サプライチェーンマネジメント

取り組み方針

当社グループは、オフィスや住宅などの生活基盤を支える企業グループとして、より高い水準で社会的責任を果たしていく責務があると認識しています。その遂行のためにESG課題の解決に資するサステナブル調達の推進をサプライチェーン全体で取り組むべきであると考えています。その基本的な指針をまとめた「サステナブル調達基準」を策定し、2018年12月にホームページで公表し、主要取引先に対して通知しています。2022年2月には人権デューデリジェンスの実施に向け「サステナブル調達基準」を改訂し、発注に携わる当社グループと取引先の双方が遵守すべき事項、または積極的に推進すべき事項として、1.法令等の遵守、2.事業活動における人権尊重、3.労働に係る人権尊重、4.安全で健康的な労働環境、5.企業倫理の確立、6.品質の確保、7.環境への配慮、8.情報セキュリティ、9.危機管理・事業継続計画における基本指針を盛り込みました。またサステナブル調達の実践に向けた発注先・委託先への働きかけやモニタリングへの協力と是正措置等を発注先への「協力依頼事項」として併記したほか、社内・グループ内および発注先の理解促進のため別途調達基準内容の詳細な「解説書」を2言語で作成し、改めて2022年10月以降、主要取引先に対し通知することでコミュニケーションを推進しています。当社グループで共有し、事業内容に沿った発注および契約プロセスを構築・運用するとともに、取引先に対しても同様の考え方を適用して参ります。持続可能な社会の実現に向け、サプライチェーン全体でサステナブル調達の推進に取り組んでいます。

三井不動産グループサステナブル調達基準

制定 2018年12月5日
改訂   2022年2月4日

1.法令等の遵守

企業は、自国および事業を行う国/地域の適用される法規制を遵守するのみならず、国際行動規範を尊重しなければなりません。

2.事業活動における人権尊重

企業は、人権に配慮した事業の推進を徹底するため、世界人権宣言などの人権に関する国際規範を参照し、外国人や先住民なども含めた様々な人々の人権に対する事業活動による負の影響を予め把握し、未然防止や改善などを行わなければなりません。

(2-1) 事業活動における不当な差別や人権侵害の禁止

企業は、事業活動において、不当な差別を行ったり、差別を助長したりする行為を行ってはなりません。また、事業活動が人権侵害をもたらしたり、人権侵害に加担したりすることのないよう、配慮しなければなりません。  

(2-2) 社会的弱者・少数者の権利の尊重

企業は、製品・サービスなどを提供するにあたり、社会的弱者や社会的少数者とされる人々の基本的なニーズが満たされるよう、配慮しなければなりません。

(2-3) ユニバーサル・デザイン

企業は、製品・サービスなどの提供に際し、あらゆる人々の利便性・快適性を確保できるよう、ユニバーサル・デザインや、個別の状況に応じたサービスの提供などに、努めなければなりません。

3.労働に係る人権尊重

企業は、関連法規制を遵守することのみならず、ILO中核的労働基準を含む国際的な人権基準を参照し、労働者の人権を尊重しなければなりません。

(3-1) 結社の自由、団体交渉権

企業は、現地の法規制を遵守したうえで、労働環境や賃金水準などの労使間協議を実現する手段としての従業員の団結権や団体交渉権を尊重しなければなりません。

(3-2) 強制労働の禁止

企業は、強制、拘束、非人道的な囚人労働、奴隷制または人身売買によって得られた労働力を用いることはできません。また、企業はすべての就業を強制することなく、従業員の離職や雇用を自ら終了する権利を守らなければなりません。

(3-3) 児童労働の禁止、若年労働者への配慮

企業は、最低就業年齢に満たない児童に労働をさせてはなりません。また、企業は、18歳未満の若年労働者を夜勤や残業などを含む、健康や安全が損なわれる可能性のある危険業務に従事させてはなりません。

(3-4) 雇用における差別の禁止

企業は、賃金、昇進、報酬、退職等のあらゆる雇用実務において、人種、国籍、民族、肌の色、年齢、性別、性的指向、性自認、宗教、信条、障害の有無、婚姻状況、妊娠、所属政党、組合への加入等に基づく不当な差別行為など、あらゆる不当な差別行為を行ってはなりません。

(3-5) 虐待およびハラスメントの禁止

企業は、労働者の人権を尊重し、精神的・肉体的な虐待、強制、ハラスメントなどの非人道的な扱い、ならびにそのような可能性のある行為を労働者に行ってはなりません。

(3-6) 適切な賃金と手当

企業は、従業員に支払われる報酬(最低賃金、残業代、および法的に義務付けられた手当や賃金控除を含む)や社会保障に、適用されるすべての法規制を遵守しなければなりません。

また、生活に必要なものを賄うことのできる水準の賃金(生活賃金)の支払いに配慮することが望まれます。

(3-7) 適切な労働時間、休日・休暇

企業は、労働者の働く地域の法規制上定められている限度を超えて労働させてはならず、国際的な基準を考慮した上で労働者の労働時間・休日を適切に管理するとともに、現地法令に定められた年次有給休暇を付与しなければなりません。

4.安全で健康的な労働環境

企業は、関連法規制を守るのみならず、労働者の安全と健康に関する国内外のガイドラインなどに留意し、業務に伴う怪我や心身の病気を最小限に抑え安全で健康的な労働環境を整える取り組みを行わなければなりません。

(4-1) 従業員の健康管理

企業は、すべての従業員に対し、適切な健康管理を行わなければなりません。

(4-2) 労働安全衛生

企業は、職務上の安全に対するリスクを特定・評価し、また適切な設計や技術・管理手段をもって安全を確保しなければなりません。

また、職場において、有害な生物的・化学的・物理的な影響に労働者が曝露するリスクを特定・評価し、適切な管理を行わなければなりません。

(4-3) 身体的負荷のかかる作業への配慮

企業は、身体的に負荷のかかる作業を特定・評価のうえ、労働災害・業務上疾病につながらないよう適切に管理しなければなりません。

(4-4) 機械装置の安全対策

企業は、労働者が業務上使用する機械装置について安全上のリスクがないか評価し、適切な安全対策を実施しなければなりません。

(4-5) 施設の安全衛生

企業は、労働者の生活のために提供される施設(寮・食堂・トイレ・休憩所など)の安全衛生を適切に確保しなければなりません。

また、寮では、緊急時の適切な非常口を確保しなければなりません。

(4-6) 労働災害・業務上疾病の発生時の対応

企業は、労働災害および業務上疾病の状況を記録・報告し、適切な対策および是正措置を講じなければなりません。

(4-7) コミュニケーションの推進

企業は、労働者が被る可能性のある職務上の様々な危険について、適切な安全衛生情報の教育・訓練を労働者の母国語または理解できる言語・方法で提供しなければなりません。

また、労働者から安全に関わる意見をフィードバックする仕組みがなければなりません。

5.企業倫理の確立

企業は、法令遵守のみならず、高い水準の倫理感に基づき事業活動を行わなければなりません。

(5-1) 贈収賄等の腐敗の防止

企業は、あらゆる種類の贈収賄、腐敗、恐喝、および横領などを行ってはなりません。また、賄賂その他の不当または不適切な利益を得る手段としての約束、申し出、許可を提供または容認してはなりません。

(5-2) 反社会的勢力との関係遮断

企業は、市民社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力および団体とは関係を遮断しなければなりません。

(5-3) 公正な事業活動の推進

企業は、公正かつ自由な競争を妨げる行為や不正競争行為などを行わず、公正な事業活動を推進しなければなりません。

(5-4) 優越的地位の濫用禁止

企業は、優越的地位を利用して、取引を自社に一方的に有利に決定し、取引先に不利益を与える行為を行ってはなりません。

(5-5) 知的財産権の保護

企業は、知的財産権を尊重し、技術やノウハウの移転は、知的財産が守られた形で行わなければなりません。また、顧客および取引先などの第三者の知的財産も保護しなければなりません。

(5-6) 適切な情報開示

企業は、適用される法規制だけでなく社会的規範や業界団体等の指針などに従って、自社の財務情報および非財務情報を適切に開示しなければなりません。記録の改ざんや虚偽の情報開示は容認されません。

(5-7) 苦情処理メカニズムの整備・通報者の保護

企業は、問題を調査し対応するための苦情処理メカニズムを整備し、従業員などが通報できるようにしなければなりません。また、通報に係る情報に関する機密性、ならびに通報者の匿名性を保護し、通報者に対する報復を排除しなければなりません。

(5-8) 原材料の責任ある調達

企業は、事業活動で使用する原材料について、違法な手段で生産されたもの(違法伐採木材や紛争鉱物を含む)を排除するとともに、再生材や認証材といった環境や社会に配慮して生産されたものを活用するよう努めなければなりません。

6.品質の確保

企業は、提供する製品やサービスの安全性ならびに品質の確保を行うとともに、その向上に努めなければなりません。

(6-1) 街づくりにおける安心・安全と健康への配慮

企業は、製品の設計・製造・販売にあたっては、各国の法令などで定める安全基準を満たすなど、十分な製品安全性を確保し、供給者としての責任を果たさなければなりません。

また、サービスの提供にあたっては、それを利用する人々や関係者の安全と健康に配慮した事業活動に努めなければなりません。

(6-2) 品質管理、品質保証

企業は、製品・サービスの品質に関して適用される、すべての法規制、自らの品質基準、顧客要求事項を遵守しなければなりません。また、顧客からのクレーム・苦情を受け付け適切に処理するための、体制を整備しなければなりません。

(6-3) 正確な製品・サービス情報の提供

企業は、顧客や消費者に対して、製品・サービスに関する正確で誤解を与えない情報を提供しなければなりません。虚偽の情報や改ざんされた情報を提供してはなりません。

7.環境への配慮

企業は、資源の枯渇や気候変動、環境汚染などの地球環境問題に積極的に取り組むとともに、関係する地域の人々の健康と安全の確保を考慮した地域の環境問題に配慮しなければなりません。

(7-1) 気候変動への対応

企業は、エネルギー効率改善や再生可能エネルギー利用などに努め、エネルギー消費量および温室効果ガス排出量の継続的削減活動に取り組まなければなりません。

(7-2) 資源の有効利用と廃棄物の管理・削減

企業は、法規制を遵守し、適切な管理を行わなければなりません。また、リデュース(削減)、リユース(再利用)、リサイクル(再資源化)を推進し、資源の有効活用を図り、廃棄物の発生を最低限に抑えなければなりません。

(7-3) 汚染防止・化学物質管理

企業は、関連する法規制を遵守し、有害な物質の大気・水域・土壌等への排出を削減するための適切な対策を実施しなければなりません。

また、有害な化学物質は、法規制を遵守し、特定、表示、安全な取り扱い、移動、保存、使用、リサイクルまたは再利用、および廃棄が確実に実施されるよう管理しなければなりません。

(7-4) 水の使用削減

企業は、法規制を遵守し、使用する水の水源、使用、排出をモニタリングし、節水しなければなりません。

(7-5) 生物多様性保全

企業は、多様な生物が存在する自然環境や生態系を保全するため、事業活動におけるそれらへの負荷の低減に取り組まなければなりません。

(7-6) 環境に配慮した製品・サービスの提供

企業は、環境に配慮した製品やサービスの提供に積極的に取り組まなければなりません。また、製品に含まれる化学物質については、すべての法規制および顧客要求を遵守しなければなりません。

8.情報セキュリティ

企業は、機密情報や個人情報の漏洩を防止し、情報セキュリティの強化を図らなければなりません。

(8-1) 情報セキュリティ・サイバーセキュリティ

企業は、自社のみならず、顧客や第三者から受領した機密情報を、適切に管理・保護しなければなりません。また、サイバー攻撃などからの脅威に対する防御策を講じて、自社および他者に被害が生じないように管理しなければなりません。

(8-2) 個人情報保護

企業は、取引先、顧客、従業員などすべての個人情報について、関連する法規制を遵守し、適切に管理・保護しなければなりません。

9.危機管理・事業継続計画

企業は、自然災害や事故などの発生に備え、従業員をはじめとするステークホルダーの安全確保と、いち早い事業活動の再開を実現できるよう、適切な対策を行わなければなりません。

(9-1) 危機管理

企業は、自然災害や事故などの緊急事態による労働者および資産の被害、ならびに、それらの被害により間接的に影響がおよぶ関係者や公衆の被害を最小限に抑えるよう、緊急対策時の行動手順の作成、必要な設備などの設置、災害時にその行動がとれるような教育・訓練を行わなければなりません。

(9-2) 事業継続計画(BCP)

企業は、事業継続を阻害するリスクを特定・評価し、事業への影響の精査と中長期的に必要な事前対策、その取り組み状況をまとめた事業継続計画(BCP)を策定しなければなりません。

以上

三井不動産グループサステナブル調達基準の英語版はこちらを参照してください。
https://www.mitsuifudosan.co.jp/english/esg_csr/society/04.html

三井不動産グループサステナブル調達基準「解説書」はこちらを参照してください。
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/esg_csr/pdf/2022/sustainable_procurement_standards_manual_jpn.pdf(日本語版)
https://www.mitsuifudosan.co.jp/english/corporate/esg_csr/pdf/2022/sustainable_procurement_standards_manual_eng.pdf(英語版)

主な取り組み

サステナブル調達の推進

当社は、「ESG推進委員会」(委員長:代表取締役社長執行役員)のもとに「ESG推進部会」を設置し、当社グループにおける人権問題への取り組みを推進しています。ESG推進部会では、当社グループの人権に関する理念の整理や方針の策定を行うとともに、サステナブル調達基準に基づく人権デューデリジェンスの推進やその結果の評価・対応の検討などを行っています。2020年12月に策定した「人権方針」を共通の基軸として関連するさまざまな活動をグローバルな視点で進めています。

社内研修

年2回実施している全社コンプライアンス研修(e-ラーニング)にて、人権方針・サステナブル調達基準に関する社内研修(人権方針の説明等)を実施しています。また2022年度には「ビジネスと人権」に特化した最新動向と「サステナブル調達基準」の改訂等グループでの取り組みを周知徹底する研修を実施しています。

サプライヤー研修

2020年と2022年、当社グループ「サステナブル調達基準」を取引先約800社に配布、説明する研修を行いました。併せて2022年には「解説書」を配布、説明し、その内容を周知しました。2021年から毎年サプライヤーのESGデューデリジェンスを実施していますが、アンケート調査、現場検査の結果を分析し、サプライヤーにフィードバックする研修を行いました。

サプライヤーアンケートの実施

人権リスク評価の結果、建設業界のサプライヤーが当社グループ事業のESG課題との関連性が高く影響が大きいと判断をし、建設会社大手6社を対象に、重要な課題を把握し理解を深めるため、サステナブル調達方針に沿って以下の項目に関するサプライヤーアンケートを実施しました。また、2022年度には、次にESG課題との関連性が高いと判断をした建物運営管理業務委託先6社に対してアンケート、うち2社は会社訪問によるエンゲージメントを実施しました。他にも当社グループが運営する商業施設に入居するテナント約200社に対してアンケート調査を実施いたしました。今後も継続してその他の取引先にも対象を広げて実施していきます。

アンケートの項目

  • 法令等の遵守
  • 労働に係る人権尊重
  • 企業倫理の確立
  • 環境への配慮
  • 危機管理・事業継続計画
  • 事業活動における人権尊重
  • 安全で健康的な労働環境
  • 品質の確保
  • 情報セキュリティ

その結果、事業活動における人権尊重、労働に係る人権尊重、企業倫理の確立、品質の確保、環境への配慮の項目において、一部取り組みが不十分な項目がありました。アンケートの結果を踏まえ、今後、サプライヤーに対してさらなる人権を含むESGの取り組みのレベルアップに向けた働きかけを行っていきます。

サプライヤー検査(現場監査)の実施

2021年度にはサプライヤーアンケートを依頼した建設会社6社のうち2社に対し、稼働中の現場でのサプライヤーに対する実地検査(現場監査)を実施しました。外部の監査会社とともに1日ずつ現場に訪問し建設会社にヒアリングを実施し、サプライヤーアンケート回答内容の具体的な取り組みを中心に確認しました。結果、人権侵害やコンプライアンス違反といった著しい問題は発見されませんでした。

サプライヤーアンケート・検査(現場監査)の結果と課題への対応

・アンケートと検査の結果、著しい問題はありませんでしたが、下記の通り一部改善が必要な点もありました。

アンケート・現場検査を踏まえたリスク評価(概要)
アンケート・現場検査を踏まえたリスク評価(概要)

・一部取り組みが不十分な項目については、建設会社と改善策を協議し、改善を図っていきます。

・2022年度は、建物運営管理業務委託先6社に対してアンケート、2社の運営現場における実地検査を実施しました。

テナントとのエンゲージメント

当社グループが運営する商業施設に入居するテナント約200社に対してアンケート調査を実施いたしました。サステナブル調達基準、サプライヤーとのESG課題に関するエンゲージメントなど当社グループの取り組みを紹介するとともに、テナント各社の取り組みを回答いただくことにより、ESG課題への取り組みをサプライチェーンに積極的に働きかけています。

従業員・入居者との対話

社会課題への取り組みについて、従業員、当社グループの施設の入居者との対話を行っています。

当社グループ従業員に対して、「サステナブル調達基準」「人権方針」「ESGデューデリジェンス」に関する社内研修を実施し、理解を深めています。また当社従業員向け満足度調査を実施し、当社で働く意義、意欲、賃金、安全、健康など多岐にわたるヒアリングを行いました。

当社グループ商業施設入居者に対してアンケートを実施し、当社グループの「サステナブル調達基準」について周知するとともに、入居企業での取り組みについてヒアリングを行いました。