CFO MESSAGE

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2023年3月期業績および2024年3月期業績見通し

2023年3月期の業績は、営業利益は3,054億円、前期比24.7%の増益、親会社株主に帰属する当期純利益(以下「純利益」)は1,969億円、前期比11.3%の増益と、売上高、営業利益、経常利益、純利益は、いずれも期初公表を上回り、過去最高を更新しました。
2024年3月期の業績は、前期に竣工したオフィスや新規に開業した商業施設の収益・利益への寄与、好調な住宅分譲およびバランスシートコントロールを意識した資産の売却による収益・利益の向上、ホテル・リゾートや東京ドームにおける収益・利益のさらなる回復等を織り込み、営業収益2兆3,000億円、営業利益3,300 億円、経常利益2,450億円、純利益2,100億円と、営業収益、営業利益、純利益のいずれも過去最高となることを見込んでいます。
なお、米国における急激な利上げの影響により、純金利負担が大幅に増加していますが、米政策金利の上昇ペースが緩やかになってきていることから、当社の金利負担の上昇幅も、緩やかなカーブに収まっていく方向にあると見込んでいます。
株主還元は、年間配当を2023年3月期より6円増配し、1株当たり68円を予定しています。

中長期的な視野でのBSコントロール

  • 当社グループの主要事業である不動産開発や街づくり型の事業は、長期間にわたりバランスシートを大きく活用することが特徴ですが、将来の「収益・利益の拡大」と「効率性の向上」の実現のためには、中長期的な視野のもとでのBSコントロールが大変重要となります。具体的には、常に5年10年先を見据えながら、積極的な成長投資と継続的な資産入替による回収をバランス良く組み合わせるとともに、有利子負債残高やD/Eレシオの適正な管理により財務の健全性を維持するなど、バランスシート全体を俯瞰した管理をしています。
    バランスシートの資産はVISION 2025のスタート時(2018年3月期末)と2023年3月期末を比較すると、総資産は6兆2,847億円から約1.4倍の8兆8,413億円に拡大しています。これは主には、日比谷・日本橋・八重洲・ニューヨーク等における大規模ミクストユース型プロジェクトの相次ぐ竣工や東京ドームグループの連結子会社化など、優良な事業機会の獲得や成長投資の順調な成果によるものです。成長投資を進める一方で、近年では「新宿三井ビルディング」「飯田橋グラン・ブルーム」「豊洲ベイサイドクロスタワー」等を当社グループの関連REITに売却しているほか、米国などの海外における開発物件を投資家へ売却するなど、資産の入替を進めています。また、投資有価証券については、2018年度以降、政策保有株式の縮減方針に基づき、2022年度末時点で計1,652億円分の株式を売却しています。
    このような取り組みの結果、足元の資産規模は直近の為替変動による影響もあり、想定水準よりも膨らんだ状態にあると認識していますが、金融・不動産マーケットの変調時は、将来の利益創出源となる優良資産の仕込み時でもあるため、足元の短期的な金融環境等に左右されず、長期的な視点でBSコントロールを推進していくことが重要だと考えています。これからは、将来の持続的成長・効率性・財務健全性のバランスに留意しながら、より強くROE・ROAを意識し、BS規模に見合う適正な利益規模をお示ししていきたいと考えています。併せて、経営が自助努力できる部分は、コントロールを継続し、資産入替は販売用不動産のみならず、固定資産・有価証券も含めてトータルで考えてまいります。また負債と資本のバランスについては、ROE、D/Eレシオ、EPS成長率などを踏まえて、成長投資・借入返済・株主還元に対する最適なキャッシュアロケーションを検討してまいります。
    外部環境は、世界各国でのインフレ進行、主に米国における今後の金利動向や景気後退への懸念など、不安定な状態が続いています。このような環境下において安定的に事業を継続するためには、健全な財務基盤の維持構築が重要です。そのため、当社グループにおいてはD/Eレシオについて1.2~1.5倍程度を目安として管理するとともに、物件開発期間中における金融マーケットの変動等のリスク軽減に向け、金利の長期・固定化(ただし、高金利リスクにさらされるドル建ての新規借入や既存の変動金利の借入の借換分については、近い将来の金利低下に対応できるよう、変動金利や短い年限の固定金利による借入を併用)、返済年限の分散化、格付の維持等に加え、緊急時の流動性確保のため未使用枠のコミットメントライン4,000億円を保持しています。さらに、一昨年秋に策定した「脱炭素社会実現に向けたグループ行動計画」における資金調達アクションの一環として、昨年7月に引き続き、本年5月に国内不動産会社として過去最高の発行額となるグリーンボンド1,300億円を発行するなど、資金調達の多様化にも取り組んでいます。また、為替変動に対しては、主に海外事業において現地通貨建ての資金調達によりナチュラルヘッジを効かせることで、リスクの相殺・軽減に努めています。
    • 総資産・有利子負債・D/Eレシオ等の推移

      総資産・有利子負債・D/Eレシオ等の推移
    • 資金調達・格付の状況

      資金調達・格付の状況
    • 格付の状況

      ※ 2023年8月4日時点

中長期目標の達成と企業価値

  • 当社グループは、中長期的な成長性目標として営業利益:3,500億円程度(2025年前後)、EPS成長率:年7%以上(2025年までの期間平均)、効率性目標としてROAは5%程度、ROEは8%程度(いずれも2025年前後)を掲げています。
    このうち、営業利益目標については、2023年度の営業利益目標である3,300億円に、今期想定している固定資産売却益(特別利益)を加えると、前倒しでの達成が視野に入ってきていると考えています。一方で、効率性の改善については、まだ課題があると考えています。この点をどのように改善していくか次期長期経営方針の策定に向けて目下、議論しています。
    当社グループは、トップライン(営業収益)だけでなく、ボトムライン(純利益)の成長をより強く意識し、将来の「収益・利益の拡大」と「効率性の向上」の実現に向け、これからも不動産サイクルや金利動向等を見据えた長期的な財務戦略のもと、回収キャッシュ・フローを意識した厳選投資に加え、成長性・効率性を意識したBSコントロールを推進することにより、資本コストを上回るリターンを継続的に実現してまいります。また、投資家の皆様との対話・開示情報の充実を通じて、投資家の皆様のご意見を経営に反映させるなどして、資本コストの低下とさらなる企業価値の拡大に努めてまいります。
  • 今後の⾒通し

    今後の⾒通し
    今後の⾒通し

    ※ VISION 2025期間のうち、2021年度以降を想定(2022年5月公表)

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