サステナブルファイナンス

取り組み方針

環境・社会課題に関する国際的な動きが加速しており、脱炭素社会に向けた実質的な取り組みが一層求められる中、その実現を支援するサステナブルファイナンスも重要性を増しています。当社グループの方針について幅広いステークホルダーの皆さまの一層の認知向上を図り、資金調達の多様化と脱炭素社会の実現を促進するため、サステナブルファイナンスに積極的に取り組んでいきます。

フレームワークの策定

サステナビリティ・リンク・ファイナンスフレームワーク

フレームワークの特徴

当社グループでは、SPTsやレポーティング等のサステナビリティ・リンク・ファイナンス要件を統一的に定義した「サステナビリティ・リンク・ファイナンスフレームワーク」を策定しています。サステナビリティ・リンク・ファイナンスフレームワークの策定にあたっては、国際資本市場協会(ICMA:International Capital Market Association)が定める 「サステナビリティ・リンク・ボンド原則(SLBP)2023」、環境省が定める「サステナビリティ・リンク・ボンドガイドライン2022年版」、ローン・マーケット・アソシエーション(LMA)・アジア太平洋ローン・マーケット・アソシエーション(APLMA)・ローン・シンジケーション&トレーディング・アソシエーション(LSTA)の定める「サステナビリティ・リンク・ローン原則(SLLP)2023」、および日本の環境省が策定した「グリーンローンおよびサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン2022年版」に則り作成されています。また、その適合性を担保するため、第三者機関であるムーディーズ・ジャパン株式会社から「セカンドパーティ・オピニオン」を取得しました。

サステナビリティ・リンク・ファイナンスフレームワーク セカンドパーティ・オピニオン

グリーンファイナンスフレームワーク

フレームワークの特徴

当社では、機動的なグリーンボンドおよびグリーンローンの実施に向けて、グリーンファイナンスフレームワークを策定しています。

本フレームワークでは、国内外の環境認証を網羅的に適格基準として設けて、国内・海外のいずれのプロジェクトにも対応可能となっています。

なお、グリーンファイナンスフレームワークの策定に当たっては、国際資本市場協会(ICMA:International Capital Market Association)が定める「グリーンボンド原則2021」および環境省が定める「グリーンボンドガイドライン2022年版」、ローンマーケット協会(LMA)・アジア太平洋・ローンマーケット・アソシエーション(APLMA)・ローン・シンジケーション&トレーディング・アソシエーション(LSTA)の定める「グリーンローン原則」(2023年版)(GLP)の要件と日本の環境省が策定した「グリーンローンおよびサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン2022年版」に則り作成されています。また、その適合性を担保するため、第三者機関であるムーディーズ・ジャパン株式会社から「セカンドパーティ・オピニオン」を取得しました。

グリーンファイナンスフレームワーク セカンドパーティ・オピニオン

サステナビリティ・リンク・ファイナンス

当社は、サステナビリティ・リンク・ファイナンスフレームワークにて以下のSPTsを採用しております。これらは、2024年4月に策定した長期経営方針「& INNOVATION 2030」で掲げられているGROUP MATERIALITY(重点的に取り組む課題)と2021年11月に策定された「脱炭素社会に向けたグループ行動計画」に対応する目標となっております。

長期経営方針「& INNOVATION 2030」 脱炭素社会に向けたグループ行動計画
KPI SPTs
KPI 1 CO2排出削減比率(千t-CO2 グループ全体のScope1・2(GHG排出量)を2030年度までに46.2%削減(2019年度比)※1
グループ全体のScope1・2・3(GHG排出量)を2030年度までに40%削減(2019年度比)
KPI 2 新築物件外部環境認証取得率(%)※2 新築物件外部環境認証取得率100%

※1 サステナビリティ・リンク・ローンのみに適用されるSPTs。

※2 対象はオフィス、商業施設、物流施設等の賃貸物件、ホテル・リゾート施設に限る。

サステナビリティ・リンク・ローン(2024年9月末時点)
調達年度 実行件数 総額
2024 2件 40億円
2023 17件 1,457億円
2022 7件 695億円
2021 12件 690億円

グリーンファイナンス

当社は、グリーンファイナンスフレームワークにおいて定めた適格基準を満たすグリーンプロジェクトを活用し、グリーンローンおよびグリーンボンドを積極的に実施しています。

グリーンローン(2024年9月末時点)
調達年度 プロジェクト名 調達金額 充当金額 未充当金額
2024 室町古河三井ビルディング 75億円 75億円 - 億円
銀座三井ビルディング 80億円 80億円 - 億円
三井住友銀行本店ビルディング 155億円 155億円 - 億円
2023 名古屋三井ビルディング北館 30億円 30億円 - 億円
Otemachi One タワー 90億円 90億円 - 億円
室町東三井ビルディング 168億円 168億円 - 億円
三井住友銀行本店ビルディング 100億円 100億円 - 億円
グラントウキョウノースタワー 220億円 220億円 - 億円
日本橋一丁目三井ビルディング 240億円 240億円 - 億円
霞が関ビルディング 50億円 50億円 - 億円
2022 東京ミッドタウン八重洲
八重洲セントラルタワー
480億円 480億円 - 億円
東京ミッドタウン日比谷 925億円 925億円 - 億円
グリーンボンド(2024年9月末時点)
調達年度 プロジェクト名 調達金額 充当金額 未充当金額
2024 LaLa arena TOKYO-BAY 90億円 90億円 - 億円
三井ショッピングパーク ららぽーと堺 210億円 210億円 - 億円
2023 東京ミッドタウン八重洲
八重洲セントラルタワー
265億円 265億円 - 億円
Otemachi One タワー 602億円 602億円 - 億円
日本橋室町三井タワー 933億円 933億円 - 億円
日本橋三井タワー 500億円 500億円 - 億円
2022 東京ミッドタウン八重洲
八重洲セントラルタワー
800億円 800億円 - 億円
2021 50ハドソンヤード 3億
米ドル
3億
米ドル
- 億米ドル
2019 日本橋室町三井タワー 500
億円
500
億円
- 億円

当社は、各資金使途におけるフレームワークに設定した適格基準との適合および資金充当状況につき、「アロケーションレビュー」を取得しています。

2023年度
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/esg_csr/pdf/2023/greenbond2023_greenloans2023_annualreview2023_jpn.pdf

2022年度
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/esg_csr/pdf/2022/greenbond2022_greenloans2022_annualreview2022_jpn.pdf

2021年度
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/esg_csr/pdf/2022/greenbond2022_annualreview2022_50hudsonyards_jpn.pdf

2019年度
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/esg_csr/pdf/2022/greenbond2019_annualreview2022_nihonbashi_jpn.pdf

※マネジメント・アサーションについては、以下をご覧ください。

2024年度

(LaLa arena TOKYO-BAY・三井ショッピングパーク ららぽーと堺)
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/esg_csr/pdf/2024/assertion_on_allocation_of_proceeds_lalaarena_jpn.pdf

2023年度

(日本橋室町三井タワー・日本橋三井タワー)
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/esg_csr/pdf/2023/assertion_on_allocation_of_proceeds_nihonbashi_jpn.pdf

(東京ミッドタウン八重洲 八重洲セントラルタワー・Otemachi Oneタワー・日本橋室町三井タワー)
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/esg_csr/pdf/2023/assertion_on_allocation_of_proceeds_yaesu_jpn.pdf

2022年度(東京ミッドタウン八重洲 八重洲セントラルタワー)
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/esg_csr/pdf/2022/assertion_on_allocation_of_proceeds_yaesu_jpn.pdf

2021年度(50ハドソンヤード)
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/esg_csr/pdf/2021/assertion_on_allocation_of_proceeds_jpn.pdf

年度 カテゴリー 温室効果ガス
排出量
水使用量 エネルギー
使用量
物件名称 認証取得状況
2023年度
実績
オフィスビル 44,222t-CO2 998,964m3 231,153MWh 東京ミッドタウン八重洲
八重洲セントラルタワー
DBJ Green Building認証
(5つ星)
名古屋三井ビルディング北館 DBJ Green Building認証
(5つ星)
Otemachi One タワー DBJ Green Building認証
(5つ星)
日本橋室町三井タワー DBJ Green Building認証
(5つ星)
東京ミッドタウン日比谷 DBJ Green Building認証
(5つ星)
室町東三井ビルディング DBJ Green Building認証
(4つ星)
三井住友銀行本店ビルディング DBJ Green Building認証
(4つ星)
グラントウキョウノースタワー DBJ Green Building認証
(4つ星)
日本橋三井タワー DBJ Green Building認証
(5つ星)
日本橋一丁目三井ビルディング DBJ Green Building認証
(4つ星)
霞が関ビルディング DBJ Green Building認証
(4つ星)
50ハドソンヤード LEED GOLD認証

グリーンプロジェクトの紹介

当社のグリーンプロジェクトについては以下をご覧ください。

ポジティブ・インパクト・ファイナンス

当社は、三井住友信託銀行株式会社との間で、同社が提供する「ポジティブ・インパクト・ファイナンス(資金使途を特定しない事業会社向け融資タイプ)」の契約を2022年12月21日(対象金額:190億円)に締結いたしました。三井住友信託銀行以外の金融機関とも、「ポジティブ・インパクト評価フレームワーク」を活用しポジティブ・インパクト・ファイナンスに取り組んでおります。

ポジティブ・インパクト・ファイナンス(2024年9月末時点)
調達年度 実行件数 総額
2024 7件 250億円
2023 30件 1,265億円
2022 1件 190億円

ポジティブ・インパクト・ファイナンスとは、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)(※1)が提唱した「ポジティブ・インパクト金融原則」(※2)に則した企業活動が環境・社会・経済に及ぼすインパクト(ポジティブな影響とネガティブな影響)を金融機関が包括的に分析・評価し、当該活動の継続的な支援を目的として融資を行うものです。金融機関は、企業の活動、製品、サービスによるSDGs達成への貢献度合いを評価指標として活用し、開示情報に基づきモニタリングを行い、エンゲージメントを通じて活動を支援していくことが最大の特徴です。

本評価は、株式会社日本格付研究所より評価にかかる手続きのポジティブ・インパクト金融原則への準拠性、活用した評価指標の合理性について第三者意見を取得しています。

※1 国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)

国連環境計画(UNEP)は、1972年に「人間環境宣言」および「環境国際行動計画」の実行機関として設立された国連の補助機関。UNEP FIは、UNEPと200以上の世界の金融機関による広範で緊密なパートナーシップであり、1992年の設立以来、金融機関、政策・規制当局と協調し、経済的発展とESG(環境・社会・企業統治)への配慮を統合した金融システムへの転換を進めています。

※2 ポジティブ・インパクト金融原則

UNEP FIが2017年1月に策定した、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた金融の枠組。企業がSDGs達成への貢献をKPIで開示し、銀行はそのプラスの影響を評価して資金提供を行うことにより、資金提供先企業によるプラスの影響の増大、マイナスの影響の低減の努力を導くもの。

融資を実行する銀行は、責任ある金融機関として、指標をモニタリングすることによって、インパクトが継続していることを確認します。

テーマ 内容 目標と指標(KPI) SDGs

環境負荷の低減と
エネルギーの創出

  • エネルギー消費や温室効果ガス排出を削減させ、脱炭素社会の実現に貢献する
  • 事業活動で消費する電力の再生可能エネルギーへの転換
  • 経年優化する豊かな自然環境の実現

(a) 「脱炭素社会実現に向けたグループ行動計画」の推進

目標

  1. グループ全体の温室効果ガス排出量(スコープ1+2+3)を、2050年度までにネットゼロ、2030年度までに40%削減(2019年度比)
  2. グループ全体の温室効果ガス排出量(スコープ1+2)を、2030年度までに46.2%削減(2019年度比)
  3. 全ての新規物件で、ZEB/ZEH水準(※)の環境性能を実現
    ※ZEB/ZEH Oriented以上の環境性能を有するBEI水準、一部物件を除く。
  4. 全国の保有物件共用部・自社利用部の電力を、2030年度までにグリーン化(※)
    ※非化石証書等を利用し使用電力を実質的に再生可能エネルギーとすること。
  5. メガソーラー事業による総発電量を、2030年度までに3.8億kWh/年
  6. 建築時のCO2排出量削減の促進

指標 (KPI)

  1. グループ全体の温室効果ガス排出量(スコープ1+2+3)
  2. グループ全体の温室効果ガス排出量(スコープ1+2)
  3. 新規物件における、ZEB/ZEH水準の環境性能の充足状況
  4. 全国の保有物件共用部・自社利用部における、使用電力のグリーン化状況
  5. メガソーラー事業による総発電量
  6. 建築時のCO2排出量の正確な把握に向けた取組の状況

(b) 水使用量の低減

目標

取水量原単位を、前年度比低減

指標 (KPI)

取水量原単位

(c) 廃棄物排出量の低減

目標

一般廃棄物・産業廃棄物の排出原単位を、前年度比低減

指標 (KPI)

一般廃棄物・産業廃棄物の排出原単位

(d) 多様な生物生息環境の保全

目標

グループ保有林における、OECM認定取得を視野に入れた生物多様性の行動計画の策定(2022年度中)

指標 (KPI)

生物多様性の行動計画の策定状況

街づくりを通した
「超スマート社会」
の実現

  • テクノロジー基盤を活かし、人が集い、互いに支え合う居場所やコミュニティを創出することで、個人や街が抱える課題を解決する

目標

スマートシティ化の推進

指標 (KPI)

スマートシティ化の推進に資する新規サービスの創出状況

健やか・安全・安心
なくらしの実現

  • 健やかで生産性の高いワークプレイスの提供
  • 災害や感染症などの脅威から人々を守る、レジリエントで安全・安心な開発・運営の実践

(a) 多様な働き方のニーズに合わせたアセット・ソフトサービスの提供

目標

  1. オフィス入居者の多様な働き方の実現への貢献
  2. 健康経営支援サービス「&well」会員数を、2025年度までに会員数15万人

指標 (KPI)

  1. オフィスの生産性向上に資する取組の推進状況
  2. 健康経営支援サービス「&well」会員数

(b) 地域社会と連携した防災の拡充

目標

都市の防災性向上への貢献

指標 (KPI)

「スマートエネルギープロジェクト」の導入推進状況

多様な人材が活躍
できる社会の実現

  • 誰もが自分らしく活躍できる生活基盤の整備

(a) ダイバーシティ&インクルージョンの推進

目標

  1. 女性管理職比率を、2025年度までに10%、2030年度までに20%
  2. 女性採用比率を、2030年度までに40%
  3. 育児休業復帰率を、毎年100%
  4. 有給休暇取得日数(年間)を、14日以上

(いずれも三井不動産㈱単体)

指標 (KPI)

  1. 女性管理職比率
  2. 女性採用比率
  3. 育児休業復帰率
  4. 有給休暇取得日数(年間)

(b) 人権の尊重

目標

サプライチェーンマネジメント強化

指標 (KPI)

  1. サプライヤーアンケート・サプライヤー検査(現場監査)の対象業種・企業数の拡大状況
  2. アで確認された改善が必要な項目への対応状況

適合性に関する第三者評価等

注:https://www.jcr.co.jp/download/7dab648a6f7fdccc23eb667666313cd961ec616dc6c3179b9d/22d1153.pdf

サステナブルファイナンスに関するニュースリリース

2024年5月24日

当社初、スポーツ・エンターテインメント、商業施設への資金充当

グリーンボンド300億円発行

2024年5月10日

サステナビリティ・リンク・ファイナンスフレームワークを策定

~業界初、サステナブルファイナンス累計1兆円超え~

2023年9月6日

1,000億円のグリーンボンド発行

サステナブルファイナンス累計 7,000億円超

2023年5月31日

業界過去最大、1,300億円のグリーンボンド発行

サステナブルファイナンス累計約6,000億円

2022年7月8日

業界過去最大、800億円のグリーンボンド発行

「東京ミッドタウン八重洲」に投資、脱炭素化に向けたファイナンスをさらに推進

2022年1月14日

– サステナブルファイナンスの推進 –

国内不動産業界において初の米ドル建てグリーンボンドを発行 50ハドソンヤードの開発資金に充当

2019年9月6日

~三井不動産グループのESG経営推進加速の一環として~

「グリーンボンド」条件決定のお知らせ