サステナブルファイナンス

取り組み方針

環境・社会課題に関する国際的な動きが加速しており、脱炭素社会に向けた実質的な取り組みが一層求められる中、その実現を支援するサステナブルファイナンスも重要性を増しています。当社グループの方針について幅広いステークホルダーの皆さまの一層の認知向上を図り、資金調達の多様化と脱炭素社会の実現を促進するため、サステナブルファイナンスに積極的に取り組んでいきます。

フレームワークの策定

サステナビリティ・リンク・ローンフレームワーク

フレームワークの特徴

当社グループでは、SPTsや適用金利、レポーティング等のサステナビリティ・リンク・ローン要件を統一的に定義した「包括型サステナビリティ・リンク・ローンフレームワーク」を策定しています。これにより、各金融機関の個別取引に本フレームワークを汎用的に適用させることができ、当社および金融機関双方にとってサステナビリティ・リンク・ローンの取り組みが容易となります。

なお、サステナビリティ・リンク・ローンフレームワークの策定にあたっては、サステナビリティ・コーディネーターである株式会社三井住友銀行との協議の下、国際金融業界団体の LMA(Loan Market Association)、LSTA(Loan Syndications and Trading Association)およびAPLMA(Asia Pacific Loan Market Association)が定める「サステナビリティ・リンク・ローン 原則(2021年5月改定)」および環境省が定める「グリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン(2020年版)」に則り作成されています。また、その適合性を担保するため、第三者機関である株式会社格付投資情報センター(R&I)から「セカンドオピニオン」を取得しました。

セカンドオピニオン

グリーンファイナンスフレームワーク

フレームワークの特徴

当社では、機動的なグリーンボンドおよびグリーンローンの実施に向けて、グリーンファイナンスフレームワークを策定しています。

本フレームワークでは、国内外の環境認証を網羅的に適格基準として設けて、国内・海外のいずれのプロジェクトにも対応可能となっています。

なお、グリーンファイナンスフレームワークの策定に当たっては、国際資本市場協会(ICMA:International Capital Market Association)が定める「グリーンボンド原則2021」および環境省が定める「グリーンボンドガイドライン2020年版」、また、ローンマーケット協会(LMA)およびアジア・パシフィック・ローンマーケット協会(APLMA)の共同により策定された「グリーンローン原則」(2021年版)(GLP)の4基準と日本の環境省が策定した「グリーンローンおよびサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン2020年版」に則り作成されています。また、その適合性を担保するため、第三者機関であるサステイナリティクス社から「セカンドパーティ・オピニオン」を取得しました。

グリーンファイナンスフレームワーク セカンドパーティ・オピニオン

サステナビリティ・リンク・ローン

当社は、サステナビリティ・リンク・ローンフレームワークにおいて、SPTsは2021年11月に策定された「脱炭素社会に向けたグループ行動計画」において掲げられている、「グループ全体のScope1+Scope2における温室効果ガス排出量を2030年度までに46.2%削減(2019年度比)」を採用しています。

脱炭素社会に向けたグループ行動計画 2023年度の実績(2023年9月30日時点)
実行件数 総額
6件 417億円
2022年度以前の実績
調達年度 実行件数 総額
2022 7件 695億円
2021 12件 690億円

グリーンファイナンス

当社は、グリーンファイナンスフレームワークにおいて定めた適格基準を満たすグリーンプロジェクトを活用し、グリーンローンおよびグリーンボンドを積極的に実施しています。

資金充当状況

2023年度(2023年9月30日時点)
グリーンローン
プロジェクト名 調達金額 充当金額 未充当金額
Otemachi One タワー 90億円 90億円 - 億円
グラントウキョウノースタワー 200億円 200億円 - 億円
日本橋一丁目三井ビルディング 20億円 20億円 - 億円
室町東三井ビルディング 168億円 168億円 - 億円
グリーンボンド
プロジェクト名 調達金額 充当金額 未充当金額
東京ミッドタウン八重洲
八重洲セントラルタワー
265億円 265億円 - 億円
Otemachi One タワー 602億円 602億円 - 億円
日本橋室町三井タワー 933億円 933億円 - 億円
日本橋三井タワー 500億円 500億円 - 億円
2022年度以前
グリーンローン
調達年度 プロジェクト名 調達金額 充当金額 未充当金額
2022 東京ミッドタウン八重洲
八重洲セントラルタワー
480億円 480億円 - 億円
東京ミッドタウン日比谷 925億円 925億円 - 億円
グリーンボンド
調達年度 プロジェクト名 調達金額 充当金額 未充当金額
2022 東京ミッドタウン八重洲
八重洲セントラルタワー
800億円 800億円 - 億円
2021 50ハドソンヤード 3億
米ドル
3億
米ドル
- 億米ドル
2019 日本橋室町三井タワー 500
億円
500
億円
- 億円
アロケーションレビュー

当社は、各資金使途におけるフレームワークに設定した適格基準との適合および資金充当状況につき、第三者機関であるサステイナリティクス社から「アロケーションレビュー」を取得しています。

2022年度
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/esg_csr/pdf/2022/greenbond2022_greenloans2022_annualreview2022_jpn.pdf

2021年度
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/esg_csr/pdf/2022/greenbond2022_annualreview2022_50hudsonyards_jpn.pdf

2019年度
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/esg_csr/pdf/2022/greenbond2019_annualreview2022_nihonbashi_jpn.pdf

※マネジメント・アサーションについては、以下をご覧ください。

2023年度

(日本橋室町三井タワー・日本橋三井タワー)
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/esg_csr/pdf/2023/assertion_on_allocation_of_proceeds_nihonbashi_jpn.pdf

(東京ミッドタウン八重洲 八重洲セントラルタワー・Otemachi Oneタワー・日本橋室町三井タワー)
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/esg_csr/pdf/2023/assertion_on_allocation_of_proceeds_yaesu_jpn.pdf

2022年度(東京ミッドタウン八重洲 八重洲セントラルタワー)
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/esg_csr/pdf/2022/assertion_on_allocation_of_proceeds_yaesu_jpn.pdf

2021年度(50ハドソンヤード)
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/esg_csr/pdf/2021/assertion_on_allocation_of_proceeds_jpn.pdf

インパクトレポーティング

カテゴリー 2022年度実績 物件名称 認証取得状況
温室効果ガス
排出量
水使用量 エネルギー
使用量
オフィスビル 28,364t-CO2 214,015m3 75,893kWh 東京ミッドタウン八重洲
八重洲セントラルタワー
DBJ Green Building認証
(5つ星)
Otemachi One タワー DBJ Green Building認証
(5つ星)
日本橋室町三井タワー DBJ Green Building認証
(5つ星)
東京ミッドタウン日比谷 DBJ Green Building認証
(5つ星)
50ハドソンヤード LEED GOLD認証

グリーンプロジェクトの紹介

当社のグリーンプロジェクトについては以下をご覧ください。

ポジティブ・インパクト・ファイナンス

2023年度の実績(2023年9月30日時点)
実行件数 総額
11件 635億円
2022年度の実績
実行件数 総額
1件 190億円

当社は、三井住友信託銀行株式会社との間で、同社が提供する「ポジティブ・インパクト・ファイナンス(資金使途を特定しない事業会社向け融資タイプ)」の契約を2022年12月21日(対象金額:190億円)に締結いたしました。三井住友信託銀行以外の金融機関とも、「ポジティブ・インパクト評価フレームワーク」を活用しポジティブ・インパクト・ファイナンスに取り組んでおります。

ポジティブ・インパクト・ファイナンスとは、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)(※1)が提唱した「ポジティブ・インパクト金融原則」(※2)に則した企業活動が環境・社会・経済に及ぼすインパクト(ポジティブな影響とネガティブな影響)を金融機関が包括的に分析・評価し、当該活動の継続的な支援を目的として融資を行うものです。金融機関は、企業の活動、製品、サービスによるSDGs達成への貢献度合いを評価指標として活用し、開示情報に基づきモニタリングを行い、エンゲージメントを通じて活動を支援していくことが最大の特徴です。

本評価は、株式会社日本格付研究所より評価にかかる手続きのポジティブ・インパクト金融原則への準拠性、活用した評価指標の合理性について第三者意見を取得しています。

※1 国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)

国連環境計画(UNEP)は、1972年に「人間環境宣言」および「環境国際行動計画」の実行機関として設立された国連の補助機関。UNEP FIは、UNEPと200以上の世界の金融機関による広範で緊密なパートナーシップであり、1992年の設立以来、金融機関、政策・規制当局と協調し、経済的発展とESG(環境・社会・企業統治)への配慮を統合した金融システムへの転換を進めています。

※2 ポジティブ・インパクト金融原則

UNEP FIが2017年1月に策定した、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた金融の枠組。企業がSDGs達成への貢献をKPIで開示し、銀行はそのプラスの影響を評価して資金提供を行うことにより、資金提供先企業によるプラスの影響の増大、マイナスの影響の低減の努力を導くもの。

融資を実行する銀行は、責任ある金融機関として、指標をモニタリングすることによって、インパクトが継続していることを確認します。

テーマ 内容 目標と指標(KPI) SDGs

環境負荷の低減と
エネルギーの創出

  • エネルギー消費や温室効果ガス排出を削減させ、脱炭素社会の実現に貢献する
  • 事業活動で消費する電力の再生可能エネルギーへの転換
  • 経年優化する豊かな自然環境の実現

(a) 「脱炭素社会実現に向けたグループ行動計画」の推進

目標

  1. グループ全体の温室効果ガス排出量(スコープ1+2+3)を、2050年度までにネットゼロ、2030年度までに40%削減(2019年度比)
  2. グループ全体の温室効果ガス排出量(スコープ1+2)を、2030年度までに46.2%削減(2019年度比)
  3. 全ての新規物件で、ZEB/ZEH水準(※)の環境性能を実現
    ※ZEB/ZEH Oriented以上の環境性能を有するBEI水準、一部物件を除く。
  4. 全国の保有物件共用部・自社利用部の電力を、2030年度までにグリーン化(※)
    ※非化石証書等を利用し使用電力を実質的に再生可能エネルギーとすること。
  5. メガソーラー事業による総発電量を、2030年度までに3.8億kWh/年
  6. 建築時のCO2排出量削減の促進

指標 (KPI)

  1. グループ全体の温室効果ガス排出量(スコープ1+2+3)
  2. グループ全体の温室効果ガス排出量(スコープ1+2)
  3. 新規物件における、ZEB/ZEH水準の環境性能の充足状況
  4. 全国の保有物件共用部・自社利用部における、使用電力のグリーン化状況
  5. メガソーラー事業による総発電量
  6. 建築時のCO2排出量の正確な把握に向けた取組の状況

(b) 水使用量の低減

目標

取水量原単位を、前年度比低減

指標 (KPI)

取水量原単位

(c) 廃棄物排出量の低減

目標

一般廃棄物・産業廃棄物の排出原単位を、前年度比低減

指標 (KPI)

一般廃棄物・産業廃棄物の排出原単位

(d) 多様な生物生息環境の保全

目標

グループ保有林における、OECM認定取得を視野に入れた生物多様性の行動計画の策定(2022年度中)

指標 (KPI)

生物多様性の行動計画の策定状況

街づくりを通した
「超スマート社会」
の実現

  • テクノロジー基盤を活かし、人が集い、互いに支え合う居場所やコミュニティを創出することで、個人や街が抱える課題を解決する

目標

スマートシティ化の推進

指標 (KPI)

スマートシティ化の推進に資する新規サービスの創出状況

健やか・安全・安心
なくらしの実現

  • 健やかで生産性の高いワークプレイスの提供
  • 災害や感染症などの脅威から人々を守る、レジリエントで安全・安心な開発・運営の実践

(a) 多様な働き方のニーズに合わせたアセット・ソフトサービスの提供

目標

  1. オフィス入居者の多様な働き方の実現への貢献
  2. 健康経営支援サービス「&well」会員数を、2025年度までに会員数15万人

指標 (KPI)

  1. オフィスの生産性向上に資する取組の推進状況
  2. 健康経営支援サービス「&well」会員数

(b) 地域社会と連携した防災の拡充

目標

都市の防災性向上への貢献

指標 (KPI)

「スマートエネルギープロジェクト」の導入推進状況

多様な人材が活躍
できる社会の実現

  • 誰もが自分らしく活躍できる生活基盤の整備

(a) ダイバーシティ&インクルージョンの推進

目標

  1. 女性管理職比率を、2025年度までに10%、2030年度までに20%
  2. 女性採用比率を、2030年度までに40%
  3. 育児休業復帰率を、毎年100%
  4. 有給休暇取得日数(年間)を、14日以上

(いずれも三井不動産㈱単体)

指標 (KPI)

  1. 女性管理職比率
  2. 女性採用比率
  3. 育児休業復帰率
  4. 有給休暇取得日数(年間)

(b) 人権の尊重

目標

サプライチェーンマネジメント強化

指標 (KPI)

  1. サプライヤーアンケート・サプライヤー検査(現場監査)の対象業種・企業数の拡大状況
  2. アで確認された改善が必要な項目への対応状況

適合性に関する第三者評価等

注:https://www.jcr.co.jp/download/7dab648a6f7fdccc23eb667666313cd961ec616dc6c3179b9d/22d1153.pdf

サステナブルファイナンスに関するニュースリリース

2023年9月6日

1,000億円のグリーンボンド発行

サステナブルファイナンス累計 7,000億円超

2023年5月31日

業界過去最大、1,300億円のグリーンボンド発行

サステナブルファイナンス累計約6,000億円

2022年7月8日

業界過去最大、800億円のグリーンボンド発行

「東京ミッドタウン八重洲」に投資、脱炭素化に向けたファイナンスをさらに推進

2022年1月14日

– サステナブルファイナンスの推進 –

国内不動産業界において初の米ドル建てグリーンボンドを発行 50ハドソンヤードの開発資金に充当

2019年9月6日

~三井不動産グループのESG経営推進加速の一環として~

「グリーンボンド」条件決定のお知らせ