三井不動産グループでは、ロゴマークの「&」に象徴される「共生・共存」「多様な価値観の連繋」「持続可能な社会の実現」の理念のもと、グループビジョンに「&EARTH」を掲げています。街づくりを通して、人と地球がともに豊かになる社会に向けた取り組みをお届けしてまいります。
今回は、日々の暮らしの中でも無理なく楽しく続けられる脱炭素行動をサポートすべく展開している「くらしのサス活」に注目。三井不動産レジデンシャルが分譲する住宅の入居者向けにかねてから提供していた「くらしのサス活」アプリのサービス対象を2024年12月に大幅拡大し、活動の裾野を広げています。プロジェクトに携わる人々へのインタビューを通じて、三井不動産グループのカーボンニュートラルへの挑戦をご紹介します。
入居者の方々と共に進めるカーボンニュートラル
PROJECT STORY
~「楽しく、おしゃれに、かっこよく。」
くらしのサス活が広げる新しいライフスタイル ~
採れたて苺で「食のサーキュラー体験」
海洋ゴミから生まれた楽器のコンサート
段ボールでオリジナルグッズを作るワークショップ
サステナブルなフードも大集合!
サステナブルなパラアートを原則全てのマンション共用部に設置開始
三井不動産グループは、「&EARTH」のビジョンの下、GHG排出量を2030年度までに40%削減、2050年度までにネットゼロとする目標を掲げています。
グループの温室効果ガス排出量では、建物の工事や販売した不動産の使用等にともなう排出量であるスコープ3が88%を占めていますが、なかでも分譲・賃貸物件へのご入居時に排出する間接排出量が特に多いことがわかっています。そのため、ご入居後のCO2排出量削減を支援する取り組みが重要と考えています。
目標実現に向けた取り組みを加速させるためには、入居者の方々と共に活動を進めることが欠かせません。そこで現在「Reduction」「Renewable energy」「Relation」の3領域で、楽しみながら環境貢献に取り組んでいただけるようなサービスを提供しています。
建物などのハード面だけでなく、ソフト面である「くらし」におけるRelation施策において、「カーボンニュートラル」を実現するために仕組みやサービスを作りたいという思いで始めたのが、「くらしのサス活」です。
入居者の方々と共に、オシャレにかっこよくカーボンニュートラル実現することを推進する取り組みになっています。具体的な取り組みをいくつかご紹介していきます。
2024年から入居者を対象にサービスを提供している「くらしのサス活」アプリ。電力・ガスの使用量データを活用し、自宅でのCO2削減量をアプリで簡単に確認ができ、削減量に応じてポイントが付与される仕組みです。
貯まったポイントは、宿泊券やスポーツ観戦チケットなどの特典に交換・応募できます。日々のCO2排出量・削減量を、ポイントとともに振り返ることで、CO2削減行動を楽しみながら促進していくアプリです。
2024年12月からは過去に分譲した24万世帯のマンションへもサービスを拡大。登録を促すイベントも実施し、脱炭素社会の構築へ向けた取り組みを推進しています。
三井不動産レジデンシャルと「ECOMMIT」が連携した「くらしのサス活 Circular Action」は、循環型社会の実現を目指すプロジェクトです。
不要な衣類などの回収ステーションをマンション共用部に設置する実証実験を2023年1月から豊洲エリアのマンション5棟4,000戸を対象に実施。同年5月からは常設となり、いつでも気軽に資源循環に参加できるようになりました。
1棟・月あたり平均250kgの不要品を回収し再資源化したことで、焼却処分したときに比べ78%のCO2排出量を削減することができました。また、日本初の試みとして、首都圏最大級の大規模再開発エリア「幕張ベイパーク」では、不要品回収による収益を、エリアマネジメント団体「B-Pam」の運営資金に充当することで街づくりのために使われます。
現在、首都圏分譲物件を中心に、本取り組みを順次拡大しております。
三井不動産レジデンシャルやセブン‐イレブン・ジャパン、ENEOSなど7社が連携し、千葉県内の廃食用油をバイオ燃料として活用するサプライチェーン構築事業を進めています。
家庭から出る廃食用油を、県内のスーパー、コンビニ、大規模分譲マンションを拠点に回収し、バイオディーゼル燃料の製造を行う実証実験を開始。バイオディーゼル燃料は従来の化石燃料と比較して、大幅なCO2排出量削減が可能になります。
将来的には、収集した廃食用油を原料としたSAF(Sustainable Aviation Fuel=持続可能な航空燃料)の製造を目標にしています。千葉県内にある成田国際空港へとSAFを供給し、航空業界における脱炭素化へ貢献することを目指していきます。
三井不動産レジデンシャルの「Life‐styling×経年優化推進部 カーボンニュートラル推進室」を中心に、住まいを通じたカーボンニュートラルへの取り組みを進めています。
今回は、「くらしのサス活」の活動を牽引する宍戸優太と尾本萠の二人に、プロジェクトへの思いや日々の活動、これからの展望について聞きました。
宍戸:私は2009年に入社し、営業やマンション開発、企画経理などさまざまな部署を経験しました。カーボンニュートラルへの取り組みは企画経理時代から始まりましたが、全社的にもこれは一部署だけで進められる課題ではないと感じ初めたことがきっかけで、専任グループが立ち上がり、その推進役を担うことになりました。現在は「くらしのサス活」を中心に、日々の暮らしの中でカーボンニュートラルを実践できる仕組みづくりを進めています。
尾本:私は2017年に入社後、営業やCS戦略推進部でお客様の満足度向上に取り組んできました。産休・育休を経て復帰後、カーボンニュートラル推進室に配属となり、現在は主に「くらしのサス活」の運用面を担当しています。無理なく継続できる楽しさを大切に、アプリやイベントなど、入居者の方々が自然と参加したくなるプロジェクトの実現を目指しています。
宍戸:三井不動産グループは「2030年までにCO2を40%削減」という目標を掲げており、住宅セクションを担う我々としても、供給する物件自体のCO2削減がまず大きな課題でした。
そこで、まずは省エネ性能が高いZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)化や木質化、省CO2コンクリート導入、電気の再エネ化など、住宅のハード面からCO2削減に取り組むこと軸に計画をたてました。
ただ、「三井不動産らしさをもっと追求したい」という思いから、我々が掲げる「すまいとくらしの未来へ」というコーポレートステートメントを見つめなおし、物件をただ開発し、販売するだけではなく、その後のくらしにも寄り添っていくことを大切したい。そのため、入居者の方々のためにサステナブルなくらしを提案したり、応援したりする仕組み・サービスを創りたいと考えました。
とはいえ、入居者の方々のライフスタイルを変えていくのはとても難しいことです。そこで、カーボンニュートラルを楽しんで実践できる仕組みづくりを目指し、『くらしのサス活』が誕生しました。
宍戸:ローンチに先駆けて、まずはキャンペーンから取り組みました。省エネ行動をした写真をアップロードすると、ハレクラニ沖縄に宿泊できたり、FC東京の試合観戦などの特典に応募できるといった内容です。
尾本:くらしのサス活キャンペーンは、2022冬から計4回実施し、回を重ねるごとに多くのご応募をいただくようになりました。電気の需要量が高まる時期に合わせたキャンペーンを実施することで、一定の世の中のCO2削減に貢献できたと考えております。
アプリが開始され、アプリユーザーの皆さんからも、「環境配慮のために何をすべきか分からなかったが、アプリで見える化されたことで行動に移せた」「子どもが節電を意識するようになるなど、環境配慮への良い学びの機会になった」 「スポーツに興味がなかったけれど、特典での観戦を通して楽しさを知れた」などの声もいただけ、入居者の方々のみならず、参加企業にとってもファンが増える機会にもなりました。
宍戸:また、「くらしのサス活」には企業からの引き合いもあります。例えば、スポーツチームからは、試合開催によるCO2排出量が避けられないため、「くらしのサス活」に協賛することで、日々の生活の中で省エネに取り組むことを呼びかけることが、スポーツチームとしてできる脱炭素の取り組みだろうと、取り組みに強く賛同いただいております。スポーツやエンターテイメントはもちろん、カーボンニュートラルな社会の実現に向けて、ご賛同いただける皆さんを引き続き募集しております!
尾本:はい。アプリでは月ごとに、削減された電気とガスの使用量に応じたポイントが加算されるようになっています。アプリユーザーが継続して楽しめることを大切にしていきながら、アプリのユーザビリティの向上や、新しいパートナー企業の開拓に積極的に取り組んでいます。
宍戸:2024年からスタート以降、多くの世帯で利用されています。これまでは新築マンションの入居者の方々だけが対象でしたが、2024年12月からは既存マンションへもサービスを拡大し、当社分譲マンションに入居いただいている24万世帯が対象となりました。また、4月にはオンライン上でのアプリ登録が可能となる予定となっており、さらなるユーザー拡大を目指しています。
尾本:約21%の想定CO2排出量の削減※1を達成されております。ユーザの皆さんも節制した生活を徹底されているというよりかは、「使ってない部屋の暖房を消そう」「家族で続けてお風呂に入っちゃおう」など、日常生活での小さな工夫を通して、削減を達成されているという印象ですね。
※1 2024年4月~6月におけるアプリ登録者の平均値。想定削減量は、電気・ガス使用量より想定されるCO2排出量と、環境省の実施する「家庭部門のCO2排出実態統計調査」等を参考に当社の定める標準CO2排出量との差
尾本:「SUSKATSU PARK」というイベントを2025年3月に開催しました。賛同企業にご協力いただき、出張農園での果物の収穫体験や、サステナブルなフードを提供するキッチンカーや、海洋ゴミで作った楽器によるコンサート、リサイクル素材を用いたモノづくり体験、スポーツイベントなど、ご来場の皆さんが、楽しく気軽にサステナブルな暮らしを体験できる場を作っています。
宍戸:省エネや再エネだけに目が当てられがちですが、廃棄物を減らすこともCO2の削減には欠かせません。現在、進めているのは、マンション内での衣類を中心とした不用品回収ボックス設置など、循環型社会の実現を目指した取り組みです。使わなくなったけれどもまだ十分使える衣類を手軽に回収・リユースできる仕組みを導入し、入居者の方々の環境意識を高める狙いで、順次、導入マンションを増やしていく予定です。
尾本:長期的に楽しんでいただくために、特典をさらに充実させる計画です。具体的な機能としては、イベント参加や、サステナブルなアクションに対してポイントがさらに付与される仕組みを導入していきたいです。環境に配慮した行動が、自信や心の豊かさにつながることを実感してもらえるようなサービスにしていきたいですね。
宍戸:「くらしのサス活」では、環境にやさしいくらしが自然な選択肢となるよう、今後も積極的に活動を展開していく予定です。「CO2削減」や「サステナブル」は、決して特別なことではなく、くらしを少し楽しく、おしゃれに、かっこよくする、その延長線上にあるものだと考えているため、アプリやイベントなどの取り組みを通じて、多くの方がその第一歩を踏み出すきっかけとなれば、何より嬉しく思います。
多くの方々に くらしの中でできる「CO2削減」や「サステナブル」をもっと身近に感じられることを目的に、体験型のイベント「SUSKATSU PARK(サス活パーク)」を2025年3月に豊洲で開催しました。
東京に拠点を置くスポーツチームや団体による共同プロジェクト「TOKYO UNITE」や日本をはじめ、世界中から厳選された最新のサステナブル情報をお届けしている「ELEMINIST」とともに、「スポーツ」「アート・カルチャー」「フード・マーケット」「体験」という4つのカテゴリでイベントを実施。来場者が出張農園で収穫した農作物をスムージーにしたり、モデルやタレントによる古着の着こなしなどの講演を聞いたりと、遊びながらサステナブルなライフスタイルを体験できることを重視しています。
出張農園で収穫した苺を、スムージー屋さん「Why Juice?」が目の前でフレッシュなスムージーに。飲み終えたあとは、残った苺のヘタを「LFCコンポスト」の中に入れ、堆肥として再利用。資源を無駄なく循環させられることを学べる体験になりました。
アート集団、「海洋ゴミ楽器集団ゴミンゾク」によるコンサートでは、海辺で拾われた流木や空き缶、釣り糸などの「海洋ゴミ」を再利用して作った多種多様な楽器を演奏。心地よい音楽に包まれながら、ゴミと資源の境目について改めて考えるきっかけとなりました。
段ボールをプレス機でカットし、ノートやカードケース、ブーメランなどのオリジナルアイテムが作れるワークショップ。普段は捨ててしまう段ボールに描かれた絵柄やステッカーの跡などの個性を活かしたアイテムづくりを通じて、リユースの魅力を感じられる素敵な体験となりました。
環境配慮や自然の力を利用した多くのフードも集まりました。FC東京コミュニティジェネレーターである石川直宏さんが栽培や収穫をお手伝いしている、三鷹の農園「伊藤園」には色とりどりの季節の野菜が並びました。また、新釜ピザ屋台「COL CUORE」は、太鼓の鉢の端材を薪として再使用し、その灰を農家に提供することで土壌の酸性化防止に役立てているそうです。
三井不動産レジデンシャルが今後、分譲、賃貸する原則全てのマンション共用部に廃棄素材を用いたパラアートを設置していきます。三井デザインテック株式会社、特定非営利活動法人studioFLAT、サプティー株式会社に、三井不動産レジデンシャルを加えた4社の連携により実現したプロジェクト第一弾として全国の17物件で設置しています。詳しくは下記のURLをご覧ください。
https://www.31sumai.com/news/2025/0124_01/
三井不動産グループは、「共生・共存・共創により新たな価値を創出する、そのための挑戦を続ける」という「&マーク」の理念に基づき、「社会的価値の創出」と「経済的価値の創出」を車の両輪ととらえ、社会的価値を創出することが経済的価値の創出につながり、その経済的価値によって更に大きな社会的価値の創出を実現したいと考えています。