホテル4施設が位置する国立公園内の地域においては、開発などにより喪失した生物生息環境の創出・復元に努めるとともに、事業活動による地域の生物生息環境への負荷を最小限にとどめます。また、これらの豊かな自然を活用し、人が自然と触れ合う場・機会の提供に努めます。

「NEMU RESORT」(三重県志摩市)は、英虞湾を望む伊勢志摩国立公園内に位置しています。英虞湾では干潟や藻場の多くが失われており、豊かな海の再生をめざして、産官学民の協働で干潟や藻場の再生が進められています。「NEMU RESORT」においても、2012年度から園内の約2haの沿岸部遊休地(耕作放棄地)を干潟に再生する事業を行っており、再生後にボラやクロダイ(チヌ)、ケフソイソガニなどの生物の生息を確認しています。

「AMANEMU」(三重県志摩市)においては、「REFOREST(過去に繰り返された開発や森林伐採により傷ついた大地に自然を取り戻す)」を開発コンセプトに、事前に敷地内の植生調査を実施し、その結果を基に、敷地内の既存の森の主要構成樹種等を選定し、芝生面などの人為的で樹木のない場所から優先的に植栽を行うなど、地域の自然環境と調和した森の再生を図っています。

「ハレクラニ沖縄」(沖縄県国頭郡)では、「サンゴの村宣言」を行い「SDGs未来都市」に選定されている沖縄県恩納村、恩納村漁業協同組合、琉球大学熱帯生物圏研究センターと協力し、「サンゴ育成プログラム~コーラル・ナーチャリング~」を実施しています。このプログラムはホテル周辺の海域において気候変動や食害などの理由によりサンゴが死滅してしまった場所にサンゴの植え付けを行うことにより、かつてのサンゴ礁の姿を取り戻すことを目的として行うもので、ご宿泊のお客さまにも参加いただけるアクティビティとして取り組んでいます。

自然とのふれあい活動の場・機会の提供

リゾートホテル「NEMU RESORT」(三重県志摩市)では、専属のインタープリター(自然案内人)やガイドによる「バードウォッチング散策」や「ネイチャーツアー里山」などの自然体験プログラムを提供しています。また、「はいむるぶし」(沖縄県八重山郡)では、「園内ナイトツアー」やダイビング、スノーケルなどの自然体験プログラムを提供しています。

水辺の再生

当社グループが重点開発エリアと位置付けている日本橋において、日本橋川沿いで今後、敷地面積約6.7ha、敷地延床面積約37万坪に及ぶ5つの再開発を予定しています。開発にあたっては、「豊かな水辺の再生」を重点構想の一つとしており、親水空間と歩行者ネットワークの実現とともに、生物多様性にも貢献していく予定です。

将来の日本橋のイメージ

生物多様性に関する認証制度

晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業(都内最大級の複合開発となるHARUMI FLAG)において、生物多様性関連の認証制度であるABINCをはじめ、環境に関する4つの認証を取得しています。
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2018/1129/download/sumami/20181129.pdf

【生物多様性に関する認証ABINCについて】

自然と人との共生を企業活動において促進することを目的に作られた認証制度で、一般社団法人「企業と生物多様性イニシアティブ」が作成したガイドラインなどを基準として、企業における生物多様性に配慮した緑地づくりや管理利用などの取り組みを、一般社団法人「いきもの共生事業推進協議会(ABINC)」が評価・認証します。
https://www3.abinc.or.jp/
https://jbib.org/