SUSTAINABILITY / ESG

Vol.2

2021.8,30

学びの場としての商業施設
~未来を考える体験~

三井不動産グループでは、ロゴマークの「&」に象徴される「共生・共存」「多様な価値観の連繋」「持続可能な社会の実現」の理念のもと、グループビジョンに「&EARTH」を掲げています。
街づくりを通して、人と地球がともに豊かになる社会に向けた取り組みをニュースレターとしてお届けしてまいります。
今回のテーマは「学びの場としての商業施設 ~未来を考える体験~」。
「三井アウトレットパーク 横浜ベイサイド」で行われている体験型環境教育プログラムをご紹介します。

パートナーと共に
地域を盛り上げ、環境を守る

三井アウトレットパーク 横浜ベイサイド

神奈川県横浜市金沢区の「三井アウトレットパーク 横浜ベイサイド」は、海辺の環境ならではの上質なライフスタイル提案を行う、アウトレット施設です。1998年に開業し、2020年6月には店舗数を従前の倍となる約170店舗(※2021年8月現在)に拡大してリニューアル開業し、多くのお客様にお越しいただいています。
当施設では、リニューアル開業にあたり地域パートナーとともに「Save the Ocean プロジェクト」を開始しました。

Save the Ocean プロジェクト

「Save the Ocean プロジェクト」とは、三井アウトレットパーク横浜ベイサイドの出店企業、地域関係者、隣接施設であるUNIQLO PARKなどのパートナーの協力のもと、横浜ベイサイドマリーナ地区を代表する施設として、地区の資産である“海”をはじめとする自然を守る環境保全の取り組みを通じ、地域の魅力向上・活性化を目指すプロジェクトです。
環境保全活動、啓蒙活動、パートナーの取り組みの情報発信の役割を担っています。

SDGsネイティブの子どもたちを中心に、
コミュニティの輪を広げ、実行につなげる啓蒙活動

横浜で人と海が共生する世界を達成するために、「地域の人が知識を持つこと」と「地域の人が海のことを考え続けること」が必要です。世界で起きているグローバルな環境課題の知識や、横浜のローカルな海洋環境の知識を獲得し、考え続ける風土をつくります。そして、子どもと大人が対話をしながら、未来の海についての具体的な実行につなげています。

生態系の面白さと研究の基礎を知る
SDGsネイティブに向けた体験型環境教育プログラム

「よこはまサンゴ礁ラボ2021」

「よこはまサンゴ礁ラボ」は、三井アウトレットパーク 横浜ベイサイドと東京大学発の環境ベンチャー企業「イノカ」が協同で主催する、体験型の環境教育プログラムです。プログラムでは「サンゴ礁水槽」を4ヶ月間見守り、育てることを通して、自然の複雑さや環境問題への理解を深め、より多くの子どもに自然の価値を伝え、海を守る仲間を増やすことを目的としています。
プログラムは4ヵ月間の長期間で行われ、子どもたちが仮説をたて自ら考えて発表を行います。海の生態系のおもしろさを知るだけではなく、研究の基礎を学ぶ機会となり、参加者の親御さまからは「子どもたちがより能動的になった」とのコメントも上がっています。
卒業生は、プログラム終了後も三井アウトレットパーク 横浜ベイサイドを舞台としたサステナブルな取り組みについて企画提案するプロジェクト「Save the Ocean Project ジュニア本部」に所属することで、海の環境について学び続ける場を得ることができます。技術を持つ企業や研究者と対話をしながら、子どもたちによる環境保全に向けた具体的なアクションにつながっています。

プログラム(全4回)

対象:小学3年生から6年生を推奨
会場:三井アウトレットパーク 横浜ベイサイド
次回は9月18日開催予定
※今年度の参加者はすでに募集を締め切っています。

親御さんの声

全く海の生物に興味がなかった子どもたちですが、テレビや水族館などで魚やサンゴについて興味をもち、見るようになりました。発表に向け不安も大きかったようですが、最終回を終え、達成感もあったようです。
娘は静かな性格で周りとのコミュニケーションをとることが得意ではないので、最初は心配していましたが、スタッフの皆さんのサポートによって無事発表することができました。娘はまた参加したいと帰り道に話していました。

参加者(お子さま)の声

自分が知らなかったことを知れて、生きものへの愛が深まった。
みんなの前で発表したのも達成感が大きかった。
これからもたくさん研究したいです!

PROJECT STORY
プロジェクトストーリー

商業施設は、
学びや地域とのつながりを生む場へ

三井アウトレットパーク 横 浜 ベイサイドで2020年にスタートした「よこはまサンゴ礁ラボ」。子ども向け体験型環境教育プログラムを商業施設に持ち込んだ、商業施設本部 安田、粟谷、小村、そしてイノカ 代表取締役CEO 高倉様にこの取り組みや狙いについてお話を伺います。

三井不動産 商業施設本部 安田:「よこはまサンゴ礁ラボ」は、部署内の新規事業の公募制度に、同僚の粟谷と2人で応募した案がもとになり実現したものです。三井不動産の商業施設では、ただ物を売る場ではなく、施設を訪れるさまざまな方が豊かな時を過ごせる場所を目指して取り組みを行ってきました。
これまでもよりよい商業施設づくりのために幅広い種類の店舗やイベントの誘致を行ってきましたが、基本的にどれだけ外部の魅力的なコンテンツを取り込めるかに主眼が置かれていました。しかし、これからの時代、どのような姿勢で、どのような運営を行っていくのか、より主体的に発信していく必要があると考え、商業施設におけるコンテンツを三井不動産が自らつくろうと考えたことが出発点となっています。

三井不動産 商業施設本部 粟谷:商業施設はご家族づれのお客さまが多いため、当初から教育に関する取り組みにしたいと考え、プランニングを始めました。リサーチを進める中でイノカさんと出会い、100年単位の未来を見据えた社会課題に向き合い、海洋の生態系を学ぶ機会をつくり出しているところに関心を持ちました。一方、イノカさんからも商業施設という幅広い人々が集まる場所でのプログラム実施に賛同いただき、三井アウトレットパーク 横浜ベイサイドでの「サンゴ礁ラボ」実施の話が進みました。子ども向けのコンテンツは、おうおうにしてお子さまが楽しむ傍らで、親御さんが写真を撮るだけになってしまうものになりがちです。
今回は子ども向けでありながらも、子どもと大人が共に学べるコンテンツづくりを目指しました。
結果的に、SDGsの教育(4.質の高い教育をみんなに)と海洋の環境問題(14.海の豊かさを守ろう)とを組み合わせたプログラムを作ることができ、三井アウトレットパーク 横浜ベイサイドで以前から取り組んできた「Save the Oceanプロジェクト」に沿ったユニークなプログラムになりました。

4ヶ月にわたるプログラムにした狙いを教えていただけますか。

イノカ 代表取締役CEO 高倉:数ヶ月にわたるプログラムだからこそ、子どもの能動的な行動を引き出せていると感じています。参加したお子さまの保護者の方からは、「環境問題についての学びを得ることができた」ということに加えて、「子どもが主体的に動くようになった」「積極的に発言するようになった」という感想もいただいています。あとは、例えばプログラミングを習っていたお子さまが海のゴミの問題をテーマにしたゲームを作ったり、お友だちに環境問題についてのアンケートを自発的にとってきたりといったアクションにつながったケースもあったようです。社会課題を「目の前の困っていること」として捉えた時の子どもの発する熱量は相当なもので、これを引き出せるのは課題解決型教育の持つ強みのひとつです。

粟谷:三井不動産としても、お子さまが大人と一緒に毎月必ず商業施設に来場するような継続的な仕掛けはこれまでほとんど出来ていなかったと感じています。1日に同じイベントを複数回やったほうが、運営上のオペレーションは簡単ですし、参加者数を増やすことができるのですが、単発で終わってしまうイベントはもったいないとかねて感じていました。

「サンゴ礁ラボ」は「Save the Oceanプロジェクト」の取り組みのひとつですね。

三井不動産 商業施設本部 小村:三井アウトレットパーク 横浜ベイサイドは、アジア最大級のマリーナ地区を代表するアウトレット施設です。マリーナに隣接した海沿いという立地から、「Save the Oceanプロジェクト」に長年取り組んできました。これは、海洋環境の「環境保全活動」と「未来を担う子どもたちへの啓蒙活動」の2つの活動を中心とした、地域住民、行政、出店者などエリアのステークホルダーが一体となって取り組む継続的なプロジェクトです。 プロジェクトの活動のひとつである「サンゴ礁ラボ」は開始から1年が経ち、地元のコミュニティとのコラボレーションや新たな取り組みが生まれてきています。一過性のプロジェクトで終わらないよう、イノカさん発案で昨年のプログラムに参加したお子さまたちを中心に「Save the Ocean Project ジュニア本部」という取り組みも2021年から発足しました。子どもたちが三井アウトレットパーク 横浜ベイサイドを舞台としたサステナブルな取り組みについて企画提案するプロジェクトで、子どもたちから近隣の企業に対して施設周辺の街づくりの企画を提案行うなど、子どもたちが発信者となるコミュニティとなることを期待しています。

高倉:プログラムに参加して学んで終わりではなく、その先も実践を続けていくことが重要です。起業家も大学生や高校生など増えてきていますが、もっと若いころから柔軟な発想で戦えるようにサポートをしたいと思っています。

今後の目標を聞かせてください。

高倉:イノカではほかに企業のオフィスなどでもサンゴ礁にまつわるプロジェクトを実施していますが、幅広い方が来館される商業施設でプログラムを実施することにより、より多くの方に知っていただけるといったメリットを感じています。この機会を十二分に活かして、環境教育を広めていきたいです。ポップミュージックならぬポップサイエンスのような領域を作ることで、科学の世界にライトに触れる機会を作るのが目標です。

安田:SNSなどを見ていると、お客様の商業施設への見方が変わってきている兆しを感じます。従来、商業施設はお買い物や食事が中心的な役割を果たしていました。そこは今も変わらない普遍的な価値ですが、時代の変遷とともに、それ以外の付加価値が求められています。SDGsへの意識も高まっている中、「サンゴ礁ラボ」のような収益に直結せずとも長期的に社会課題に向き合う取り組みを続けることが、お客様にも選ばれ、テナント企業にも出店したいと思っていただける商業施設づくりに繋がると信じています。本プロジェクトを発案した当初は、ここまでの広がりは想像していませんでしたが、社内外から関心を寄せていただくことが増えてきています。今後は「サンゴ礁ラボ」の経験を活かし、さらに場所や規模を広げて商業施設の付加価値を高める活動を続けていきたいと考えています。

小村:大型商業施設は、街に経済的な効果を生むことはもちろん、街のブランディングの要素にもなり得ます。買いものを楽しむ、食事を楽しむといったことだけでなく、そこに来ることで癒されたり心地よさを感じたり、「サンゴ礁ラボ」のような気付きや学び、さらには地域とのつながりを生むような施設でありたいと思っています。
街への感謝が土台にあるので、そうした気持ちを体現していきたい。「Save the Oceanプロジェクト」を通じて、さまざまなステークホルダーの声を聴いて協働していきたいと思っています。

街と人と一緒に成長していく、三井不動産の商業施設

三井不動産は、「Growing Together」のコンセプトのもと、地域に根ざし、お客さまとともに育んでいく商業施設の新しいカタチを実現すべく、商業施設事業を推進しています。ただ物を売る場所ではなく、豊かな時を過ごせる場所を提供するために。目指しているのは、常にお客さまの声に耳を傾け、何が求められているのかを敏感にとらえることで生まれる、新しい体験や発見に満ちあふれた空間の創出です。
ファッションをはじめ食やエンターテインメント施設などが集結した「三井ショッピングパーク ららぽーと」(国内16施設)や、明るく開放的な街並みの中でブランドアイテムのショッピングをリーズナブルに楽しめる「三井アウトレットパーク」(国内13施設)など、日本全国の地域・コミュニティに合わせ、さまざまなタイプの商業施設を展開しています。さらに、海外でもクアラルンプールおよび台湾諸都市においてアウトレット事業を、また、上海、クアラルンプール、台湾諸都市においてららぽーと事業を推進しています。

恩納村と連携しサンゴから環境を知る
ハレクラニ沖縄の「サンゴ育成プログラム」

三井不動産グループが運営する、沖縄本島は恩納村に位置する高級ビーチリゾート「ハレクラニ沖縄」では、サンゴ礁地帯をはじめとした海洋環境を守る海洋環境保全「サンゴ育成プログラム」を実施しています。
サンゴ礁は生物多様性の宝庫であり、サンゴ礁が海洋に占める面積は全体のわずか0.2%ですが、海洋生物の25%が棲息しています。しかし近年、世界的な気候変動、海洋プラスチック、陸域からの汚染などによる海洋環境の悪化により、サンゴ礁にも甚大な悪影響が生じ、その維持の危機に直面しています。
豊かな自然とサンゴ礁を目の前に臨む「ハレクラニ沖縄」だからこそ、サンゴの苗づくり体験を通じて、自然・海洋環境およびサンゴの保全への理解関心を高めるアクションを行っています。

レクチャー風景

三井不動産グループのSDGsへの貢献について

三井不動産グループは、「共生・共存」「多様な価値観の連繋」「持続可能な社会の実現」の理念のもと、人と地球がともに豊かになる社会を目指し、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)を意識した事業推進、すなわちESG経営を推進しております。さらに「重点的に取り組む6つの目標」に取り組むことで「Society 5.0」の実現や、「SDGs」の達成に大きく貢献できるものと考えています。

重点的に取り組む6つの目標

  1. 街づくりを通した超スマート社会の実現
  2. 多様な人材が活躍できる社会の実現
  3. 健やか・安全・安心なくらしの実現
  4. オープンイノベーションによる新産業の創造
  5. 環境負荷の低減とエネルギーの創出
  6. コンプライアンス・ガバナンスの継続的な向上

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